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| レポート/2013年11月号 |
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| ベーカリーの朝活 朝の焼きたてでパン食普及 朝食に焼きたてパンを食べてほしい 朝食にパンを食べる習慣は日本に定着したが、前日に買ったパンを翌日の朝食に食べる人が多いのも事実だ。せっかくならそのパンを焼きたてで食べてもらおうと考え、早朝から営業するリテールベーカリーがある。朝の焼きたてパンの提供について、どんな戦略を立てて
いるのだろうか。朝食用の焼きたてパンの製造販売に熱心な2軒のベーカリーを取材し、ベーカリーの早朝営業の可能性について探った。 |


| 毎日買えるバゲットを提供。パリのパン食文化を日本にも - トシ オー クー デュ パン | |||||||||||||
朝6時の開店にした理由について、「パリで約2〜3年修業していた頃、朝靄がかかるひんやりした夜明けの時間帯に、パン屋さんだけがあたたかそうな煙と香りを出している街の姿を見ていました。それがすごく印象に残っていたんです」とシェフの川瀬敏綱さんは語った。パリで朝食に焼きたてパンを買ってきて食べることはごく普通のことだ。主婦がお気に入りの店に、寝起きのラフな格好で訪ねて行き、バゲットを買うのはごく当たり前の姿だという。そんなパン文化を日本にも育てることが同店のミッションであり、朝6時の開店もそのためのものだ。 バゲットは現在2種類。「バゲット・トラディション」(199円)と、「バゲット」(168円)。 「バゲット・トラディション」は川瀬さんのパリ修業時代に、師匠であるフランスMOFのアニス・ブアブサ氏から直接教わったもの。長時間低温発酵で、もっちりとした食感と甘みが特徴だ。「バゲット」は、粉の香りと軽い食感が特徴の一般的なフランスのバゲット。こちらは、川瀬さんがパリ修業時代に、食事代節約のために一日をこれ一本で過ごしたという思い出のパンでもある。 バゲット2種類で1日平日約150本、休日は200本程度売れているという。早朝営業のバゲット販売が、売上に占める割合は高い。 開業前は早朝の集客に、確固とした勝算があった訳ではなく、「まずは1人〜2人でも来てくれれば」との考えだったそうだ。行列ができるようになるまでの経過を聞くと、「開業前に近所に多少のポスティングでの告知を行い、開業後1週間は9時開店で営業しました。その間に、来店者に6時開店のことを伝え、アピールしました」と川瀬さん。それがクチコミで広まり、すぐに繁盛するようになったという。 主な早朝の来客は、ペットの散歩中の夫婦や、ジョギング中の人。早朝はシニア層が多く、若い人はお子さんを送り出した後と思われる午前8時頃来店しているという。早朝に販売するものは、バゲットが中心。 川瀬さんが同店のバゲットに対して気を配ったのは「毎日買えるパンであること」。そのため、価格を抑えた。日本にも本格的なバゲットはあるが、川瀬さんは、300円〜400円という価格帯に毎日買ってもらう難しさを感じていた。早朝のバゲット販売には強い思い入れがあったため、本当は、バゲットを常食としているフランスと同じように、1ユーロ(約130円)で売りたかった。しかしそれは難しいので、できる限りの価格をと考えて今の値付けになったという。その代わりに、バゲット以外は、本格フランスの味を提供する同店の技術に合わせ、品質に合った値付けをしているという。 「こういう値付けの感覚も、一般のベーカリーと逆かもしれません。私は『ベーカリー』と『ブーランジェリー』、『パン』と『ブレッド』はちょっと違うと考えています。パンは切り方ひとつとっても本場のものがまだ伝わっていません。本場の雰囲気や、本場の良い点をもっと日本で味わってもらいたいんです」 川瀬さんのバゲットに対する思い入れは、1番は焼き上がりを食べているときにわかる香り。2番目に焼き加減。同店のバゲットは表面の薄皮がパリッと軽く、中身はふんわり柔らかい。焼き色も淡い。形も独自のものだ。「これが私の修業したパリのパンですし、他と違ったらそれを個性と思って売っていけたらと思っています」と川瀬さんは言う。 同店では製造は川瀬さん1人で、バゲットの焼成も少量ずつになる。「品切れを出さないように回転させるのが大変です」という。中には、電車で隣の駅から来て1度に5本買って行く客もいるが、そういう場合は事前の予約を勧めている。まとめ買いをしていく客には、冷凍での保存方法を伝えるようにしている。休日に朝から数本のバゲットをまとめ買いする客も珍しくなく、休日をゆったりとパン食で過ごしている可能性もあると見られる。「この地域が、食文化に意識が高いのも大きいと思います」と川瀬さん。 今後の展開予定は惣菜の提供。「日本では珍しいパンを置いていますから、次はその味わい方をもっと提案していきたいと思います。朝の需要が見込めるなら、徐々に惣菜の提供も始めて、色んな可能性を試してみたいですね」と川瀬さん。珍しいフランスパンが多いだけに、対面販売の形式も奏功している。食べ方を尋ねて来る客も多い。最初は川瀬さんが説明し、販売担当者にそれを覚えてもらい、次第に販売担当者も1人で説明できるようになっていったそうだ。 バゲットのサンドイッチも、同店のスペシャリテというにふさわしい工夫が凝らされている。1番は、ハムとバターを挟んだ「ジャンボンブール」(483円)。フランスで食べて大好きになり、日本ではハムとバターの組合せがまだないと知り、ぜひ伝えたいと考えた。当初はフランスのバターに匹敵する味が見つからずに悩んだが、探し続けた末、国産のカルピス発酵バターを発見。フランスのものに勝るとも劣らない味で、これなら本場の味を再現できると、自信を持って開発した。スライスチーズのように厚みのあるバターをたっぷりと使い、フレッシュなハムの味と調和させている。 今後も、日本にパリのパン食文化を伝えていきたいと、川瀬さんは考えている。 | |||||||||||||

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