高級住宅街に溶け込んだブーランジェリー - ブーランジェリー レスト - ブランスリー電子版

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お店拝見/2013年11月号

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高級住宅街に溶け込んだブーランジェリー - ブーランジェリー レスト
店舗は周辺の住宅と調和し、自然な形で街に溶け込んでいる
池田シェフ(中央)と製造スタッフたち
店の看板は、福岡県糸島市でアトリエを開いているあるアーティストの作品だという
 2005年4月にオープンした「ブーランジェリー レスト」は、福岡市内を走る地下鉄七隈線の薬院大通り駅から徒歩10分の閑静な高級住宅街の一角にある。
 フランスのアルザスにあるブーランジェリーをイメージした、自然素材の土と木を使ったシックな雰囲気の店舗デザイン。店頭にさりげなく置かれた寄せ植えや観葉植物が、心を和ませてくれる。店は周辺の住宅と調和し、自然な形でこの街に溶け込んでいる。
 オーナーシェフの池田裕之さんは原宿にパリのブラッスリーを再現したといわれた「オーバカナル」のシェフブーランジェを務め、イタリアのパンとリキュールの店「ベルバッコ」、ムーミンのキャラクターを看板にした「ムーミンベーカリー&カフェ」など多くの店をプロデュースするなど、コンサルタントとしても活躍している。
 2005年から「ムーミンベーカリー&カフェ」のパンを製造するアトリエとして使われていた場所を、2009年に譲り受け「ブーランジェリー レスト」としてスタートさせた。
かつて父親が経営していた「東海薬局」の「東」という一文字を取り、フランス語で「東」を意味する「レスト」を店名にした。



石臼による自家製粉の小麦粉で作るパン
窓越しに石臼で麦を挽く作業が外から見え、原材料に対する店の姿勢が伝わってくる
手入れが行き届いた寄せ植えが入り口にさりげなく置かれている
石臼で挽いたミネラル豊富な小麦粉で作る「パン・ド・ミ」(奥)、「バゲット」(中列右)、「クロワッサン」(中列中央)、「Le Pain御所ケ谷」(中列左)、「ラタトゥイユのキッシュ」(前列右)などの定番商品
固定客がついている蜜蝋を使わないで作るカヌレ
 対面販売のコンパクトにまとめられた店内には、香ばしい匂いのするハード系のパンやバラエティーブレッドがびっしりと並んでいる。また地元の果物で作った「野中さんのジャム」(500円)や、オリーブ栽培などを手掛ける地元の会社、オリオサントの「EXバージンオリーブオイル」(300ミリリットル1400円)、福岡のフレンチレストラン、アニオン特製の「オールドドレッシング」(550円)や「ステーキソース」(840円)など、パン食を豊かにする関連食材も充実している。
 開店当時から種継ぎしているルヴァンでつくる店の看板商品「Le Pain御所ケ谷」(ホール2000円)、石臼で挽いたミネラル豊富な小麦粉で作る「バゲット」(290円)、「クロワッサン」(180円)、「パン・ド・ミ」(290円)、「ラタトゥイユのキッシュ」(ホール420円)などの定番商品がある。それ以外にも各種サンドイッチ、ヴィエノワズリー、スコーン、焼き菓子など約50種類のパンを販売している。
 主原料の小麦粉とライ麦粉は外麦、内麦ともに表皮だけを研摩し、風味と旨味を残した麦を石臼で挽いて使用している。毎日石臼で挽く作業は手間がかり時間も取られるが、窓越しに石臼で麦を挽く作業が外から見え、原材料に対する店の姿勢が伝わってくる。
 正月用の食パンとして開発した「極み食パン」(1斤400円)が評判となり、今では毎週水曜日に64本(192斤)焼成しているが、固定客の予約で完売する。水を使わず牛乳と生クリームで仕込むリッチな配合は、クリーミーな味わいがあり、日持ちも良い。
 また毎月最初の日、月、火の各曜日に行っている池田シェフのパン教室も、大人気。はじめはパンを作る様子を見てもらい、パンを身近に感じてもらうことが目的で始めた教室が、どんどん広まっている。最近では家庭製パンの教室を主宰する先生たちが企画した、プロに学ぶパン教室の講師にも招かれ、多忙なスケジュールをこなしている。



自由な発想で、食材を活かすパン作り
鮮度感のあるサンドイッチは厳選素材で作る旨さが人気
愛犬家たちに好評だという犬用グリッシーニ
店内には目移りするほどたくさんのパンが並ぶ
「野中さんのジャム」は、地元で農家を営む野中さんが作ったジャムだ
 「ブーランジェリー レスト」のコンセプトは、毎日食べても飽きのこないシンプルなパン作りを心がけることと、定番商品をぶれることなく、安定供給すること。簡単なようで難しい課題だ。オープンから3年間、池田さんはパン作りの基本的な工程をスタッフに繰り返し指導してきた。基本ができていれば、応用は後からでも可能になる。御所ケ谷の本店オープンの後、2007年6月にパンと料理をフルサービスで出す六本松店を開業し、2009年4月にはパンとドリンクをセルフサービスで提供する平尾店を開いた。
 3店舗の店長たちは徐々に成長し、池田さんの代わりにスタッフを教育するまでになった。各店舗の売り上げ目標を設定させ、「自分の店ならどうするか」という視点から、経営者の立場で考えることを身につけさせた。
 はじめの頃、店長たちは売り上げを伸ばすために克服すべきこととして、「人材不足」を真っ先に挙げ、スタッフの補充を訴えてきた。しかし池田さんは現場のシフトや労働時間の見直しによる人件費の軽減と、その他の経費削減を、自分で考えさせた。それが力になり、厳しい現状を克服できるようになったという。
 生産性を上げられるかどうかは、アルバイトやパートの配置が大きく影響する。場合によっては責任者である店長が自らカバーし、効率の良いシフトを生み出すこともある。売り上げ目標を達成して黒字にしたら、給与に還元している。
 また新商品はスタッフ全員に考案させ、どうしたら売れるか工夫させている。自分が作った商品は、その動きが気になり、その置き方を考えたり、その説明にも力が入ったりするものだ。
 発売後1カ月間残った商品を提案したスタッフには、報奨金を出している。達成感を味わうと、いろいろなことに意欲的になり、自主性が育つ。経営者がスタッフを信頼して任せることが、大きなポイントになっている。
 池田さんは、今まで多くの店をプロデュースしてきたが、これからは人を育てたいと考えるようになってきた。店舗開発には、利益を生み出すセオリーがあるが、人材育成は、セオリー通りにはいかないところにやりがいがあるという。

SHOP DATA
店名:ブーランジエリー レスト
住所:福岡県福岡市中央区御所ヶ谷2−45
電話:092−521−4687
営業時間:午前8時〜午後7時
定休日:年始以外無休
品揃え:50品目
スタッフ:製造5人 販売5人
店舗面積:厨房38坪、売り場8坪
年商:1億円(3店舗合計)





原価計算女王
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