記事の閲覧
| <<戻る | 写真をクリックすると拡大写真が見られます。 |
| 特集/2013年11月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 秋・冬に向けて What to do in autumn and winter 新しい街に、新しいパン文化を広めていきたい - ピーターパン奏の杜店 | |
|
家族で分け合って食べてもらいたい
千葉県習志野市の「ピーターパン奏の杜店」は、同県船橋市に本店のあるピーターパンの6店舗目として、今年9月20日にオープンした。 同店周辺は再開発地域で、様々な商業施設や住宅、公共施設などが新設され、街全体が真新しい。同店の客も、この地に移り住んで1年足らずという人が多いという。 秋の気配がするこの時期のオープンとあって、「奏の杜店」がピーターパンの他店に先駆けて販売を開始したのが、ハロウィンのテーマカラーのオレンジ色が鮮やかな「カボチャのちぎりパン」(241円)で、予想以上に好調な売れ行きだという。 同店の藤居正樹店長は、「4ブロックのちぎりパンです。ワンブロックごとにちぎって、家族みんなで分けて食べてもらいたいと思って開発しました」と、同アイテムに込める思いを語る。 「カボチャのちぎりパン」の冬向けアイテムもすでに念頭にあるそうで、かぼちゃの代わりにチョコレートを練り込むことなどを考えているという。 ちぎりパンは、ちぎったときの断面の色が映えるので、練り込む具材を変えると、かなり印象が変わる。 さらに上面には、ココナッツ入りマカロン生地をトッピングしているので、香りと食感が豊かな製品となっている。同店舗で好評だったため、ピーターパンの他の店舗でも、売り出していきたいという。 ピーターパンの横手和彦社長は、新店の「奏の杜店」に託す思いを、「出勤前や買い物帰りに、当店に寄ってパンを食べるということを、毎日の楽しみの一つにしてもらえたらいいですね。こうしたことを、ピーターパンのパン文化として、この新しい街に広めていきたいと思っています」と語る。 オープンして間もないが、ピーターパンの他の店舗ではあまり見られない客の動きが見えてきたという。 「1日のピークが夕方から夜にかけてくるんです。夫婦2人や友人同士などでいらして、テラスで召し上がる方が結構います。そのため、8時に閉店なのですが、しばらくテラス席の消灯ができないんです。するとその灯りを見て、また新たに来店される方がいるんですね。これは今まで見ることのできなかったお客様の動きです。今まで夜は、独身者が1人で来て夕飯を召し上がっていくというケースが多かったので、新店のお客様の動きは、新しい夜のパン文化として注目していきたいですね」(横手社長) 秋の夜長の楽しみに、同店まで散歩して、同店でティータイムを過ごすことを楽しみにしている人が多いのだろう。 このようなときに、「カボチャのちぎりパン」が、お茶請けに適したアイテムにもなっている。ちぎって分け合うことで、友人や家族同士の結束もさらに深まりそうだ。 また、「カボチャのちぎりパン」のように分け合えるパンならば、よりリーズナブルだ。 購入したパンと無料のコーヒーを楽しめるテラス席は、50席以上用意した。ピーターパンの他の店舗と比べても、この席数は多い。 「商品を提供するだけでなく、日常の中で気軽に楽しんでいただける場を、提供していきたいと思っています。そのためにも、テラス席が充実していることは重要ですね。また、近いうちに、シンボルツリーとして桜の木を植えたいと思っています。テラス席でパンを食べながら、春はお花見を、夏は緑を、秋は紅葉を、冬はイルミネーションを楽しんでいただきたいですね」(横手社長) |

|
イベントは、既存のものを深堀りする
ピーターパンの各店の今夏の売り上げは、昨年よりよかったそうだ。 「『冷やしておいしいパン』の人気も定着してきたようです。認知度が上がってきたこともありますが、味の面でも毎年改良に改良を重ねて、良くなっていますからね」(横手社長) イベントも好評だったという。 イベントの内容自体は例年とほぼ変わっていないが、質が向上しているという。 「夏は親子パン教室などをやりました。毎年やっているので、だんだんと要領を得てきて、スムーズにできるようになってきました。冬には、これも恒例行事ですが、餅つきをやります。うまくできるようになってきたので、1日に1回だけでなく、2回できるようになりました」(横手社長) 季節のイベントは、新しいことを企画するのではなく、毎年開催しているものの質を磨くことに尽力している。 「目新しいことをするのではなく、いつもやっていることを深堀りしていくことの方が大事だと思っています。品揃えと同じで、定番のものをしっかり作り上げていきたいと思っています」(横手社長) |

|
パン食文化を地域に提案していく
「奏の杜店」のコンセプトは、「マイタウンマイベーカリー」だ。街づくりから地域住民と一緒に行っていくことが、再開発地域にオープンしたベーカリーの役割だと考えている。 「ピーターパンとして、街づくりから関われるのは当店が初めてです。地域のベーカリーとして、お客様とどんどんコミュニケーションをとっていきたいと思っています。そのために、店舗の間取りにも工夫を凝らしています。お客様と製造スタッフが直接関われるオーダーサンドコーナーの造りを変えました」(藤居店長) 他の店舗のオーダーサンドのコーナーでは、製造スタッフと客の間にサンドイッチ用冷蔵ケースが設置してある。それを、「奏の杜店」では取り払った。そのことによって、より近い距離で製造スタッフと客が会話をすることができるようになった。 また、朝焼きたてのパンを楽しむ文化を根付かせていきたいと考え、分割成形機を導入した。同機械によって、朝開店と同時に、冷蔵長時間発酵をさせてうま味を熟成させたバゲットの焼きたてを提供することができるようになったという。 「朝早く行っても、こんなにおいしいパンが食べられるんだと実感していただくことが、この地域の皆さんの食文化を充実させていくことに繋がればと思っています」(横手社長) 商品単体を売り出していくのではなく、パンのある食生活の楽しさの提案を行っていくことで、価格競争に巻き込まれることなく、いつしか地域住民の生活に欠かせない存在となっていくのだろう。 ピーターパン奏の杜店 住所:千葉県習志野市奏の杜2‐4‐11 電話番号:047‐403‐2201 営業時間:午前7時〜午後8時 定休日:木曜 品揃え:パン85品目、焼き菓子約10品目 スタッフ:製造、調理(サンドイッチ)、販売あわせて 50人 厨房45坪、売り場27坪、バックヤード11坪 日商:平日100万円、土日180万円 |

| 地域の人たちが集う憩いの場にしていきたい - 那須高原パンのいえ クーロンヌ | |
|
繁忙期と閑散期の使い分け
別荘地として名高い栃木県の那須高原にある「那須高原パンのいえ クーロンヌ」は、2012年4月に開業した。「クーロンヌ」は、茨城県南部を中心に展開しているベーカリーで、那須高原のような観光地に出店するのは、同店が初めてだ。 同店の開業準備から携わり、現在店長を務めているのは、ピエール間根山さん。 「店頭に立つときの自分の名前を、苗字の前に『ピエール』と付けて愛称にしたのには理由があります。地域の皆様に覚えていただくために、印象的な名前にしようと思ったからです。結果、開業して間もない頃から『ピエール』と、気軽に呼んでもらえました。クーロンヌにとっても自分にとっても、那須は初めての場所だったので、地域の方々と早くコミュニケーションを取れるようになることは、営業していく上で重要なことだったんです。お客様には、那須のことをいろいろと教えていただいたり、とても助けられています」(ピエールさん) 那須高原は避暑地で、夏季は観光客が多い。打って変わってこれから迎える冬季は、観光客は激減する。 また、冬季は積雪もあるため交通が不便になる。そのため、地元客の方が多いという同店だが、客足は、夏と冬とではかなり差が開く。 「余裕ができる冬の間、その時間とスペースを無駄にしないために何ができるか、ここでしかできないことは何か、を考えました」(ピエールさん) 昨年の冬は、ピエールさんにとって初めて過ごす那須の冬となり、繁忙期である夏季との差を身を持って経験した。今年の秋冬は、昨年の経験を活かして、様々なイベントを企画しているという。 冬前の開催を予定しているイベントは、クーロンヌ全店からスタッフを集め、外部から講師を招いて行うパン製造の講習会だ。社内勉強会としての講習会は、営業時間外に行うのが一般的だが、あえて営業時間内に行う。 「営業しながらの講習会は、お客様の入りが落ち着いてくる時期でなくてはできません。講習会で作ったパンは、そのとき来店していただいたお客様に、販売する予定です。講習会で作るパンは、通常販売しているものと違いますから、お客様にも楽しんでいただけると思います」(ピエールさん) 昨年行った講習会は、パンの具材に使っている地元の野菜や、乳製品などの生産者にも、参加してもらったという。 「原材料の生産者の方々と、加工者としてのパン職人が一緒になって講習会を行うという、今までにない交流の場になりました。生産者の方々には、『どんな野菜がパン作りに適しているのかを知るためにも、参加してよかった』とおっしゃっていただけました」(ピエールさん) 原材料の生産者も、原材料の加工者との交流を求めている。加工者のニーズを探っているのだ。また、生産者は、自分が手掛けた作物が使われた新商品が出たと知ると、すぐに買いに来てくれるそうだ。 今年の秋と冬は、シュトーレンなどの焼き菓子の製造にも励む予定だという。クーロンヌの他の店舗で販売する分も作り、配達に行く。他の店舗にとっても、なくてはならない存在として機能させていきたいという。 |
売り場とは別の建物に、薪ストーブとバーカウンターのあるイートインスペースを設けた。 「昨年の冬、那須の寒さを体験して、暖かいスペースが欲しいと思って新設しました。音楽会などのイベントも開催して、より多くの人に集まってもらえる場所にしていきたいと思っています。暖かい場所で、パンとワインを楽しんでもらいたいですね」(ピエールさん) 今年の冬から同店は、地域住民にとっての憩いの場となりそうだ。 地域で定期的に開催される朝市では、唯一のベーカリーとして、同店は出店している。加工者であるベーカリーは、生産者と消費者を繋ぐ橋渡しのような存在となっている。 「朝市は、生産者、加工者、消費者のすべての顔がつながる貴重な場です。会場の入り口で、当店が焼いたバゲットを受け取って、それに他の出店者さんの作った野菜やチーズをサンドして食べてもらう、というようなことが、いつかできたらと思っています」(ピエールさん) 那須高原パンのいえ クーロンヌ 住所:栃木県那須郡那須町高久乙796‐62 電話:0287‐74‐2677 営業時間:午前6時〜午後6時(冬季は〜7時) 定休日:火曜、水曜 品揃え:30品目 スタッフ:製造・販売3人 店舗面積:厨房20坪、売り場10坪、イートイン約20坪 日商:平日10万円、土日20万円 | |||||||
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。




















