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| レポート/2013年10月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| ベーカリーも頑張ってます! 美味しい節電&エコ経営 エコと品質維持を両立させる 福島第1原発事故後、節電やエコが課題になっているが、パン業界ではどんな取り組みをしているのか。ベーカリーの節電の難しさは、電力使用が品質管理と直結するところにある。特に猛暑の今年、材料の鮮度や質を守るためには厨房でもエアコンの使用が避けられない。酷暑の日は夜も室温が高いため、材料保存用の冷蔵スペースを設けるなどの工夫を凝らしても、大きな店舗では限界がある。一般的に、夏は冬に比べてパンの製造量は下がるが、それでも電気代は高くなりがち。焼き方を工夫しても、サービスや製品の質を下げてしまっては意味がない。夏場は特に、節電と品質維持の相性が悪くなりやすい。今年は、パン業界にとっては一層厳しい夏となったようだ。
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| エコに取り組みながら品質を向上させる - ブーランジュリー オーヴェルニュ
LEDは、発熱が少ないメリットがある
東京・葛飾区の「ブーランジュリーオーヴェルニュ」。オーナーシェフの井上克也さんは、4年程前からエコバッグの配布を試みるなど、日頃からエコに気を配っている。そして今年は、店舗のパン棚の照明をLEDに入れ替え始めたという。 「店舗にLEDを導入したのは節電もありますが、それ以上にベーカリー独特のメリットがありました。LEDが熱を発しない点です。通常の電球を使っていた頃、点検していたら、冷めた状態で提供するはずのパンが、電球のせいで温まりそうになっていたことがあったんです。風味が落ちてしまうので、ずっと気になっていました。商品をおいしそうに見せるための照明ですが、商品に近すぎると熱の影響が出てしまうことについて、ずっといい対応方法がないかと考えていました」(井上さん) LEDの導入で、パンの品質が落ちることを心配せず、自由に売場を作っていくことが可能になった。 商品の見え方で従来の電球と変わった点がないかについては、「天井からの照明をオレンジ系の暖色にすることで、これまで通りの雰囲気を維持できています」と井上さん。 ただ、LEDは、1本のライトがこれまでの3倍以上の価格になり、同店の場合はそれが20本必要だったという。初期費用はかなりの額になるが、「これまで1年で切れていたライトが9年はもつ」ということで、トータルでは得になるという。井上さんは「段階的に替えていきます。替えて良かったことは多いが、初期費用を考えると店舗との相性の様子を見ながら少しずつやっていきたいですね」と話す。同店が来春2月に予定している新店舗では、現状を踏まえて最初からLED電球の使用を予定しているそうだ。 LED以外にも、ベーカリー向けの節電製品の開発は進んでいる。井上さんが見かけたのは、節電タイプのオーブンだ。魅力を感じたが、価格は通常のオーブンよりまだだいぶ高額だという。「節電できるなら、新製品を取り入れたい気持ちは当然 強いです」と井上さんは話す。しかし、数年後、あるいは最終的には収支が得だとわかっていても、初期費用の規模はまだまだ高額で、回収までの道も長い。今後の研究開発が望まれる。 |

| 電気を使わない涼しさを提供する工夫 - イトキト
自家製生ジュースで涼を提供
東京・大田区のベーカリー「イトキト」では、ここ数年、夏になると自家製ジュースの無料提供を行っている。「従業員に節電の呼びかけは行っていますし、厨房にいる時間を短くしたり、無駄を省くよう細かなオペレーションの工夫は常にしています」とオーナーの勝野真一さんは語った。しかし、ベーカリーにとって最も電力使用量比率の高いオーブンとエアコンは、無闇に削減しては店の主要サービスに大きく影響する。 「厨房では扇風機を併用しますし、店内ではサーキュレーターも置いて、エアコンの温度を低くしなくても快適さを保てる工夫はしています。そもそも焼成時間を短く出来ないか、といった節電は色々考えますが、あまりやりすぎるとパンやサービスの質に影響してしまう。それだったら、電気を使わないサービスで、お客様に買物を楽しんでもらう方法があれば、それが節電になると考えました。そして、一昨年から、あるサービスを始めました」と勝野さんは話す。 同店は一昨年から夏になると、自家製ジュースの無料提供を行っているのだ。ジュースの種類は自家製レモネードや梅ジュース。今年は特に梅ジュースが人気で、よく出るという。「特に、気温の高い日や、湿気の多い日はジュースの回転が速いですね」(勝野さん)。客の滞在時間はそう長くはないため、むしろ店内の快適さを味わってもらうなら、冷たい飲み物で体を冷やすのは即効性の高いサービスだろう。 ジュースの提供は、トレーの横に氷を入れたピッチャーと小さな紙コップを用意し、「ご自由にどうぞ」のポップで案内している。同店は、売場3坪の小ぶりの店舗で、対面販売と客が自分でパンを選択する方式と両方を使っている。「包装時や、食パンなどのスライスの待ち時間に飲んでもらっています」と勝野さんは話す。 特に今年の梅ジュースは評判が良い。自家製ジュースはオーナーの勝野さん自身の手作りだ。生の青梅をてんさい糖で漬け込み、梅酒の要領でジュースをつくる。瓶に入れて二週間程度保存が効くため、作り置きも可能だ。この原液を水で薄めて、梅と砂糖だけでつくった特製ジュースの完成。 エアコン以外でも、お客に涼を届けることは可能のようだ。同店は観葉植物も年間を通して飾っている。勝野さん自身も観葉植物が好きで、夏場は店が涼しく見えるよう、緑の鮮やかな色のものでレイアウトしている。 |

| 震災から継続の節電努力ダウンライト3分の1を削減 - モルゲン
節電が大事だという店の姿勢を示す
節電が全国的に意識されたのは、やはり2011年の震災後の夏だろう。当時、節電に取り組んだベーカリーは多く、その後も節電を継続している店がある。茨城県つくば市のモルゲンもそんなベーカリーのひとつだ。 同店は当時、午前10時、午前11時、午後2時、午後4時の1日4回行っていた焼成を、平日は午後4時の焼成を止めて、1日3回にした。現在でも、月曜から木曜までは、1日3回の焼成を継続している。 焼成時間の削減について菊池満社長は「従業員の意識が変わりました。目的は節電だったが、スタッフが真剣に効率化を考えるようになり、手際が良くなっています」と副次的効果について語った。 同年夏の間行った営業を30分早く始めて30分早く終える「サマータイム」については、「30分確実に早く終わるので、節電効果は高かったです」(菊池さん) また、サマータイム実施で付いてきた結果だが、開店を30分早めることで、通常の開店時間では立ち寄れなかった新規客が複数来店してくれるメリットもあったという。「いつも朝、通り過ぎるだけだったが、買えるようになって嬉しかった」という客の声も。 節電もやり方によって客へのサービスになり得る好例だ。 その後も同店の節電は続き、現在は店内のパン製品を照らすためのダウンライトの約3分の1を減らしている。 「かつては私も、薄暗い店内に景気の良い印象が持てませんでした。しかし今はもうそういう時代ではないと思うのです。たくさんの明るい照明で照らしていることが、良いとは限らなくなっています」と菊池社長は語る。 また、店の外灯も、不要のときは消える省エネタイプのものに変更した。初期費用がそれなりにかかるが、菊地社長は「コストの問題とは思っていません。節電が大事だという店の姿勢、意識の問題という捉え方です」と力強く語った。 同店の節電意識は客にも無言のうちに理解されているようで、照明量の変更後も客足に全く変化はないという。 |
| こんな裏技も
エアコンとオーブンが品質維持の要であり、また最も多く電力を消費する機器であるベーカリーにとって、節電は難しい課題だ。
実際に、「サービスの質を落とさずに節電する良い方法があれば」というベーカリーの声は多い。そんな中、「電子ブレーカー」を役立てているという声が聞こえてきた。 電力会社との契約の容量を下げることにより、電気の基本料金を下げるというものだが、この際に電子ブレーカーを導入することによって、電気が落ちるリスクを減らせるという。 震災で節電意識が強まる以前から、ベーカリーでの導入は始まっており、この4〜5年で普及が進んでいるという。店舗の規模にもよるが、年間10万〜24万円程度の節約に成功しているという店も。 良いことづくめだが、実際に導入したブーランジュリー オーヴェルニュの井上さんからは「電子ブレーカーはベーカリーにとってメリットが高いだけに、悪い業者もいると聞きます。営業の電話は来ると思いますが、言われるままに決めず、実際に導入に成功しているベーカリーの話をよく聞いて、業者を選ぶことをおすすめします」と注意の呼びかけもあった。 井上さん自身も、導入に踏み切ったときは、信頼する同業者の紹介を受けたという。 |
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