ニューヨークスタイルを表現する店づくり - ブラフベーカリー - ブランスリー電子版

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お店拝見/2013年10月号

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ニューヨークスタイルを表現する店づくり - ブラフベーカリー
「ブラフベーカリー」は横浜高速鉄道みなとみらい線の元町・中華街駅から徒歩8分。急な坂を登ると見えてくる
オーナーシェフの栄徳剛さん
厨房と売り場の壁は大きくくり抜かれている。厨房の様子がまるでスクリーンに映し出されるように目に入る
「クロワッサン」(210円)も大ぶり。腕を組んでいるような見た目にこだわった
「クロワッサン」の断面。層の数が多く軽い食感に仕上がっている
「クロワッサン」の断面。層の数が多く軽い食感に仕上がっている
神奈川県横浜市の「ブラフベーカリー」は、老舗が軒を連ねる元町商店街と、かつて外国人居留地として栄えた歴史のある山手を結ぶ代官坂の中腹にある。「父もこの近くでベーカリーを営んでいた」というオーナーシェフの栄徳剛さんは、「子供の頃から慣れ親しんでいる代官坂で店を持ちたい」と思い続け、3年前に開業した。
 同店周辺は、今もなお外国人が多く居住しており、同店の客も2〜3割を外国人が占める。
 店内に入ると、同店のコンセプトである「ニューヨークスタイル」の世界に包まれる。日本人でありながら、外国人になったかのような錯覚さえ覚える。
 白い壁とコンクリートの床で明るくすっきりとまとめられた店内は、現代アートの美術館を思わせるような空間だ。売り場と厨房を隔てる壁は、横長に大きくくり抜かれ、そこからは厨房の様子が、まるでスクリーンに映し出された映像のように目に入ってくる。
 パンは、一つひとつが大きく、迫力がある。言ってみれば、ニューヨーカーも満足しそうな大きさだ。人気の「シナモンロール」(290円)は、渦の巻き具合に力強さを感じる迫力があり、クリームチーズ入りクリームのトッピングもたっぷりの量だ。
 「クロワッサン」(210円)も大ぶりで持ってみるとずっしりと重みがある。他店の2倍はあるかと思うようなボリュームだ。このボリュームは、腕を組んだような形にするために必要だったという。
 パン一つひとつのボリューム感や、立体感のある形は、栄徳シェフのイメージするニューヨークスタイルを表現するために生み出されたものだ。
 「当店は急な坂を登らないと来られない場所にありますので、来店するのに覚悟のようなものが必要です。わざわざ来て下さる方の、その期待に応えるためにも、最初に決めた店のイメージを持ち続けて、表現していくことが大事だと思っています。ニューヨークスタイルというのは具体的には、ニューヨークにある食品のセレクトショップに置かれたドーナツやベーグルをイメージしています。これらは、各専門店から仕入れられたセレクト商品です。当店の商品も、「パン」で一括りにせずに、各アイテムごとに存在感を持たせていきたいと思っています」(栄徳シェフ)



自由な発想のもとに、食材を活かすパン作り
ベーグルは5種類。グルテンを出し過ぎないように意識しているという。もっちりとした食感で、噛み応えがあるが、歯切れがよく、喉につまらない
写真左は日本人好みの味の「ブラフブレッド」(1本500円)、写真右は外国人向けの「ホールウィートブレッド」(1斤280円、1本560円)
「ベーグル ラズベリー&バナナ」(250円)。バナナの風味と木イチゴの種の粒々感が楽しめる
昼前は、ベビーカーを押す母親が次々と来店していた。入り口の空きスペースは、ベビーカーを停めておくのに便利
白い壁ですっきりとした印象の店内。60〜70品目揃うパンは、一つひとつが大きく、実際の品目数よりもたくさんあるようにも見える
 栄徳シェフは、「アメリカでは、スパイスやハーブ、リキュールなどの使用が多く、フレーバーのしっかりした味を好む人が多い」ということを、アメリカのテネシー州のベーカリーで研修した際、実感したという。
 同店のパン作りにおいても、フレーバーを効かせることは意識しているという。ただ、アメリカで使っているほどの量を入れてしまうと、日本人の舌には強すぎてしまうので、使用量を抑えている。外国人客の味覚と日本人客の味覚の中間をとっているような形と言える。
 全粒粉入り食パンは、アメリカでサンドイッチによく使用されているが、同店の全粒粉入り食パン「ホールウィートブレッド」(280円)も、外国人にも日本人にもどちらにも好まれるように工夫がされている。
 「日本における全粒粉入り食パンで、全粒粉50%という配合はかなり多いと思います。これだけ多く入れると、パサつきが出てしまったり、適度な香ばしさにならなかったりするので、2種類の全粒粉をブレンドしています。微細タイプを40%、粗いタイプを10%配合しています。微細タイプを入れることでしっとり感が出て、粗いタイプを入れることで香ばしさが出ます」(栄徳シェフ)
 それでもやはり、日本人には食べ慣れない味なので、外国人をターゲットに販売を始めたのだが、ふたを開けてみると日本人客にも好評だった。それは予想外の反応だったという。
 一方、日本人好みの味を追求して開発した食パンもある。店名の付いた「ブラフブレッド」(1本500円)だ。北海道産「キタノカオリ」を100%使用している。
 「日本の粉でしかつくれない、日本人好みの味の食パンを作ろうと思いました」(栄徳シェフ)
 しかし、「キタノカオリ」を使用することで、もっちりとした食感は出せるが、食パンに不可欠なサクミが弱いと感じたという。そこで、生クリームを配合して、サクミも楽しめる食パンに仕上げた。また、甘味も少し感じる味にした。甘味を出すのには、砂糖だけでなく、ハチミツを併用した。2種類の甘味料を使用することで、甘味の出方が変わるのだという。
 「甘味の出方は、緩やかなカーブを描くような形をイメージしています。カーブの山の下がり具合を緩やかにしたかったので、そのために、ハチミツを併用しました。食べると、はじめに砂糖の甘味、続いてハチミツの甘味を感じます。ハチミツには余韻のあるような甘味がありますので、カーブが緩やかになるんです」(栄徳シェフ)
 また、アメリカでは、「伝統に縛られず、いいものは取り入れるという自由な発想を持ってパン作りが行われている」ということも実感したという。
 栄徳シェフのパン作りも、こうした自由な発想のもとに行われている。
 例えば、少し変わった食感が楽しめる「バターミルクスコーン クリムゾンレーズン」(290円)。一般のスコーンのようにさっくりとしているだけでなく、生地と生地の繋がりを感じるような食感がある。この食感は、自家製のトルコヨーグルトを配合することによって作り出されたものだという。
 「トルコヨーグルトは、粘性があって、少し甘味があるという特徴があるので、それを活かしたパンを作りたいと思ったんです。クッキー生地に入れると、生地が縮み、食感もねちっとしてしまうのですが、スコーンに使ったら独特の食感を出すことができました」(栄徳シェフ)
 栄徳シェフはこのように、商品開発において、材料の特性をどう活かすかというところから、考えていくことが多いという。食材を、従来の使用法にとらわれず、パンに活用していく。そこに、栄徳シェフの自由な発想が生きている。





SHOP DATA
店名:ブラフベーカリー
住所:神奈川県横浜市中区元町2‐80‐9
電話:045‐6451‐4490
営業時間:午前8時〜午後1時半、午後3時〜午後6時半
定休日:火曜、水曜
品揃え:60〜70品目
スタッフ:製造4人、販売2人
店舗面積:厨房20坪、売り場9坪
日商:平日15〜18万円、土日20〜35万円





原価計算女王
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