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| 連載/2013年9月号 |
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| 地産地消で日本の農家を応援 - 一粒の麦から15(文・本行恵子) | |
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日本の食糧自給率やトレーサビリティーが問われる中、地元の農家と直接契約し原材料の小麦や野菜・果物を使ったパンの製造販売をする店が増えています。その土地で作ったものをその土地で消費する地産地消は、食品業界全体の動きにもなっています。取引先の農家から仕入れた新鮮野菜コーナーを店先に作り、販売しているところもあります。
生産者と直結し、トレーサビリティーがしっかりした(素性をきちんとたどれる)食材を使うベーカリーが増えるのは、安全で安心な食べ物を求める消費者にとっても嬉しいことです。最近は学校給食でも、地元の食材を使うケースが増えています。全国各地で地産地消が活発になる中、神奈川県と大阪の2つのベーカリーのケースをご紹介しましょう。 神奈川県の小麦でパンを作る(足柄麦神・麦師) 神奈川県の箱根町湯本にある「足柄麦神・麦師」は、和風創作パンをテーマに2008年2月にオープンした地産地消のパン店です。創業者の故高橋幸夫氏は4年前に病に倒れ、41歳の若さで天に召されました。命日の8月1日を記念し、賑やかで楽しいことが好きだった高橋さんを偲んで、3年前から「夏祭りパンフェスタ」が行われています。 今年も8月1日、高橋さんのお弟子さんである横浜市の「薫々堂」、名古屋市の「バゲットラビット」、静岡市の「プティタプティ」、伊勢原市の「ムールアラムール」などのオーナーさん達が集まり、それぞれの店の商品が販売されました。 また、厳選素材を扱うフォーデライト社のマダガスカル産の無添加コンフィチュールの試食や、タスマニア生ハチミツを使った「麦師流ハニーロール」も販売され、高橋さんに繋がるたくさんの仲間やお客様が集まり終日賑わっていました。 高橋さんは、1店舗目の「ブノワトン」(2010年3月閉店)の開業の時から、パンに使う小麦を自家製粉していました。日本各地の小麦生産者を訪ね、直接取引していました。 しかし個人店の消費量ではコスト面で負担が大きいため、もっと身近な地元で小麦を栽培できないかと思案していました。 その後神奈川県の農業技術センターから依頼を受け、製パン用小麦の研究に協力し、地元でもよい小麦ができることを知ります。神奈川県はかつて、小麦栽培や種の生産が盛んな地域でした。しかし小麦の買い取り価格の低さや後継者不足から、小麦生産農家は減少の一途をたどっていました。 そこで誕生したのが、農家と一緒になって神奈川県産の小麦を育成する「湘南小麦プロジェクト」でした。個人の力では無理なことでも協賛する人を集めれば形になるかもしれないと考えた高橋さんは、業界の仲間たちに声をかけ協力を求めました。そして2007年秋には、製粉会社「ミルパワー・ジャパン」を立ち上げました。 製粉所は平塚市片岡にあり、50トンの小麦貯蔵が可能な低温コントロールされた穀物庫、特大の6連の石臼製粉機、精麦ラインが設置され、高橋さんが描いていた構想が実現しました。 現在この製粉会社は、弟子のひとりで高橋さんから製粉技術の薫陶を受けた「ムール ア ラムール」の本杉正和さんが引き継いでいます。高橋さんが生産農家と築いた信頼関係を守りながら、製粉の仕事に励んでいます。 ファームマイレージで地産地消(鳴門屋製パン) 昭和9年に創業した大阪の鳴門屋製パンは、時代のニーズに合わせた商品を100種類以上取り揃えています。大人気の「東大阪ラグカレー」は、昨年開催された第3回日本全国ご当地パン祭りで準優勝した商品で、牛筋入りのカレーフィリングと、ラグビーボールのような形が特徴です。 最近力を入れているのが、大阪から始まった「農」を切り口にした生産農家と消費者を結ぶ「ファームマイレージ」です。鳴門屋製パンでは信頼できる生産農家の食材を使ったパンを作り、消費者に提供するという形で参加。例えば有田のみかん農家7軒が共同開発したみかんジャムを使った「みかパン」や淡路島のたまねぎを使った「たまねぎパン」などの商品を、積極的に生産者と交流して作っています。 春先に売り出した「ほうれん草ロール」は、東大阪市のほうれん草を使った野菜の甘さのあるロールパン。生産者の畑に行ってほうれん草の収穫体験ができる応募券つきで販売し、人気を集めました。農家の収穫体験では「今までほうれん草を食べなかった子供が喜んで食べるようになった」「収穫する喜びを体験でき、生きた食育になった」などの声が聞かれ、好評でした。 こうした地産地消の取り組みは、地元の作物に関心を持ち、食べ物に感謝する気持ちを育みます。 本行 恵子(ほんぎょう けいこ) パンと食のライター。家庭製パン教室を10年間主宰した後、パン業界専門誌『B&C』の編集記者、編集長として勤務。16年間の在職中、日本各地のリテールベーカリーや欧米、アジア諸国を訪問し、パンと食文化を取材。現在はフリーの立場で、業界専門誌や企業ホームページでの執筆活動、業界関連団体への企画提案などを行っている。ライフワークは、パンのある食卓の提案。 |



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