小規模ベーカリーが増加中。そのメリット、デメリットは? - ブランスリー電子版


ブランスリーアーカイブ(創刊号からの全記事)
記事の閲覧
<<戻る写真をクリックすると拡大写真が見られます。
レポート/2013年9月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


小規模ベーカリーが増加中。そのメリット、デメリットは?

小規模ベーカリーが成功する条件は?

 小規模ベーカリーが増えている。ものが売れない時代、大規模な投資には、二の足を踏んでしまうのか、これまでの常識的な投資額よりはるかに少ない投資で、ベーカリーを開業するケースが目立っている。リスクが少ないことや、オーナーの感性を店にダイレクトに反映させやすいことなどのメリットを積極的に活かして、成功しているケースも少なくない。



一期一会を旨として接客をすることが大事 - 小さなパン屋ネットワーク
小さなパン屋ネットワーク代表の岸本拓也氏
 小さなパン屋ネットワーク代表で、自らもベーカリーを経営する岸本拓也氏は、小規模ベーカリーを専門とした販売指導や広告宣伝、商品開発などのトータルプロデュースをしている。小規模ベーカリーの現状と成功の秘訣について話を聞いた。

小規模店のトータルプロデュースを始めて4年
 神奈川県横浜市の東急東横線・大倉山駅からすぐの場所にあるベーカリー「トツゼンベーカーズキッチン」を開業して8年が経ちますが、同時に飲食店のコンサルティングも行ってきました。「トツゼンベーカーズキッチン」では、シェフの個性から店のコンセプトを決め、そのコンセプトをもとに店づくりを行ってきました。時には、店内の装飾や、販売の仕方をホテル内のベーカリーのように演出したり、通常ベーカリーでは取り扱いがないであろうCDや書籍などを販売したりしました。それが結果として、ちょっと目を引く存在感を作ることに繋がったと思っています。こうした中で、ベーカリーに限らずフラワーショップや飲食店のオーナーからコンサルティングの依頼を受けることが増え、それを機に本格的にコンサルティングの事業を始めました。
 私は従業員5人未満で、厨房と売り場を含めた店舗面積が10坪ほどのベーカリーを「小さなパン屋」と呼んでいますが、この規模で営業する店は、ここ4〜5年の間で増えてきています。「小さなパン屋」のオーナーからのコンサルティングの依頼も多く、関東に限らず全国の店舗の相談にのっています。

小規模店は立地と接客がポイントになる
 小さなパン屋が繁盛するための必須の条件は、好立地であること、そして接客を中心とした販売の仕方が優れているということです。多くの店が技術に関しては大差はありませんから、明暗を分けるのはこの2つの条件だと言ってもいいと思います。
 まず立地についてですが、人の集まるところでなければいけません。駅前の路面店は無理でも、商店街の一角や市場の片隅など、賃料が比較的安く抑えられる穴場物件は探せばあります。店構えが小さければ、見た目で目立つことができない分、人の目に付きやすい場所でなくてはならないと思います。固定費を安くすることは大事なことですが、うまくいかないベーカリーは、人通りが多くない辺鄙な場所を選んでしまっているケースが多いのが現状です。
 販売や接客で重要なことは、お客様一人ひとりを大切に扱うことです。それが結果として店の宣伝にもなります。宣伝方法は、チラシのポスティングや折込チラシの利用、地域誌への掲載など様々な手がありますが、外部委託が増えれば増えるほど、経費倒れになる可能性が高まります。ですので、例えば、レジでの対応ひとつをとっても、心を込めて丁寧に行いましょう。お客様が満足してくだされば、口コミによって新規客の獲得にも繋げることができます。お客様1人に対する重みは、大規模店より小規模店の方が大きいのですから、一期一会の気持ちで接客をすることが大事です。また、スタッフ1人の顔が店の顔とも言えます。小規模店は、代わりのスタッフがいないのですから、一つひとつの行動に気を配らなければなりません。
 小規模店の利点として、意思決定の早さがあります。この機動力の良さは、商品開発などに活かしていくといいと思います。大規模店にはまねのできない細やかなことを絶えず行っていくことが、店の個性の確立に繋がっていくのです。個性が育ってくれば、小規模でも埋没することなく、街の中での存在感を強くしていくことができると思います。



店舗が店の特徴を表現していなければならない - 第一店装
第一店装の角田誠社長
第一店装の作業場では全国の店舗の什器などが職人によって製作されている
 商業施設の企画、設計、施工を行う第一店装(神奈川県川崎市)の角田誠社長はこれまで、300を超えるベーカリーの企画から施工までを手掛けてきた。これらの経験をもとに小規模ベーカリーの新規開業者向けの総合支援システム「B+(ベーカリープラス)」を、新たな事業として始める。同支援システムについて聞いた。

店の特色を知ってもらうことが重要
 小規模ベーカリーは、私がこの仕事を始めた27年前からありましたが、その軒数は、近年増えていると実感しています。小規模であること自体、珍しくはなくなってきているのです。こうした中で、より重要となってくることは、「うちの店はこういう店だ」と、自店の特色を打ち出していくことです。
 また、消費者の嗜好も多様化しています。根強いファンを獲得するためにもまず、店の特色を知ってもらうことに務めなければなりません。
 店の特色を打ち出すためには、店づくりの仕掛けが重要となってきます。POPや掲示板を活用して、店のコンセプトを伝えることができれば有効です。店舗自体が店のアピールを手伝ってくれれば、頼もしい営業マンが1人いることと同じだと言えるのではないでしょうか。人手に限りのある小規模店は、このようなかたちで宣伝部門を強化すると良いですね。

良い物件が見付かれば、初期投資が抑えられる
 今回立ち上げたベーカリーの総合支援システム「B+(ベーカリープラス)」は、新規開業者向けとして、店舗づくりからサポートします。店舗づくりは、床材や壁材などといった、店の雰囲気作りに直接関わる建築工事だけでなく、電気やガス、排気、空調などの設備工事もあります。設備工事は物件によっては、通常の3〜4倍費用がかかる場合もあるので、契約前に専門家のチェックが必要です。また、居ぬきの場合は残された設備や備品などの処理をどうするかという問題もあります。処分費は意外と高額ですので、注意が必要です。
 初期投資は、それでなくても予算を超えてしまいがちですから、立地面だけでなく、設備工事の費用のことも考えた上で、物件を探していかなければなりません。ですから、良い物件を見付ければ、逆に初期投資を抑えることができます。そうすれば、開業後の運転資金や販促資金に回すこともできますし、気持ちに余裕を持って営業していくことができると思います。

備品も活用して店の特色を客に伝える
 開業後、お客様にさらに店の特色を知ってもらうために欠かせないツールがあります。それは、「本日のおすすめ」などと書いて店頭に設置するイーゼルです。通行人の足を止め、新規顧客開拓のきっかけづくりにもなりますし、書き方次第では、一目で店の特色を知ってもらうことができます。小規模店こそ、営業マンだと思えるくらいにイーゼルも活用しましょう。
 「B+」のメンバーには、東京・三鷹のベーカリー「Bitte(ビッテのパン)」の臼井直美オーナーシェフもおりますが、同店はまさに小規模店です。売り場と厨房を合わせて3坪ほどしかなく、製造と販売をこなすのは臼井シェフ1人です。臼井シェフのパン作りに対する考え方は確固たるもので、自家製酵母や国産小麦を使用し、保存料や添加物は使わないなどといったこだわりがあります。
 しかし、そのこだわりをただ持っているだけではだめで、お客様に伝えていかなければ、定着した人気は得られなかったでしょう。臼井シェフの実体験からも、店舗のつくりや備品などを活用しながら店の特色を伝えていく方法をお教えすることができます。
 また、「B+」では、小規模店用に、狭い厨房内にも納まるようなコンパクト設計のオリジナル機材を利用していく予定です。



ベーカリー新規開業者のための総合支援システム「B+(ベーカリープラス)」

サポート内容
▼パン作り、商品開発
 材料選びから酵母の起こし方、生地づくり、成形、発酵、焼成、仕上げまでを指導。オリジナル商品の開発や作業工程の組み方、衛生管理なども指導する。
▼店舗の設計・デザイン、プロデュース
 物件探しから、不動産契約、資金計画・コンセプト立案、店舗設計、見積もり査定、工事契約、設計管理・竣工・引渡し、開店準備までを指導。
▼運営指導、開店後フォロー
 価格設定から、売り上げ予測、商品構成、陳列ディスプレイ、接客、仕入れ、販売計画、経営・運営管理までを指導。
   ◇
サポートメンバー
▼設計・デザイン担当
 飲食店舗プロデューサー、イマデザインワークス社長、水谷功氏
▼パン作り指導担当
ベッカライ Bitteのパン代表、臼井直美氏
▼ベーカリー店舗施工・経営指導担当
商業施設士、第一店装社長、角田誠氏

原価計算女王
原価計算女王

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

今月の公開記事

  1. POLINの高性能オーブンを日本市場へ 。450℃の焼成力と緻密なヒーター制御 - スズキ産業の下河拓磨社長
  2. 見やすい売り場と旬の味で、地域が誇れるベーカリーへ - アリマベーカリー
  3. 「ちいかわ」の世界観を表現したパンと店づくり - ちいかわベーカリー
  4. 掲載から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文を公開しています。
    ブランスリーアーカイブ
ブラ立ち読み
(記事の無料メール配信)
詳細はこちら