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| レポート/2013年8月号 |
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| 原材料高騰による値上げについて考える 原材料高騰は、コンセプトを再確認するいい機会になる 4月1日から輸入小麦の政府売渡価格が平均9.7%引き上げられたことを受け、製粉大手各社は7月出荷分から小麦粉の値上げを実施した。製パン業界では、最大手の山崎製パンを始めとするパンメーカーが、7月から値上げを実施している。こうした状況のなかでの、リテールベーカリーの対応を取材した。
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| 値上げに見合う価値を追及し顧客の期待に応えていく - ムッシュイワン | |
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高品質志向の店が求められる兆しも
「ムッシュイワン」(東京・立川市)のシェフであり、ホテルベーカリー出身の小倉孝樹社長は、今回の小麦粉値上げについてこう語った。 「今後、高くても高品質で高級なベーカリーが求められるのではないかと思います」。 同店の特徴について小倉社長は「パンの消費の内、ホールセールの利用は約7割で、残りの3割をリテールベーカリーで取り合っています。当店は3割の中の、価格にこだわらず上質なパンを食べたい消費者をターゲットにして来ました。ホールセールとの価格競争よりも、シェフ自身が良いと考える味を追求して提供していくことが、当店の存在意義です」と話す。 そんな小倉社長はこのところの原材料の高騰に対し「お客様の限度予算を見つつ、品質維持のために必要な値上げはしていく」という姿勢だ。 同店の値上げは7月半ばからスタート。「良い品を作っていたら、代替材料を使ったり、ポーションを調整たりしてまで、価格を抑えようとは思えません。ファンの方は必ず品質低下に気付きます。粉やフィリングの味の違いがわかるからこそ、当店を支持して下さっているのですから」(小倉社長)。 では、同店はどうやって消費者に値上げを浸透させているのか。「根本にあるのは、お客様との信頼関係です。『この店なら良いパンを作ってくれる。原材料の値上がり分の値上げはやむを得ない。適正価格なのだ』と我々の技術を信頼してもらうということです。そして、それを伝えるのに効果的なのは、販売員の説明だと考えています」と小倉社長。 小倉社長は、ポップやポスターで解説するよりも、お客様に適切なアテンドと説明のできるスタッフの接客技術が有効と考える。その理由は、「ここは高級な店だ」と客に感じてもらうことが鍵だからだという。内装やインテリア、包装材料にも高級感をプラスし、店全体のイメージを高級志向にする計画もあるそうだ。 「価格競争は、やればやるほど苦しくなるものです。景気動向はまだ見通せませんが、大企業は給料アップしています。そういった層や、暮らしに余裕があり高品質を求める年配世代をターゲットに、高品質志向のベーカリーを追及していくのも、有効な生き残りの道ではないでしょうか」(小倉社長)。 高級店の考える原価圧縮と価格改定 価格改定に当たって、小倉社長は、▼新製品や、季節性、流行を取り入れた製品を開発すること▼イメージ戦略で高級感を出し、価格に納得してもらうこと▼主力製品は、品質を落とさないために適正価格で出すこと、の3つが大事だと語った。 主力製品を値上げ対象とするのは、ファンのいるアイテムは値上がりが理解されやすいため。消費者は日頃食べ慣れない製品が値上りすると全く買わなくなるのだという。 同店で好評なのが、毎週金曜日のバゲットの割引だ。定価260円を70円引きで販売する。 「毎週金曜日はいつもよりバゲットの売れ行きが良い傾向が続いていたので、割引サービスを取り入れました」と小倉社長。その結果、定価時の2〜3倍の売上を記録しているという。ブランドに信頼が得られると、値下げのサービスにも興味を持ってもらいやすいのだという。 また、流行をテーマにしたイベントとして、7月は「イタリアンフェア」と題し、欧州やイタリアの食材を使った「ピザ」や「チャバタ」(120円)」「フォカッチャ」(100円)などを売り出す。洒落た雰囲気を出し、同店のブランドイメージを損なわない戦略だ。 では、原価の圧縮についてはどうだろう。「ロス対策は重要ですが、当店の場合は、お客様の期待する品質を考えると、二次加工で有効なのは、ハード系のラスクへの加工か、レーズン入りのような甘いパンの加工のみです。だから二次加工による原価圧縮比率は低いですね」と小倉社長。また、代替材料については、「当店の製品は97%がバターを使用しています。しかし、例外的にコンパウンドを使ったほうが、バターよりおいしくなる製品があります。代表はメロンパンです。こういった代替が映える製品もありますので、そういうアイテムが多い店の場合は、使い分けを研究するのも原価圧縮に繋がるでしょうね」と語った。 飽くなき品質へのこだわり 同店の根本にあるのは、飽くなき品質へのこだわりだ。販売戦略よりも、まず小倉社長の信じる製パン技法があり、焼き上がった上質なパンがある。そこから売場のイメージが生まれ、販売戦略がスタートする。 「問屋やメーカーを回って仕入れをきるだけ工夫するのは大事なことです。しかし、高品質のパンを提供するためには、人件費は下げられません。だから、味わいでお客様に価格を理解してもらわなくてはなりません。ホールセールを愛好するお客様は、値上げしなくても、あるいは多少値下げしても、我々のパンの相場感に理解は得られません。それよりも、我々の店をリピートしてくれる大切なお客様の期待に、応えていきたいですね」。 高級志向は、高い技術が生んだ必然のようだ。 |


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