顧客にとって食品庫のような存在に - ハナサクベーカリー - ブランスリー電子版

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お店拝見/2013年7月号

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顧客にとって食品庫のような存在に - ハナサクベーカリー
白い外壁に黒地の看板が映える。パンが並ぶ様子が外からもよく見える
「カンパーニュ いちじく ブルーチーズ&ハチミツ」(210円)は塩気と甘さのバランスがよく、風味が豊か
惣菜パンは旬野菜を使ったパンや、自家製カレー入りの「豆カリーパン」(160円)も人気。このほか、食パン、ハード系、、サンドイッチ、ベーグル、スコーンなどバラエティー豊富
カンパーニュ生地にナッツやフルーツを入れて6アイテムを展開。購入しやすいよう、それぞれ小ぶりにしている
所狭しと約50品目が並ぶ2・5坪の店内。「お土産に持っていくのよ」と、旬野菜を使った季節商品を4つほど購入していった
 「自宅の冷蔵庫を開けるくらいの感覚で来てもらいたいと思っています」と語るのは、東京・小平市の「ハナサクベーカリー」のオーナーシェフ、山崎裕司さん。
 同店は西武鉄道多摩湖線・一橋学園駅から線路沿いに歩いて5分の場所にある。白い外壁、店内が見える全面ガラスの引き戸の入り口、黒地に映える真っ白な文字で店名が書かれた看板が印象的なシンプルな見た目でこぢんまりとした佇まい。入り口の引き戸は通りに面していて、山崎さんが表現するように、冷蔵庫の扉を開ける感覚で、通りがかりでも気軽に引き戸を開けて入りたくなるような思いにかられる。
 周囲には多くの住宅が立ち並び、駅前には古くから続く商店街がある。しかし商店街は昔と比べて活気がなくなってきたそうで、休みの日に大型スーパーに買い出しに行く人が目立つという。
 「パンもまとめ買いして冷凍保存する方が増えていますが、やはりパンは、その日に焼いたものをその日のうちに食べてもらいたいですよね。特に食事パンは主食なので、価格は低めに設定して、より気軽に買っていただけるようにしています」(山崎さん)
 空腹を感じて冷蔵庫を開ける感覚で、同店に来店することが、客の1日の生活の中に自然なものとして組み込まれるようになることが、山崎さんの目指す店づくりなのだ。
 約2・5坪の小さな売り場には、所狭しと約50品目のパンが並ぶ。「季節のパン」と書かれた、新じゃがや新たまねぎを使った惣菜パンや、ナッツやフルーツを練り込んだハード系のパンやベーグルなどバラエティー豊か。小さなスペースに多品目の品揃えを実現するため、品目ごとの製造数は少なく設定している。1品目あたり最も少ないもので6〜8個だ。
 「自分にとったらたくさんのパンのうちの1つですが、買う人にとってみたら来店の動機になっているパンですからね」(山崎さん)



購入する様子を見て想像することが重要
チャバタ生地で旬の野菜を包んだ「新じゃがとローズマリー」(180円、左)と「新たまねぎとベーコン」(180円、右)。野菜の歯ごたえや風味が生かされた味わい
「新じゃがとローズマリー」の断面。大ぶりのジャガイモがふんわりとした食感のチャバタ生地によく馴染んでいる
自家製カスタードクリーム入りの「ハナサクカスタード」(160円)は定番の人気商品
「ハナサクカスタード」の生地はブリオッシュ生地で、焦がし砂糖の風味を出すため、香ばしく焼き上げている
オーナーシェフの山崎裕司さん
 オープンして3年目を迎え、品目数は当初の約2倍に増えた。店内の陳列棚を増設し、サンドイッチ専用の冷蔵庫も設置した。
 「品揃えに関しては、望まれないものを作ってもしょうがないという気持ちで、店を開いてみて、お客様の反応をみながら開発していこうと思っていました」(山崎さん)
 サンドイッチの製造は販売担当の妹の裕里さんが担当するが、そのほかのすべての製造は、山崎さんが1人で行う。朝4時から厨房に入り、夜7時の閉店時には厨房内の片づけを終えるというのが山崎さんの1日のスケジュールだ。
 1日中厨房で作業しなければならないため、売り場にはほとんど出ることはないが、客が来店する度、「いらっしゃいませ」と声掛けをし、売り場の様子をガラス越しに見ている。どの客がどのパンを購入していくのかを見ているのだ。
 「お客様1人ひとりについて、どのようなパンが好きなのかと考えながら見ています。そして、商品のどこを気に入って購入してくれたのかという点を考えます。具に使っている食材自体が好物だからなのかとか、見た目がやわらかそうなパンだったら食感が好みだからなのかとか、その商品が持つ特徴を分析して想像します。想像することが大事だと思っています」(山崎さん)
 客が、パンを選んで購入していく様子を、実際に見届けることからは、売上げ個数の数字だけからではわからない、製品開発における重要なヒントが得られるのだ。
 「新じゃがとローズマリー」(180円)や「新たまねぎとベーコン」(180円)など、旬の野菜を使った季節商品なども、こうした日々の観察で得た情報をヒントに開発されているのだろう。
 「品揃えは、お客様の購入する様子や売れ方を見ながら、必要と感じれば、どんどん入れ替えていくようにしています。オープンして3年目ですが、商品のラインナップも商品自体も、まだまだ未完成だと思っているからです。一方、季節商品ではない商品を入れ替える場合は、旧製品をそれまで好きで買ってくれていたお客様をがっかりさせたくないので、ただ新製品と旧製品を入れ替える、ということはしないようにしています。『気に入っていたパンが、もっとおいしくなった』と感じてもらえるように意識して、開発をするように心がけています」(山崎さん)
 購入していく様子だけでなく、山崎さんは購入後のパンの行く末も、想像し考えているという。
 「いつ食べているのかとか、どのような食べ方をしているのかということを想像しています。おいしい食べ方を紹介したリーフレットを渡したりすることも考えていますが、焼きたてでなく冷めた状態でも、さらには1日経っても、おいしく食べられるパンであることも重視して作っています。『おいしそう』と、購入時に抱いて頂いた期待感を、裏切ってしまうようではだめですからね」(山崎さん)
 「バゲット」(180円)は、午前中と午後4時の2回、焼き上げる。
 「『バゲット』は夕食時に召し上がる方が多くいらっしゃいますからね。オーバーナイト製法による『バゲット』は特に、時間経過によるひきが出やすいので、焼きたてのパリッとした食感の状態を召し上がっていただきたいんです」(山崎さん)

ハナサクベーカリー
住所:東京都小平市学園西町1‐19‐14 第二長縄ビル1F
電話:042‐347‐0607
営業時間:午前9時〜午後7時(土曜・祝日は6時まで)
定休日:日曜、月曜
品揃え:50品目
スタッフ:製造1人、販売1人
店舗面積:厨房7・5坪、売り場2・5坪







原価計算女王
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