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| お店拝見/2013年3月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 戦うリングから創造する厨房へ - TOLO PAN TOKYO | |
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「TOLO PAN TOKYO」(トロ パン トウキョウ)という少し変わった名前のベーカリーが、東急田園都市線の池尻大橋駅近くにある。名付け親は、今年でベーカーとして16年目を迎えた店長の田中真司さん(34歳)。神戸市出身の田中さんは、高校時代ボクシング部に所属。小学生時代に観たアメリカのヘビー級チャンピオンの試合に感激。高校は市内のボクシング強豪校へ入学し、日々努力や研究を重ねたという。目標実現に努めることが、直接試合の結果に現れた。
学校を卒業すると同時に、パンの世界に飛び込んだ。母親と一緒に初めてシュトーレンを作った嬉しい記憶が後押しをした。初めての職場となったホテルでは、パン生地に触るだけでも本当に楽しかったそうだ。 しかし、作り方に関する疑問について先輩に尋ねても「そういうもの」といった答えしか返ってこなかった。2年間の在職中、田中さんの心を徐々に占めていったのは、「他の職業につきたい」という思いだった。ボクシングでは、疑問には具体的な解決方法が示された。努力のしがいがあった。しかし、最初のパンの職場では頑張る切っ掛けさえつかめなかった。 22歳で上京し、幾つかのベーカリーで働いたが、満足は得られなかった。1年後のある日、偶然、青山の骨董通りにあるベーカリーデュヌラルテに出合った。ベーカーとして飛躍する端緒となった。田中さんが望む本当の意味でのパンの修業が始まったのだ。師匠は、ベテランの女性ベーカー。基本から厳しく指導されたという。 「例えば、何故、生地に塩を入れるのか、パンによって塩の量を使い分けるのはなぜか、などについて、ハッキリとその理由を説明してもらいました。パン作りの面白さを知ると同時に、自信を持つことができました。それまでは、モノマネのパンしか作れなかったんですから」と田中さん。 デュヌラルテには6年間在籍。前半の3年間はベーカーとしてパン作りに没頭した。残りの3年間は商品開発を任されたという。 |

| クロワッサンに感謝状が贈られる | |
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2009年7月にオープンした「トロ パン トウキョウ」は、6年間の修業で得た技術と発想の表出場所のようにも思われる。そのコンセプトは「美味しさ」。その内容は「軽い食感で味を濃く」が基本だ。具体的な味を代表するのが、まず、「クロワッサン」(260円)。長時間の低温発酵でバターの風味を引き出すとともに、パイのような食感を生み出した。形は通常のものよりも大きめで、しかも少し不恰好。でも、温度の低いフィリングをサンドしても美味しく食べられる。このクロワッサンには、今年1月に、クロワッサン朝食会という団体から、感謝状が贈られた。理由は、「2010年から2012年までに、同団体のメンバーが食べたクロワッサンの中で最もおいしかったから」というものだった。日々の努力の証の一つが示された。
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| 気配りが生み出す美味しさも | |
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田中さんは、毎朝4時から仕込みを始める。以前は、料理と合わせて100点になるようなパン作りを考えてきたが、今は、パンそのものが100点になるパン作りを目指すことで、美味しさを追求しようとしている。
同ベーカリーにはレーズンで起こした自家製酵母がある。オープン以来、ライ麦で種を継いできた。この自家製酵母を使用するパンは複数ある。それらのパンに利用する場合は、イーストを加えるという。食感が軽くなり、食べやすくなるそうだ。 同ベーカリーの美味しさを支えるもう一つの要素がある。それは「気配り」。車椅子に乗った客や乳母車を引いた母親が来店すると、店員は入り口のドアを大きく開けて招き入れる。およそ5坪の小さな売り場は、客の嗜好に応えたパンの香ばしい匂いだけに満たされている訳ではないようだ。 なお、世田谷区代田には2号店の「トロコーヒー&ベーカリー」(電話03‐5787‐6732)がある。 |

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SHOP DATA
店名:TOLO PAN TOKYO(トロ パン トウキョウ) 住所:東京都目黒区東山3−14−3 電話:03−3794−7106 営業時間:午前7時〜午後8時 定休日:火曜 品揃え:60品目 店舗面積:厨房約7坪、売り場約5坪 スタッフ:製造3人、販売1人(常時) 日商:12万円 |
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