新サービスとして定着するか? 焼きたてパンの宅配サービス - オリミネベーカーズ - ブランスリー電子版

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レポート/2013年2月号

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新サービスとして定着するか? 焼きたてパンの宅配サービス - オリミネベーカーズ
お洒落な雰囲気を醸し出す金属製の看板
 スーパーでも宅配の広告が目に付き、大手コンビニ店舗の駐車場でも宅配専用のバイクの存在がおなじみになってきた。販売店が生鮮品を自宅に届けるサービスが普及する中、パン業界はこの流れに乗ることができるのか。昨年春から東京・築地で焼きたてパンの宅配サービスを開始したオリミネベーカーズを取材した。



焼きたてパンの宅配、その需要と想定客層
機動性に富む配達用の電動自転車
配達用の電動自転車の背後の荷台はパンがたっぷり入るように大きめだ
予約を受けた品は、焼きあがってから配達時刻までスタッフに見守られながら待機
店舗外観。店の前に停まっているのは配達用電動自転車
土地柄、観光客の来店も多い。店舗デザインのコンセプトはフランス風
 日本国内の遠隔地へパンを宅配するパンの通信販売の導入が進んで久しい。それに対して、近年新たに注目すべきはベーカリーによる焼きたてパンの近隣への宅配サービスだ。
 近隣への宅配サービスは、遠隔地への通販とは提供できるサービスが大きく異なる。
 遠隔地への通信販売は、焼成後時間がたっても、できるだけ風味や味わいが損なわれないパンや、消費者宅で解凍し焼成できる冷凍便によるパンなどを提供する。いわば、遠くのベーカリーの自信作を楽しむサービスだ。
 一方、宅配サービスは焼きたてパンを、種類を問わず近隣の消費者宅へ最短でその日のうちに届けることができる。
 宅配サービスは、他の食品産業が先行し好調だ。大手コンビニのセブン‐イレブンは、公式サイトにおいて、宅配サービスを、家事と仕事を両立しなければならず、忙しくて料理ができない主婦や、妊娠中の女性など遠くまで買物に行くのが難しい人などにおすすめであると紹介。これらの人々は、現代の生活の中で数を増やしており、ベーカリーの客層にもよく見られる存在だ。配達予約も当日便や翌日便が用意されており、比較的急な必要性に対応できる。
 では、ベーカリーの宅配サービスの実態はどのようなものか。2012年春より近隣エリアを範囲に焼きたてパンの宅配サービスを開始した東京・築地のオリミネベーカーズ、田中進一チーフはこう語る。
 「自炊に苦労しているお年寄り世帯が増えているとは聞いており、パンの宅配はそういった需要に応えるサービスになり得るかもしれない。サービス導入を検討したときに、それも動機のひとつにあがりました。ただ、目下の当店にとって実際のメリットは、少し離れた地域のお客様にパンをお届けし、オリミネベーカーズの存在を知ってもらい、リピーターになってもらうことです」
 同店の立地は中央区築地7丁目。宅配サービス実施エリアとして最初に重要視したのは、勝どき橋を渡った勝どきエリア。「この地域は橋のこちらと向こうで別の地域という感覚があります。ですが、勝どきの住宅街にはマンションが多く、ベーカリーは少ないんです。当店のリピーターになり得る人たちがいるはずと考え、その人達に当店を知ってもらい、足を延ばしてもらうようになってほしかった」と田中さん。
 宅配サービスの告知は新聞折込広告を利用した。滑り出しは1日20件の注文が入った。広告を打てば、まさに響くように注文が入り始めた。その後も、「チラシを出せば注文が
入り、新規客が増える」という結果が得られている。実際に勝どきの住宅街から来店する人も増え、新規客の獲得という狙いは当たった。「安定した注文数があるので需要あるサービスととらえ、今後も継続するつもりです」(田中さん)



店のスタッフが配達することで顧客との新密度が増す
田中進一チーフ。製パン業歴約15年の豊富なキャリアを持つ
子供から大人気の「くまぱん」(120円)。中には自家製カスタードクリームがたっぷり
菓子パンをケースに入れるなど、必要なラッピングを施して出発を待つ。人気の食パンは週に2〜3回購入するリピーターも。あんぱんやメロンパンといった定番商品が高需要
人気商品「メロンパン」(160円)。きび砂糖の優しい甘さ
 現在の注文状況は、1日約10件。特に店の売上が伸びる土曜日に宅配の注文も増えている。また、雨の日や寒い日など、出掛ける足が鈍る日に注文が増える。配達希望時間帯は午前11時から午後1時ぐらいの昼時が最も多く、午後4時から5時が最終便だ。店のホームページやチラシには商品の焼きあがり時間が記されており、予約客は各商品の焼成スケジュールに合わせて注文を行う仕組み。1台の電動自転車で当番のスタッフが配達するため、時間帯ごとにある程度の注文数をまとめて出発。焼きたての味わいをそのままお客の元へ届けることができる。当日に注文すると揃えられないものもあることから、前日に注文する人が多い。
 主な客は、個人宅では年配夫婦と乳幼児のいる主婦だ。リピート率は高く、おなじみの人から注文を受けることが多い。オフィスからの注文もある。オフィスの場合は、従業員達が複数集まってまとめて注文してくる傾向。
 一番の人気商品は、同店こだわりの食パン「折峰食パン」(1斤400円、ハーフ200円)や「ミルキーブレッド」(1斤280円、ハーフ140円)だ。他にはバケッドなどの食卓パンの需要が高いという。「オフィスの方の注文商品は様々ですが、食パンを注文されることもありますよ」と田中さん。オフィスからの注文は築地エリアに多い。会社に配達可能な同店のシステムは、勤務時間が長くベーカリーの営業時間中に買物に行きづらいビジネスマンにとって、パン食に触れる良い機会なのかもしれない。
 同店の宅配サービスの特色について、田中さんはこう語る。
 「自分達の食べたいパンをつくるのが当店のコンセプトなんです。だから、自分達で配達することで、品質管理も行えることが大きなメリットですね。自分達の手の届く状態で良いパンや菓子を届けたいですから。形が崩れやすいパンはケースに入れていますが、最初の頃は慣れなくて配送中に形を崩しそうになったり、失敗もありました。自転車できれいな状態のまま配達するのは難しいですが、いまは工夫してコツを掴んでいます」
 また、レジや販売担当者などの店舗スタッフが直接宅配に出ることで、お客様との親密度が上がる効果もあるという。顔見知りになるので、配達時にパンについて話が弾むこともあれば、ちょっとした差し入れを持たせてくれるお客もいるという。パンの宅配は、客との距離を縮める効果が期待できるのだろう。
 同店は2011年春にオープンした開業2年未満の若い店だ。「パンを食べることが大好き!そんな仲間が集まって生まれたベーカリー」をキャッチフレーズとし、夏場にジェラートサンドを開発するなど、新しいことへの取り組みにも余念がない。
 「お客様に良いサービスや良い商品を提供するために、融通を利かせてやっていきたいんです。チェーン店と違ったバリューを生み出すためにも、チェーン店にはない自由なサービスを打ち出していきたい。そういう点を、宅配サービスにもどんどん盛り込んでいきたいですね」と田中さんは話す。
 現在、同店にとって、宅配サービスは集客手段として大きな効果を発揮しているが、売上の大きな柱にはなっていないという。
 しかし、地域に需要があれば自転車1台で消費者宅へ焼きたてパンを届けることができるこのサービスには、今後のベーカリーに求められる有意義な多くの要素を含んでいるのかも知れない。

サービス概要
注文方法:電話のみ
予約期限:基本的に宅配希望日の前日まで。当日も可(店の焼成時間を基準とするため、状況により配達時間や配達可能商品は多少変わる)
宅配営業時間:午前10時〜午後5時(水曜、年末年始定休)
商品内容:同店の全取扱商品(夏場は要冷蔵品は除外)
配達可能エリア:近隣エリア(勝どき、晴海、月島、築地、明石町、湊、新富、入船、佃、豊海町)
主な対象:オフィス、個人宅
支払方法:現金のみ
受注条件:1回あたり1000円以上の注文から。宅配手数料無料。
宅配方法:電動自転車にて店舗スタッフが配達。
主な特徴:焼き上がり時間を目安に配達することで、焼きたての味を提供。





オリミネベーカーズ
住所東京都中央区築地7丁目10−11
電話03−6228−4555
営業時間午前7時〜午後7時30分
定休日水曜日
品揃え約50品目
スタッフ10人
店舗面積厨房約6坪、売場約5坪



原価計算女王
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