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| レポート/2013年1月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 消費者が求めるパンとベーカリー - こんがりパンだパンクラブ代表ひのようこさんに聞く | |
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クリスマスにシュトーレン、お正月はガレットデロワ──。この数年で、様々なイベントにちなんだ商品を販売するベーカリーが増え、パンが世の中を盛り上げる食品として利用されるケースが増えている。この流れに乗り、パン食普及を加速させるためにベーカリーとしてどんな消費者ニーズに応えるべきか。1999年にパンサークルを立ち上げ、現在約400人の会員と共にベーカリー巡りやパン試食イベントを行っているひのようこさんに話を聞いた。
ひの ようこさん NPO法人こんがりパンだパンクラブ代表。これまでに200回以上イベントを開催し、5000種類以上のパンを食べている経験を活かして、「パンと人をつなぐ」をテーマに活動中。企業向け活動としては、イベント企画や、商品開発アドバイス、アンケート調査などの実績がある。 |

| ベーカリーファンはライブ感を求める人達 | |
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──そもそもリテールベーカリーのパンを好む消費者は、どのような人でしょうか。
ひの ホールセールのパンを買う消費者と比べると、パンに求めるものが全く違っています。価格が高くても自分の満足いくものを探している人達なのはもちろんですが、それ以外に、焼きたてのパンの香ばしさ、店員さんの「焼き上がりました!」の呼び声などに象徴されるベーカリーのライブ感を楽しんでいる人も多いですね。 お店で店員さんとお話しするのも大きな楽しみです。そのパンの特徴や、どんなフィリングと組み合わせると美味しいかなどを聞きたいのです。パンクラブの会員さん達も、新作や季節物、イベント製品などを、いつもとても楽しみにしています。 私自身は素敵なパンに出会うと「どんな人が作っているんだろう」「どうしてこのパンを思い付いたんだろう」と、シェフの考えまで知りたくなります。私がパンに夢中になったのは、ベッカライ徳多朗のミルククリームがきっかけです。色んなパンを食べるようになりましたけど、最初は「いつかパンに飽きるだろう」と思っていました。でも、新しいパンを知れば知るほど、ますます興味が募っています。パン職人さんそれぞれにパンに対する考え方の違いがあるのも興味深いです。工夫の凝らされたパンが与えてくれるおいしさだけではなく、ベーカリー自体の楽しさも魅力ですね。ベーカリーに行って、パンだけしか見ないことはありません。必ず、お店の雰囲気や、総合的なそのお店のカラーを楽しみたいと考えています。 ──リテールベーカリーがリピーターを増やすには、どうしたらよいと思いますか。 ひの パンの特徴と食べ方を、ぜひアピールしていただきたいですね。パンに慣れていない人は、そのまま食べられる、そのパン1個で完結できるような味のついた惣菜パンや菓子パンを買うことが多いように感じます。なかなかハード系の食卓パンには手が伸びない。理由は簡単で、「どう食べていいかわからない」からなんです。ドイツ語やフランス語の名前がそのままついたパンはまだまだ浸透していないものが多いので、初めての人はどうしていいかわからないんです。そこをベーカリーから歩み寄ってもらいたいのです。 ある住宅街のベーカリーの事例です。年配のリピーターも多いお店なのですが、やはりハード系に手が伸びません。バゲットを見て、「これ硬いんでしょ?」と尋ねられることが多かったそうです。そこで店員さんは、どうやって食べるのか、食感はどうか、などについて伝え、「こうすれば、お酒のつまみになる」「こういうおかずと合う」などと詳しく説明しました。今ではだいぶ浸透してきて、あるお客さんはバケットを購入して、地元の老人会に持っていくようになったそうです。 食べ慣れない人や一人暮らしの人にとっては、丸ごとのカンパーニュや大型のドイツパン1個は「食べきれない」という印象を持たせます。スライスして2〜3切れで100円位でお試し販売があったり、気軽にハーフサイズや、3分の1カットで買えるようになっていると初めてのパンもトライしやすいですね。 食べ方提案以外にも、「そのお店の代表作」「季節のオススメ品」「新製品」などがポップで分かりやすく表示されていると、買い物がしやすいので、ぜひポップでアピールしていただきたいです。季節ごとに新しいパンがあるとリピートしていても、お店に行くのが楽しみになりますね。 ──食べ方提案の例を教えて下さいますか。 ひの 食べ方提案を実践しているお店は増えています。ジャムやバターのほかに、オリーブオイルや塩、ハチミツを、食べ方の提案をしながら提供してくれるお店をよく見るようになりました。例えば、埼玉のあるベーカリーでは、レジ横で食べ方を紹介したリーフレットやニュースレターを配布しています。お客さんの入りも多くて、人気店です。レストランが母体のあるベーカリーでは、レジ横の提案として、バケットで作ったパン粉(200グラム50円)が売られていたこともありました。メッシュの荒いパン粉で、カツレツを作るのに向いているそうです。余ったバケットの再利用になるでしょうし、私達も加工済みの珍しいパン粉を50円で買えるのはとても助かります。そういう提案が楽しいですね。 フィリングとの組合せの例も面白 いですよ。パテ・ド・カンパーニュのサンドイッチの普及はベーカリーのお手柄でしょう。イートインがなくても、サンドイッチ販売で提案できると思います。パテ・ド・カンパーニュを味わいの濃いパンと合わせたときのおいしさは忘れられません。最近はタルティーヌも人気が出ていますし、インパクトのあるフィリングとの組み合せは、パンの魅力を伝える良い方法のひとつだと思います。 ──セルフ販売で、お客様と話す機会が少ない場合は。 ひの ぜひPOPを充実させていただきたいです。イラスト付きだったり、おしゃべりするような楽しい文で書かれているPOPは思わずじっくり読んでしまいます。 お客さんと話す機会が少ない場合は、リーフレットやニュースレターもアピールになると思います。パンの情報はとても知りたいものなのです。 最近、心惹かれたのは、お店のツイッターです。ツイッターに流れて来る「焼き上がりのお知らせ」は、お店をとても身近に感じさせますし、写真が付いているとなおさら、購買意欲を刺激されますね。ツイッターはリアルタイムの情報が流れますから、雨の日対策にも良いと思います。インターネットを利用している人はたくさんいます。ネットは、他の販促手段と同様に手間は掛かりますが、工夫をすれば無料でチャレンジできるところが利点でしょう。 あとは、店頭の黒板に書かれた手書きメッセージを読むのも好きです。例えば、「今日は寒いですね。アツアツの焼きたてでお迎えしています!」といったお店との距離感が縮まる一言メッセージには心を惹かれます。お店の個性を楽しみたいのです。 |

| ギフトと通販・宅配がパン食普及の鍵に | |
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──通常の販売以外に、パン食普及のためにベーカリーができることは。
ひの パンを食べるシーンを増やすことだと思います。 今注目しているのは、ギフト用のパンです。クリスマスのシュトーレンやリースはだいぶ普及していますが、アレンジを加えることでギフト用パンは色んなシーンで使えると思うんです。あるお店では、ギフト用にメッセージが入れられるパンを予約販売していて、好評だったと聞いています。飾りパンもありましたし、チョコペンで「パパおめでとう!」のようなメッセージを書き込めるタイプもありました。 そういったギフトパンを、イベント時だけでなく、通年で実施してはどうでしょうか? 普段から実施していれば、お客さんの印象に残ると思いますし。 私自身が最近気に入っているギフトタイプのパンに、「パン・シュープリーズ」があります。例えば、ヴィロンでは、3500円ぐらいの価格で販売しています。大きなカンパーニュの中身をくり抜いて器を作り、中身のパンを使ってサンドイッチを作り、カンパーニュの器の中に詰めたものです。カンパーニュの器の上部はカットして蓋になっているので、何が出てくるのか楽しい品物なのです。去年の花火大会に持参して、友人達にとても喜ばれました。こういう趣向を凝らしたパンは、おみやげとしてケーキよりも好評の傾向です。珍しいし、おいしいし、パーティーを彩ってくれます。 ギフトとしてのパンには可能性を感じます。ちょっとした手土産を持 参したいときに、高級な洋菓子だと改まって、相手が恐縮してしまうことがあります。でも、デイジイのクロワッサンB・Cのように、見た目も華やかでお菓子として魅力満点なパンを選ぶと、カジュアルな手土産 として相手も気軽に受け取って楽しんでくれるのです。価格も1個250〜400円位で、買う側にもお値打感が高いですし。 ──ベーカリーの焼き菓子をどう思いますか。 ひの むしろ、「ベーカリーが作った焼き菓子」という点で特別さを感じます。興味を持っている人は多いですよ。パティスリーに対して求めるものと、また違った楽しさを期待してしまいますから。 ラスクやビスコッティーは本当に楽しみ。ラスクはお店ごとにオリジナリティーがあると、試してみたくなります。単価が安いので、お試しで買いやすいのもラスクの魅力ですね。 ベーカリーのクッキーやシュークリームも楽しみにしています。ベーカリーに行ったときに素敵な焼き菓子を見つけると、「ここでデザートも買っちゃおう」という気持ちになりますよ。 いいなと思ったのは、シュー生地でなく、ブリオッシュの中にカスタードなどのフィリングを入れたシュークリームです。チルドケースに入っていてもパサつかない生地で出来ていて、おいしく頂きました。アイシングされたクッキーや、ブリオッシュのシュークリームなどリッチな焼き菓子だと、ほとんど洋菓子を買う金銭感覚で眺めることになります。 きれいに箱詰めしてくれるなら、自分用のごほうび菓子としてだけでなく、ギフトとして良いなと考えます。 ──パンの通販・宅配については。 ひの パン食のシーンを増やすのに、通販はとても有効だと思います。 品物が着いたときの、プレゼントが届いたような楽しさが大きな魅力です。お店からのメッセージや美味しい食べ方の提案が入っていると、 なおのこと嬉しいです。 通販を始めることを考えられているパン屋さんには、他店の通販をいくつか試してみることをおすすめしたいです。どんなパンが通販に向いているのかといったことや、おいしく配送するにはどうしたらいいかなどがわかるのではないでしょうか。 通販でリピートして買っているお店には、魅力的な季節ごとの商品があるところが多いですね。毎年、その季節になると、「あのパンの季節が来た!」とわくわくしながら注文しています。パンの通販は、使う食材によっては、美味しさを保ったまま配送することが難しいアイテムもあると思いますが、パンに最適な温度帯を選んで発送していただくなどして、色んなアイテムがおいしく楽しめるといいなと願っています。 また、近隣のエリアへパンの宅配をしているお店にも注目しています。最近では、コンビニやスーパーなどでも購入品を家まで届けてくれるサービスが普及しているので、生鮮品の宅配にもそんなに抵抗がなくなってきているのではないでしょうか。 ──ありがとうございました。 |

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