移転オープンして対面、セルフを使い分け - パラオア - ブランスリー電子版

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お店拝見/2012年12月号

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移転オープンして対面、セルフを使い分け - パラオア
売り場からすぐの場所にオーブンを設置。厨房と売り場の間にある引き戸は常に開放してあり、オーブンで焼き上げられたパンは、そのまま売り場に陳列される
パラオアの池口康雄オーナーシェフ(左から2人目)とスタッフたち
新築の集合住宅の建物の1階部分に入居。ベンチは友人の手づくりだ
レジ横のショーケースには、クロワッサンなどの壊れやすい商品や、トングで掴みにくい商品を陳列
8坪の売り場は広々とした印象。「前の店舗はスペースがなくて対面販売のみだったので、新店舗ではセルフのコーナーも設けました。選ぶのを楽しんでもらいたいですね」(池口さん)
 2009年1月に千葉県白井市にベーカリー「パラオア」を開業した池口康雄さんは今年9月20日、旧店舗から約10キロ離れた同県鎌ヶ谷市に店舗を移転オープンした。旧店舗が手狭になったためだ。
 「まだ開業して3年半しか経っていませんでしたが、スタッフの数も増えて、もう少し広いスペースのある店舗に移りたいと考えました」(池口さん)
 旧店舗では、開業してから約3カ月間は池口さんが製造と販売を1人でこなしていた。その頃、売り場と厨房合わせて8・5坪というスペースは、ちょうどいい大きさだったという。だが次第に1人では手が回らなくなり、販売スタッフを1人、製造スタッフを1人と順に加えていき、移転前の時点では5人体制となっていて、8・5坪のスペースでは狭くなっていた。
 旧店舗では、売り場は2坪強の大きさで、ショーケースを置いて対面式で販売していた。商品の種類や数も増えて、そのショーケースのキャパシティーも超えるようになり、店前には店内に入りきれない客の列ができるようになっていた。
 「2人入ればいっぱいになってしまうほどの小さな売り場だったので、お客様を外でお待たせしてしまうという状況が常になってしまい、申し訳ないと思っていました」(池口さん)
 新店舗では、旧店舗の約3倍の広さの売り場を設けた。スペースを拡大するとともに、セルフのコーナーも取り入れた。旧店舗から持ってきたショーケースには全体の2割、セルフのコーナーには、8割ほどの商品を並べる。
 「お客様に自由に見て選んでもらうためには、セルフサービスがいいのかと思いました。でもセルフだけだと会話をしたりする機会がなくてさみしい気もしたので、対面コーナーとして、ショーケースも設けました。そこにはクロワッサンなど壊れやすいものやトングで掴みにくいものなどを陳列しています」(池口さん)
 セルフのコーナーの陳列台は、オーブンのすぐ横に設置し、製造スタッフがオーブンから出して直接陳列できるようにした。旧店舗では、ショーケースとレジの奥に厨房があったため、焼き上がった商品は販売スタッフが陳列していた。
 「焼き上がったらできるだけすぐに、お客様の前に出していきたいという思いがあったので、厨房から販売スタッフを介さずに直接、出せる配置にしたんです」(池口さん)
 新店舗の入居する建物は工務店の知人が手掛けた新築とあって、設計は池口さんの希望が叶ったという。



ハード系や食事パンを売れ筋にしていきたい
売れ筋となっている惣菜系のパンには、ソフトなタイプの生地ではなく、フランスパンや全粒粉のパン、ライ麦パンなどのハード系の生地を使用
「ショコラブレッド」(800円、ハーフは400円)。見た目はハード系だが、チョコとアーモンドクリームがココア生地に練り込まれているソフトな食感のパン。「ソフトな菓子パンが好きなお客様に好まれます」(池口さん)
「カレーパン」(180円)は移転を機に販売開始
手前の「タルティーヌ」(280円)など具材が見える惣菜パンが売れ筋
店名の付いた「パラオア」(260円)は、フランスパン生地にドライのマンゴーとパイナップルを練り込んだハード系のパン
 移転オープンしてまだ約1カ月と日が浅いが、好まれる商品の傾向が見えてきた。旧店舗とはかなり異なっていることに、少し驚いているという。
 「ハード系や食パンなどの食事パンが思っていた以上に売れないということです。それと逆転するように、惣菜パンや菓子パンが出ています」(池口さん)
 リュスティック生地で大納言とチョコレートを包んだ「大納言ショコラ」(270円)は、旧店舗では1日30個出る人気だったが、移転してからはさほど出ないという。
 「売れ筋商品の傾向を見ていると、見た目の分かりやすさがポイントになっているのかなと思っています。クリームパンやメロンパン、具がトッピングされた惣菜パンなど、目で見て味の想像がしやすいものが好まれているようです」(池口さん)
 旧店舗ではスペースがなかったためにできなかったという試食を、今回積極的に始めた。各商品の横に一口大にスライスしたパンを入れた袋を置いて、客が自由に試食できるようにした。
「試食は旧店舗で売れ筋だったハード系のパンを中心にしています。ハード系のパンは見た目だけでは味の想像がしにくいですから、まず食べて味を知ってもらおうと思っています」(池口さん)
 また、「パンは見かけによらない」と思わせてくれるユニークな商品もある。「ショコラブレッド」(800円)という商品はカンパーニュのような見た目にも関わらず、ソフトな食感の甘いパン。見た目とのギャップがユニークだ。ココア生地にチョコレートとアーモンドクリームを練り込んであり、菓子パン好きな人が一度買うと、リピーターになる率が高いという。
 新店舗は北総鉄道・新鎌ヶ谷駅から徒歩10分ほどの立地。駅周辺は新しくできた商業施設などがあり、比較的若い世代が多く住んでいるという。同店の客層も子ども連れが多い。
 一方、旧店舗では年配客が多かったという。世代の違いも売れ筋に影響しているようだ。
 「今実感していることがあります。それは年配の方が意外とハード系を好んで召し上がっていたということです。それと、小麦粉など使っている材料についても産地はどこかなど、質問する人が多いのも年配の方です。そのような方々がよく、『都内でしか買えないハード系のパンを買えてうれしい』と言って買いにきてくれていました」(池口さん)
 池口さんは、旧店舗の顧客のように、新店舗の客にももっとパンに関心を持ってもらうための取組みを、段階を追って始めている。
 食パンやドイツパンなどの食事パンについて、製造方法や材料のこだわりなどを入り口横に設置した黒板に書いている。
 「製法などに興味がなく知識がないという人に、少しでもパンのことを知ってもらいたいと思って書いています。少しでも気に留まるようになれば、興味も少しずつ湧いてくるのではと期待しています」(池口さん)





SHOP DATA
店名:パラオア
住所:千葉県鎌ヶ谷市新鎌ヶ谷4‐6‐28
電話:047‐468‐8046
営業時間:午前9時〜午後7時
定休日:火曜、水曜(月1回の不定休あり)
品揃え:110〜120品目
店舗面積:売り場8坪、厨房(倉庫、バックヤード含む)17坪
スタッフ:製造5人、販売3人
日商:平日12万円、土曜、日曜17万円





原価計算女王
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