スタッフの感性を引き出す - もあ四季彩館 - ブランスリー電子版

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お店拝見/2003年2月号

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スタッフの感性を引き出す - もあ四季彩館

もあ四季彩館の外観


オーナーの松島さん
 横浜市青葉区のもあ四季彩館オーナー、松島昌彦さんは、食品加工会社の工場長からベーカリーオーナーに転身。以来、「顧客は今何を求めているか」を常に考えながら、様々な施策を講じてきた。一つ一つの積み重ね。その結果が、現在の活況だ。店に活気がみなぎる道筋と、店が停滞する道筋の分岐点はいったいどこにあるのか?

住所 神奈川県横浜市青葉区あざみ野1-26-5
電話 045-904-4494
営業時間 午前7時30分〜午後8時
定休日 無休


正枝夫人



客をわくわくさせる仕掛け、オープンキッチンで調理

TVチャンピオンで優勝した柳町幸孝さん


入店してすぐの平台には、看板商品が所狭しと並ぶ。


食事系のパンが集まった平台
 およそ28坪の売り場のあちこちに、来店客をわくわくさせる仕掛けが施されている。
 入り口を入ると、段差がある大きな平台が鮮やかに目に飛び込んでくる。同ベーカリーのスタッフの1人が、テレビ東京の人気番組、TVチャンピオンで1位に輝いたときの作品「カカオマウンテン」(160円)や「黒米クロワッサン」(150円)などが所狭しと並べられている。
 入り口の正面突き当たりは、調理パンの具材などを調理するオープンキッチンだ。カウンターひとつを挟んで、客の目の前で焼きそばを炒めたり、ロースカツを揚げたりする。
 でき上がった様々な具材は、すぐにパンに挟み、トッピングする。
 カウンターはそのまま調理パンの陳列台だ。その一角にあった「焼きそばコッペ」(200円)は、パンにはさんだ焼きそばにのせられたかつおぶしが、上に向かってなびいていた。
 まさにできたてそのもの。調理する女性スタッフの機敏な動きが、オープンキッチンにさらに活気を与える。
製造スペースへの入り口を挟んでオープンキッチンのすぐ隣では、男性スタッフが焼き上がったデニッシュなどの仕上げ作業に余念がない。
 売り場から、製造スペースの奥まで見通せるようになっている。
 麺台で成形作業などを手際よくこなす製造スタッフらの動作が、来店客の目に飛び込んでくる。
 「焼き上がったパンの多くは、パン職人が自ら売り場に運び、陳列します」と松島さんはいう。製造スタッフが自ら作ったパンを、まるで宝物のように大事そうに運ぶ姿は、来店客を感動させるに充分だ。



まるで縁日のような感じ。すべての年代から親しまれる

売り場から製造スペースの奥まで見通せるようになっている。


製造スペースへの入り口の脇に、焼き上がったパンの仕上げ作業などをするスペースがある。


売り場の一角のオープンキッチンで調理パンの加工を行う


もあ四季彩館の店内
 もあ四季彩館には平台が3つある。しかし、店内は狭く感じない。平台の多くは低い。子供にもパンが見やすいし、車椅子で入店してもパンが比較的楽に選べる。
 量り売りも今だ健在だ。平台のひとつは量り売りのコーナー。「ミニレモンパン」(1グラム2円)、「かりんとドーナツ」(1グラム1円)、「タコボール」(1グラム1円)などが並び、秤が置いてある。
 子供を意識した商品も多い。「おともだち」(70円)は、ピカチュウーとアンパンマンの2種類。「雪だるま」(130円)は、オレンジケーキとカスタードクリームをパン生地で包んで白焼きにした製品だ。
 もあ四季彩館の店内は、まるで縁日の出店がたくさんあるような雰囲気で、楽しい。子供から年配者まであらゆる年代の人に親しまれる理由はこんなところにあったのだ。
 同ベーカリーは最近、天然酵母発酵機を導入した。「パンに天然種を入れることにより、パンの老化を防ぎ、小麦の風味をさらに引き出せると考えました」と松島さんはいう。現在、ほとんどのパンに入れている。機械を利用することで、種の品質が安定するメリットも大きいという。



作り手の思い入れが大切。スタッフそれぞれがオーナー

量り売りは今だ健在だ。
 松島さんは、ある中堅スーパー系列の食品加工会社工場長だった。何の躊躇もなく、添加物を放りこむやり方に疑問をもっていた。「できたら食べたくない。自分の子供には絶対に食べさせられない」
 1987年、神奈川県鷺沼にベーカリーを開いた。売り場8坪、製造スペース8坪の小さな店だった。「もあ小麦館」と名付けた。製パンの技術は、正枝夫人と共にある開業支援会社の研修を受けて身につけた。正枝夫人は、パン教室に通ったことがあり、多少の心得はあった。
 最初は、品揃えのすべてを滞りなく製造するだけで精一杯だった。「工程表を作ってやるのですが、うまくいかないことも多かった。発酵の具合がよくなかったり、窯がいっぱいになってしまったりと、苦労の連続でした。時間の管理が大変でした」と松島さんと正枝夫人は顔を見合わせる。
 貫き通したことが1つあった。「満足がいかないパンは絶対に出しませんでした」(正枝夫人)
 すこしたつと、「菓子パンを2回まわそうか(仕込もうか)」などと、パンの焼き上がりの回数を増やそうと考える余裕が出てきた。材料についても「よりよいものを」と吟味する余裕が出てきた。顧客が何を求めているかについて考えるのが楽しくなった。日曜日も営業することにした。売上げがどんどん増えていった。スタッフの数も増えていった。
 2号店の「もあ四季彩館」を出したのは1996年。現在、松島さんと正枝夫人は、スタッフの感性をどやって引き出すかに心を砕いている。「この店のオーナーのつもりで働きなさい」と口をすっぱくして言っている。 「作り手の思い入れが薄い商品は魅力がないし、売れません。スタッフがそれぞれに思いを込めて作ったパンを、スタッフが売り場まで運び、並べ、お客様の手に渡るまで見届けなくてはなりません」と松島さんはいう。
 スタッフには、街に出ていろいろな店を見ることを熱心にすすめる。様々な講演会や講習会などにも、受講料は会社が負担して、積極的に参加するように仕向けている。

チョコシートとカカオニブを折り込む

カカオマウンテン
カカオマウンテン
 スタッフの1人が、テレビ東京の人気番組「テレビチャンピオン」に参加するために開発した製品で、同スタッフは、同番組で1位に輝いた。チョコシートとカカオニブを折り込む。160円。
【配合%】
強力粉(スーパーカメリヤ) 100
砂糖 13
塩 2・2
▼ルヴァンリキッド 10
生イースト 3・7
脱脂粉乳 3
全卵 20
コンパウンドマーガリン 12
ショートニング 3
水 46

【工程】
ミキシング L3分M5分(コンパウンドマーガリン、ショートニング投入)L5分M3分、
捏ね上げ温度 24〜25度C、
発酵 7度C4〜5時間、
折り込み 3つ折り3回(チョコシートを折り込む、3つ折り2回目の前に、生地全体の3分の2の面積にココアニブを散らす)、折り込みチョコシート600グラム(生地1・5キロに対して)、最終生地厚7ミリ、
成形 幅約2センチ、長さ約35センチにカット(生地重量約90グラム)して、ツイストし、花の形に成形して星型に入れる。
ホイロ 36度C1時間、
焼成 上火200度C下火220度C20分

※▼ルヴァンリキッドは、どろどろの状態の種で、機械が発酵管理や攪拌などを自動的に行う。
※大分割は1・5キロで、捏ね上げ後すぐに行う。
※最終生地厚を7ミリと厚くしないと、折り込んだカカオニブが飛び出してしまうので要注意。
※焼成前に卵を塗る。
※焼成後、ホワイトチョコを糸状にかける。

炊いた黒米を練り込んだクロワッサン

黒米クロワッサン。炊いた黒米を練り込んだクロワッサン。同じくテレビチャンピオンで1位になった製品。150円。
黒米クロワッサン
 炊いた黒米を練り込んだクロワッサン。同じくテレビチャンピオンで1位になった製品。150円。
【配合%】
強力粉(スーパーカメリヤ) 50
フランパン用粉(モンブラン) 50
砂糖 6
塩 2
マックスパワー(改良剤) 1
LTイースト(冷蔵・冷凍用イースト) 4
モルト 0・3
バター 5
炊いた黒米 40
牛乳 39

【工程】
ミキシング L3分、
捏ね上げ温度 25度C、
発酵 7度C4〜5時間、
折り込み 3つ折り3回、折り込みバター750グラム(生地2キロに対して)、最終生地厚3ミリ、
成形 クロワッサン形(生地重量およそ60グラム)、
ホイロ 36度C1時間〜1時間30分、
焼成 上火230度C下火230度C14分(スチーム注入)

※大分割は2キロで、捏ね上げ後すぐに行う。
※成形後に白ごまをトッピングする。
※しっかりと焼きこまないと、あとで縮んでくるので注意。

原価計算女王
原価計算女王
もあ四季彩館といえば、四季彩ラウンド

レトロバゲット


色彩ラウンド
レトロバゲット
 あらゆる年代の人たちが親しめるベーカリーを目指すもあ四季彩館は、ハード系のパンも充実している。

色彩ラウンド
 もあ四季彩館の看板商品。生クリームを配合して、ソフトな食感を追求した。
 スライスせずに販売。顧客には、「持ち帰ってから厚めにスライスしてトーストして食べるとおいしいですよ」とすすめている。

ライ麦パン普及に一役――かつおぶしがゆらぐ

レーズン・ライ


焼きそばこっぺ
レーズン・ライ
 ライ麦粉が40%入っているが、食べやすくよく売れているそうだ。試食も積極的に提供している。
 ドライフルーツをたくさん練り込み、スライスした状態でラップして販売するのがポイントだそうだ。ライ麦パン普及に一役買っている。

焼きそばこっぺ
 店内のオープンキッチンで調理した焼きそばをサンド。できたてをすぐに陳列する。焼きそばの上にのせたかつおぶしが上に向かってなびいていた。


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