創意工夫 - パルファンオオツカ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2003年2月号

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創意工夫 - パルファンオオツカ

 パルファンオオツカは、1948年創業の老舗。1970年代、卸販売から製造小売に軸足を移し、当時のベーカリーブームに乗って、売上げを伸ばした。現在は直営のベーカリー3店舗などを展開する。経済が成熟し、生活者の価値観が多様化した現在、店ごとに、店長の個性をある程度打ち出すことで、活路を見出そうとしている。

葛西店 東京都江戸川区中葛西3-32-17
電話 03-3686-3170
営業時間 午前9時30分〜午後7時30分
定休日 無休



小さくして単価を下げる。イーストを減らして発酵長く

ブルーベリーや栗などをトッピングしたデニッシュは、どれでも120円。


天然酵母を使用した「カレンズ・ナッツ」(左)とクランベリー・ノア(中)。右は、同じ天然酵母を使いレーズンやオレンジピールなどを練り込んだ「カルテット」(150円)


パルファンオオツカ葛西店店長の西口貴さん
 パルファンオオツカ葛西店。いちごや栗、アプリコットなどがのったデニッシュがトレーにたくさん並んでいる。全部で6種類。種類ごとに縦に列になって1つのトレーに並んでいる。しかし、品目ごとに値段は書かれていない。一般的なデニッシュの約半分のサイズ。
 「どれでも120円です」。店長の西口貴さんはいった。「一般的なサイズだと食べるのにも大きすぎるし、値段も高くなってしまいますから」
 同店は、およそ3カ月前にデニッシュをすべて半分強の大きさにして、価格を120円に切り替えた。それまでは1日20個弱だったデニッシュの販売数が、2倍の40個になったという。
 コッペパンは、背割りにしてジャムやピーナッツバターなどをサンドしたものがたくさん並んでいる。「以前はよく売れたコッペパンも徐々に売れ行きが鈍ってきていました。ある人に相談して、イースト量をそれまでの4〜5%から2・5%に減らし、発酵時間(フロアタイム)をそれまでの50分から100分にしてみたんです」と西口さん。すると1日20本程度だったコッペパンの販売数量が、40〜50本に上昇した。
 近くにライバル店があった。調べてみたところ、ライバル店ではハード系の食事パンの品揃えが充実していることがわかった。
 「パンに関するウェッブサイトの掲示板などを覗いてみると、「『ウチは甘い系、相手はハード系』といった色分けがされていることに気づきました。そして長期的に見ると、お客様の志向はハード系に少しずつシフトしていると思われました」。西口さんは、自家製天然酵母を起こして、「カレンズ・ナッツ」(150円)、「クランベリー・ノア」(150円)などの天然酵母パンを商品化した。
 天然酵母はライ麦から起こし、毎日種継ぎをしている。サワー種に近いという。「ドライフルーツなどをたくさん入れて、食べやすくしています。意外とお年寄りの方も買っていかれるようです」と西口さんは話す。
 最近発売して好調なのが、玄米粉のリブレフラワーを配合したパン。「田舎パン」(60円)など2品目で、看板商品になる勢いだという。



1948年創業の老舗。各店の店長の個性を打ち出す

パルファンオオツカ葛西店


パルファンオオツカ葛西店の店内
 パルファンオオツカは、1948年の創業。当時まだ配給制だった小麦粉の委託加工という形でパンを作り始めた。卸販売が中心だった。
 1973年、千葉県浦安に、当時脚光を浴び始めていたセルフ方式のベーカリーを出店。大学4年生だった現社長の大塚精一さんが総指揮をとった。
 「面白いように売れました」と大塚さんは振り返る。
現在は本店のほか、葛西店と西葛西店を展開する。そのほか、大手スーパー2店舗に、販売スペースを設けている。
 西口さんは2001年4月に入社。本店に勤務したあと、その年の12月に葛西店の店長に抜擢された。
 大塚さんは「なるべく若い人に、責任を委譲して、感性をフルに発揮してもらいたいと考えています。各店で店長の個性が出た方がいいと思っているんですよ」と目を細めた。



パンの焼成回数を増やす。焼き上がったパンも小出しに

入店してすぐ正面にある平台には、天然酵母パンやリブレフラワー入りの田舎パンなどが並ぶ。


たこ焼きをまるごとパン生地で包んで揚げた「たこ焼きドーナツ」(2つで150円)


調理パンの売れ筋は「メンチカツバーガー」(180円)などだ。
 「夕方、お客様は本当にパンを必要としていないのだろうかと思いました」。西口さんは、1回の焼成量を少なくして、できるだけ焼成回数を増やすように努力した。
 売れ残ったパンは、自分で食べてみるようにした。すると硬くなってしまっていた。西口さんは、「パンをトレーに山盛りにするのはやめよう」と思った。「山盛りにすれば、ボリューム感というか、お客様の買う気を誘う力は確かにあると思います。それを認めた上で、少しずつ、小出しにする利点の方が大きいと思ったのです」。焼き上がったパンは、1度にすべて店頭に並べずに、比較的短時間で売り切れる量だけを、何回かに分けて陳列するようにしたのだ。残りは番重に入れて、ビニールシートをかけて重ねておくのだ。こうすることで長い間、店頭に並んでいる場合に比べると、パンの劣化が飛躍的に少なくなるのだそうだ。
 こうしたことを行った結果、夕方の来店客数が伸びたという。

イースト量を減らして発酵時間を長くしたら、急に売れ出した

こっぺぱん
こっぺぱん
 「生チョコ入り」(120円)や「ハチミツ&マーガリン」(120円)、「ピーナツ」(100円)など様々な商品があり、人気を集めている。イーストの配合を4〜5%から2・5%に、1次発酵を50分から1時間40分にそれぞれ変更し、じっくりと時間をかけて作るようにしたところ、急に売れ出したという。
【配合%】
強力粉 90
薄力粉 10
砂糖 12
塩 2
全卵 10
生イースト 2・5
脱脂粉乳 3
水 55
無塩バター 7
ショートニング 3

【工程】
ミキシング L3分M4分(無塩バター、ショートニング投入)L2分M5分、
捏ね上げ温度 26度C、
発酵 1時間40分(1時間20分の時点でパンチ)、
分割 85グラム、
ベンチタイム 30分、
成形 コッペ形、
ホイロ 38度C85%1時間10分〜1時間20分、
焼成 上火210度C下火190度C10分

なめらかで軽い食感の食パン

絹仕込み
絹仕込み
 生クリームを配合したなめらかで軽い食感の食パン。生クリームは、コクを残すために乳脂肪分45%のもの使用している。1斤220円。
【配合%】
強力粉 100
砂糖 7
塩 2
インスタントドライイースト 1
生クリーム(乳脂肪分45%) 10
ショートニング 6
モルト 0・3
水 65

【工程】
ミキシング L4分M4分(ショートニング投入)L2分M2分MH1分、
捏ね上げ温度 27度C、
発酵 1時間、
分割 440グラム、
ベンチタイム 30分、
成形 モルダー2回通し、
ホイロ 38度C85%1時間、
焼成 上火190度C下火210度C35〜40分(スチーム注入)

※軽い食感を実現するために、山型にする。
※山型の食パンは、中に大きな穴があきやすいので、分割を「220グラム×2」ではなく「440グラム×1」にする。

原価計算女王
原価計算女王
ハード系を食べ慣れていない人にも食べてもらいたい!

カレンズ・ナッツ
カレンズ・ナッツ
 「これからはハード系の時代」。そう実感しているパルファンオオツカ葛西店店長の西口貴さんが、ハード系を食べ慣れていない人でも食べられるようにと開発した商品。「買いやすい価格と、食べきれる大きさにして、できるだけ多くのお客様に食べてもらおうと考えました。ハード系のパンは硬くてすっぱくて、食べづらいといった抵抗をなくし、気軽に食べてほしいと思っています」(西口さん)。ひとつ150円。
【配合%】
フランスパン用粉 90
ライ麦粉 10
砂糖 3
塩 2・1
▼ルヴァン種 52
ショートニング 4
水 67〜68
マカデミアナッツ 40
カレンズ 60

【工程】
ミキシング L2分M2分(ショートニング投入)L2分M2分(ナッツ、カレンズ投入)L1分、
捏ね上げ温度 25度C、
発酵 27度C75%3時間(2時間の時点でパンチ)、
分割 120グラム、
ベンチタイム 30分、
成形 コッペ形、
ホイロ 30度C75%1時間10分〜1時間20分、
焼成 上火220度C下火190度C20分(スチーム注入)

※▼ルヴァン種は、ライ麦粉と水から起こしたもの。この元種を毎日継いで使う。種を継ぐ際の配合は、元種100%、フランスパン用粉80%、全粒粉20、水60%。これらを混合し、12〜14時間発酵させる。


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