厨房から店前まで清潔感に包まれた店 - ブーランジェリー スドウ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2012年11月号

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厨房から店前まで清潔感に包まれた店 - ブーランジェリー スドウ
ダークブラウンの木目調で統一された落ち着きのある店構え。東急世田谷線・松陰神社前駅がすぐ目の前にある立地
オーナーシェフの須藤秀男さん(左)、妻の枝里子さん(左から2番目)、スタッフたち
厨房は広く、ぴかぴかと輝いていて、清潔感がある。窯の中のパンくずをかき出すなど、作業中も常に清掃が行われていた
 東京・世田谷区のベーカリー「ブーランジェリー スドウ」の厨房では、掃除をするスタッフらの姿が頻繁に見られる。
 店が開いてすぐの朝9時、床を拭いたり、窯の中のパンくずをモップで何度もかき出したり、厨房内ではパンの製造と同時に清掃が行われている。その清掃とは、後片付けではなく常に厨房をきれいに保っておくためのものだ。生地の仕込みや焼成が絶えず行われているのにも関わらず、粉っ気を感じないクリーンな空間が維持されている。
 「お店は、入った瞬間の印象がとても大事だと思うんです」
 こう話すのは、同店のオーナーシェフの須藤秀男さんとともに腕を振るう、妻の枝里子さん。
 客からも「すごく清潔感のあるお店ですね」と言われることがある。清潔感は、厨房だけではなく、売り場、そして店前にまで溢れている。厨房をきれいに保つということが結果的に、「入った瞬間の印象」の良さを決定付けることとなっている。
 枝里子さんは、「ペルティエ」や「タイユバン・ロブション」「マリアージュ ドゥ ファリーヌ」などの都内の店でパンを作ってきた。枝里子さんは厨房の清掃について、「今まで働いてきたお店でも、ずっと当たり前のこととしてやってきました。当店のスタッフにも、忙しさの中でも無意識にできるようになってもらいたいと思っています」と話す。



擬音が聞こえてくるような見た目
製造は須藤さんと枝里子さんの2人。基本的に須藤さんが成形、枝里子さんが仕込みを担当している
中央に焼き菓子の並ぶ陳列台、左にイートイン専用のテーブルと椅子がある。子供をベビーカーにのせた客が多く、店内にベビーカーが止められるスペースがある
中央に焼き菓子の並ぶ陳列台、左にイートイン専用のテーブルと椅子がある。子供をベビーカーにのせた客が多く、店内にベビーカーが止められるスペースがある
 売り場はダークブラウンの木目調でまとめられ、パン用の陳列棚や焼き菓子用の陳列台、ショーケース、イートイン用のテーブルと椅子などが、ある程度ゆとりを持って配置され、落ち着きのある空間となっている。
 そこに「一つひとつに表情を持たせたパン」(オーナーシェフの須藤さん)が並ぶ。清潔感に溢れた落ち着きのある空間に並べられた「表情を持たせたパン」は、まさに、水を得た魚のように生き生きとして見える。
 洋菓子も学んできた須藤さんは「パンの強みは香りですが、それだけでなく、洋菓子のように、見た目でも楽しんでもらいたいと思っています。パンに表情を持たせるために、色や艶、立体感などを大切にして作っています」と、パン作りへのこだわりを滲ませる。
 店内に並ぶ「表情のあるパン」たちを見ていると、例えば「ロールパン」(90円)なら「コロコロ」、食パンにはちみつとバターを染み込ませて香ばしく焼き上げた「ハニートースト」(280円)なら「ザクザク」といった風に、擬音語が自然と頭に浮かんでくる。それと同時に、どんな食感でどんな味なのかが想像できてしまう。
 「おいしい状態を頭に思い描いて、丁寧にしっかりぶれずに作っていくことが大事だと思っています」
 須藤さんは、日々のパン作りへの思いをこう話す。その思いは、毎日異なる気温や湿度、材料の状態に合わせての生地作りだけではなく、客にパンをどう見せて売っていくかという販売の部分まで一貫している。
 「作ることだけでなく、並べ方や包装の仕方、ショーケースの使い方などを考えて販売することも、しっかり丁寧に行っていきたいと思っています」(須藤さん)
 同店は繁忙期や土曜日は1日600人以上が来店する人気店だが、製造は須藤さんと枝里子さんとそのほかのスタッフの4人。そのため、須藤さんと枝里子さんが販売に回るのは難しいのが現状だ。販売を担当するのは、3年前のオープン当初から勤務しているスタッフを筆頭に、「きちんとした対応ができて、安心して任せられるスタッフ」(枝里子さん)たち。
 枝里子さんは、販売スタッフに絶大な信頼を寄せている。「自分たちで店を持った以上、責任感とプロ意識を強く持ち続けていきたいと思っています」(枝里子さん)
 現在夫婦2人が主力となって製造している理由については、「数を出すためだけに、ほかのスタッフに任せてしまうと店の味が変わってしまうことになります。スタッフにはわたしたちの考えが伝わるようにゆっくりと時間をかけて教えていきたいと思っています」



商品には陳列する時の向きがある
丸っこい形が印象的な「ロールパン」(写真奥、90円)と「チョコロール」(写真手前、130円)。切り込みの向きなどをすべて揃えて陳列している
オープン直後の陳列台。パン一つひとつの「向き」が考えられて陳列されている
「クイニーアマン」(230円)は、生地の巻き終わり部分が右手前に揃うように陳列
 同店のパン一つひとつには、陳列するときの「向き」がある。どの角度から見たらおいしそうに見えるかを考えたときの向きのことだ。スタッフらは、その「向き」を間違えることなく、パンを並べていく。
 例えば、甜菜糖とゲラントの塩を巻き込んだ「クイニーアマン」(230円)は、生地の巻き終わり部分が右手前に揃うように並べられている。このほか、「スコーン」(170円)は表面の割れ目の向きが、「ロールパン」(90円)は表面の切り込みの向きがそれぞれ揃っている。
 「一つひとつの製品に対するこだわりを、作るところだけでなく売るところまで持ち続けていきたいんです」(須藤さん)
 須藤さんはスタッフに「この角度で置いて」とアイテムごとに指示を出しているという。巻き込みや切り込み、割れ目や膨らみ具合などがアイテムごとに揃い、丁寧に作りこまれた製品を見ていると、製品一つひとつに「向き」があるのだということを実感せずにはいられない。「こだわりを売るところまで持ち続けたい」という須藤さんの思いは、作られた製品一つひとつに込められている。その思いは製品という見える形となって、店頭に立つスタッフにも通じていくのだろう。
 須藤さんは同店のコンセプトについて、「夫婦2人でおいしいと思うものを作っていく店」と言う。混雑する土曜日などは、製造が追いつかず陳列棚がガランとしてしまうときもあるが、須藤さんと枝里子さんは2人が納得できるおいしいパンだけを販売していくことにこだわる。
 「レストランに行って、厨房にその店のシェフが立っている姿を見ると、嬉しくなりますよね。だから、当店のお客様にも、自分たちが厨房に立つ姿を見ていただいて、いつ来てもおいしいパンが食べられる店だと思ってもらいたいんです」(須藤さん)

SHOP DATA
店名:ブーランジェリー スドウ
住所:東京都世田谷区世田谷4‐3‐14
電話:03‐5426‐0175
営業時間:午前9時〜午後7時
定休日:日曜、月曜
品揃え:70〜80品目
店舗面積:売り場10坪、厨房19坪、バックヤード3坪
スタッフ:製造4人、販売と製造補助6人
月商:700万円





原価計算女王
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