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| 特集/2012年10月号 |
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| パン職人の結婚
夫婦で経営するベーカリーで成功しているケースは多い。今回は、「パン職人の結婚」のテーマで、夫婦の固い絆が核となって、大きな成長を遂げ、日本有数の繁盛ベーカリーになった千葉県松戸市のツオップと、夫婦2人ともパン職人で、夫人の家事と子育てと、ベーカリーの営業とを見事に両立させている東京・国分寺市のフェルマータを取材した。
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| 子育てをしながらの営業には、家族同様のスタッフが必要 - フェルマータ | |
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夫婦2人と第3のスタッフ
東京・国分寺の住宅街にあるベーカリー「フェルマータ」は、オーナーシェフの鈴木純一郎さんと、妻の晶子さん、そして鈴木さんの元部下、山村あゆみさんの3人で営む店だ。 鈴木夫妻には学校に通う年頃の子どもが2人いるため、家事や子育てからまだ手が離せない状況。しかし、3年前の開業からこれまで、ほかにパートを雇うことなく3人で切り盛りしてきた。 「夫婦だけで店をやることは最初から無理だと思っていたので、信頼できる人を1人、パートナーとして迎え入れたいと考えていました」(鈴木さん) 鈴木さんは開業前、夫婦と従業員1人の3人で営業しているベーカリーに、様子を見にいった。 「『夫婦2人だと、片方が抜けなければいけないときも出てきて大変だけれど、他人を入れた3人なら、3人分だけでなく、4人分にも5人分にも仕事が広がっていくよ』という話を聞きました」(鈴木さん)。そこで、やはり3人で営業していくのがいいと確信した。 鈴木さん、妻の晶子さん、山村さんは、大手チェーンベーカリーのポンパドウルで出会った。 鈴木さんが勤務していた店舗に、晶子さんが新入社員として入社。それが出会いとなって結婚に至った。 結婚から14年後、鈴木さんがチーフとして勤務した埼玉県所沢市の小手指店に、山村さんがパート入社。 「同学年ということもあり、最初から気が合って、仕事後は山村さんを含めて3〜4人でよく飲みに行きました。話の内容は仕事のことが多くて、熱く話していました」(鈴木さん) 「『こんな食材の組合せのパンはどうかな』とか、パンの話を始めると止まらなかったですね。同学年のよしみで、言いたいことを自由に言い合えるというのが楽しかったんだと思います」(山村さん) 鈴木さんと山村さんは、それ以来10年以上の仲となる。そして山村さんは、鈴木夫妻とその子どもたちを含めた家族ぐるみで親交を重ねている。一緒に遊びに出かけたり、食事をしたりすることもある。店とその従業員というだけの関係に留まっていないのだ。 こうした関係性があるからこそ、3人だけで店を営業してこられたのだろう。 家庭があると、特に母親の方は子どもの成長などで働ける条件が変わってくる。山村さんは夫妻の子どもを思い、晶子さんが家事を優先することに協力的だ。晶子さんが家事と店の仕事を両立できるように、勤務時間や仕事内容など、柔軟に対応している。 「実際店を持とうと思ったときには、すでに山村さんと私たちの3人でやっていこうと決めていました」(鈴木さん) 「声をかけられたときは、再確認したような気持ちでした。日頃からよく仕事の話をしていたので自然なことのように思っていました。ベーカリーという仕事の考え方や、パン作りに対するこだわりの強さなどを共有できていたのだと思います」(山村さん) |

取材で訪れた土曜日の昼、晶子さんが販売に入り、鈴木さんと山村さんが製造に入っていた。 このような3人体制をとるのは土曜日だけ。晶子さんは平日の昼間は、家事と子育てを優先し、店に入るのは夕方4時頃だ。日曜日は店の定休日なので、朝から1日中店にいるのは土曜日だけと決めている。 そのため、平日の朝から夕方4時までは、鈴木さんと山村さんの2人体制をとる。夕方、晶子さんの出勤後、鈴木さんと山村さんが退社する。 3年前の開業直後は常に3人体制をとっていたが、慣れていくに連れ、現在の勤務体制に落ち着いていった。 「開業したとき、自分の子どもたちは小学校高学年でした。私たち夫婦2人ともが、朝から晩まで店に出るとなると、朝も晩も子どもたちだけで食事をとることになります。学校の行事にもなかなか参加できないですし。店の営業が慣れてくると同時に、妻の出勤時間を、9時から10時に、10時から11時にといった風に、少しずつ遅らせていき、家事を優先してもらうようにしました」(鈴木さん) こうして晶子さんが不在となった平日の朝から午後4時までの間は、山村さんが販売と製造を兼任する。 山村さんは朝6時に出勤。生地の仕込みや成形は鈴木さんが行い、山村さんはそれ以外の、サンドイッチ作りやドーナツなどの揚げ物の製造、そのほかのトッピングなどの仕上げ作業と、接客、販売を担当する。製造しながら販売もするというのは、かなり作業効率が悪い。例えば、製造と販売を行き来するとき、調理用手袋をその都度装着しなければならないこともあり、連続して作業をする場合の倍以上の時間がかかることもある。また、揚げ物の製造中にその場を離れなければならないときも一苦労だ。 「製造しながら販売もしていくというのは、最初は本当にてこずりました。だんだん慣れてくるものですが、なかなか大変です」(山村さん) 山村さんは晶子さんが店にいる間も、作業の合間を縫って積極的に販売の補佐に入っていた。 「夫婦で店をやっていく場合、もう1人のスタッフの存在はかなり重要になってきます。特に子どもがいれば家庭の状況はどんどん変化していくので、妻または夫の勤務体制を変えていかなければならない状況も多々出てきます。そうした中で、山村さんのように私たち家族のことを気にかけてくれ、柔軟に対応してくれるパートナーがいると大変心強いと思います」(鈴木さん) フェルマータ 住所:東京都国分寺市西町5‐36‐7 電話:042‐534‐3334 営業時間:午前8時(土曜は午前7時)〜午後6時30分頃 定休日:日曜、月曜 品揃え:70〜80品目 スタッフ:販売1人、製造2人 店舗面積:厨房5・5坪、売り場3坪 日商:平日3〜5万円、土曜5〜8万円 | |||||||||||||
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