クックパッドに見る「レシピコミュニティー」 - ブランスリー電子版

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ここにもパンの現場/2012年8月号

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クックパッドに見る「レシピコミュニティー」
使いやすさが追求されている料理レシピサイト「クックパッド」
クックパッドが「主婦が喜ぶサイト」というのは昔話。今や食のプロから独身男性まで、料理をする人すべてが知っていると言っても過言ではないレシピ情報コミュニティーに成長した。今回は、料理に関する情報を、誰でも気軽に取得できて、さらに発信できる「クックパッドシステム」についてレポートした。

個人が会員登録してコミュニティーに参加
 国内最大の料理レシピサービス「クックパッド」は、120万件を超えるレシピが登録され、月間のユーザー数も1500万人に上る巨大な料理サイトだ。これを運営するクックパッド(東京・港区)は、2009年に東京証券取引所マザーズ市場に上場、昨年末に東証1部に市場変更されており、躍進を遂げている。
 日本の食文化に大きな影響を与えているクックパッド。経済評論家らは、空前の規模を誇る「レシピコミュニティーサイト」が、営業利益率が50%にも上る優良会社によって存在している点にも注目する。企業としてのクックパッドの戦略が、日本の食文化に大きな影響を与えているようだ。
 クックパッドの特徴は、個人が会員登録をして「レシピコミュニティー」に参加するシステム。自分が実際に作ったり、他の人が考えた料理のレシピを写真付きでアップすることができる。また、レシピは「野菜のおかず」「お肉のおかず」「魚介のおかず」「ごはんもの」「パスタ・グラタン」「サラダ」「海草・乾物・こんにゃく」
「お菓子」「パン」といったカテゴリ別に探すこともできて便利だ。季節ごとや毎週更新するお勧めレシピ特集などもあり、「その時々で必要なレシピが探せるのが便利」(東京・台東区の主婦)という声が多い。

プロのレシピが買える「レシピストア」
 ここで、クックパッドの最近の動きを見てみよう。
 7月には、専門家の監修による「プレミアムカテゴリ」を開設した。「スポーツ・体づくり」「美容・ダイエット」「健康」の3つの分野で、各専門家が目的にあったレシピを全レシピの中から勧めるものだ。
 6月には、キッチンでiPadを見ながら料理する人のためのアプリをリリースした。料理の本をめくっていく感覚でレシピを選び、材料や料理の手順を見ていくことができる。
 イタリアンの落合務シェフなどのプロの料理人のレシピを購入できる「レシピストア」も始めた。こちらも「プレミアムカテゴリ」同様に、本格派の利用者が多い。
 こうした動きを見ると、あらゆるシーンを想定し、ユーザーの使いやすさを追求していることが分かる。徹底したきめの細かさも特徴だ。

「レバ刺し代替レシピ」が続々登場
 象徴的な例は、6月末で提供・販売が禁止となった「レバ刺し」への対応だ。クックパッドは「レバ刺し風味を楽しめるレシピ」を提供。例えば、「コンニャクでレバ刺」はスライスしたこんにゃくに、ごま油、おろしニンニク、塩、刻みネギを混ぜたタレをつけて食べる料理。「なんちゃってレバ刺し」は絹豆腐にごま油、塩、ねぎなどをかけて食べる料理だ。これらに共通するのは、ごま油、塩、ねぎ、にんにくなどで「レバ刺し風味」を楽しむ点だ。
 ハイスキー食品工業から販売されている「マンナンレバー」というこんにゃくや、茂木食品工業のレバ刺しこんにゃく手作りキット「作ってみレバ」など、こんにゃくを材料にした、いわゆる「レバ刺し代替食品」の投稿もある。利用者からは「レバ刺しがなくなってさびしい思いをしている人たちに寄り添った企画で、まさにクックパッドならでは」と絶賛する声は多い。

「パン」は最大の人気コーナー
 ホームベーカリーを使ったパンも、料理サイトの中で最も人気が高いコーナーとなっている。
 その内容を見てみると▽黒糖くるみパン=黒糖の甘みとくるみの香ばしさが美味しくて元気になるパン▽パリ旨ガーリックフランス=塩気のきいたソフトな食感のフランスパン▽ハイジの白いパン=卵を使わず、バターも少なめのパン▽ミルクたっぷりプチパン=朝食用のテーブルパンで、優しいミルクの香り▽ふんわり柿みるくパン=ミルク風味でふんわり美味しいパン▽ラムレーズンとミルクのシュガーバターパン=外はシュガーバターがカリカリ、中はふんわりラムとミルクが香るパンなど。「ネーミングも凝っていて、作り方は比較的簡単だが、個性的でおいしい」「ひと工夫もふた工夫もされていて喜ばれる」と評判が高いという。
 こうした「ソフト」のよさは、クックパッドの会社としての「ハード」のよさに支えられている。その「ハード」とは、販促宣伝費がかからず高収益であるということだ。同社の事業は、有料会員から料金をもらう「会員事業」、食品会社と共同でレシピのコンテストなどを行う「マーケティング支援事業」、バナー広告を販売する「広告事業」の3つから成り立っているが、同社によると、売り上げの内訳は会員事業が全体の6割を占めるという。あるアナリストは「口コミで会員数が増えると、何の販売促進も宣伝もせずに売り上げが上がっていく一方で、人件費が増えるわけではない。スマートフォンが普及すれば、現在パソコンを使っている会員数よりも飛躍的に伸びることが予想され、売り上げもそれだけ伸びる」と解説している。
 また、売上高から原材料費など変動費を差し引いた限界利益の高さも特徴だ。同社のサービスはほぼサイトの運営なので、基本的に仕入れはなく、変動費はないといってもいい。このため、限界利益率が約50%と試算するアナリストもいる。
 さらに、使いやすいサービスを充実させてきたことが功を奏して、退会率は数%にとどまるという。
 日本最大の料理サイトからは、企業のあり方から、レシピコミュニティーのあり方までが見えてくるのである。







原価計算女王
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