記事の閲覧
| <<戻る | 写真をクリックすると拡大写真が見られます。 |
| レポート/2012年7月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 小さなベーカリーの強みを活かす-小さなパン屋ネットワーク 第1回セミナー
神奈川県横浜市のベーカリー「トツゼンベーカーズキッチン」を経営する会社、わらうかどの岸本拓也社長が4月に設立した「小さなパン屋ネットワーク」は、東京・渋谷区の日本製粉本社で5月21日、第1回目となるセミナーを開催した。
|


| 開店から現在にいたるまで取り組んできたこと-金長暢之氏(ベッカライ・ヒンメル) | |
|
遅いと言われたが、27歳でベーカリーの道に入った。
サラリーマンの時代を経てきた自分にとって、長時間労働で、賃金が低く休みがないベーカリーの仕事は大変きつく感じたが、「自分の店を持ちたい」「パンを作りたい」という情熱で、これまでやってきた。 開業してすぐは話題性もあって、たくさんの客が来店した。早朝4時から終電まで作り続けることもよくあり、翌朝出社したスタッフの顔は疲れきっていた。 そうすると、作ったパンも疲れた表情をしているように見えた。パンが笑っていないと思った。3人いたスタッフたちは、半年して1人やめ、開業して2年目には自分1人になった。 従業員がやめたときが最もこたえる。作る種類を減らして対処することもできるが、例えば4〜5種類減らせば、その分常連客は減る。そして一旦失えばなかなか戻ってきてくれない。 開業当初から「週休2日、8時間労働」を目標に掲げている。従業員には、これをビジョンとして伝えても、その時点で実現していなければ、この状態がずっと続くと思われて当然だ。 店頭に並んだパンが笑って見えるように、この課題を実現させることは重要なことだと思っている。 店舗はよく、北欧風、ドイツ風、地中海風などと言われる。3箇所の要素が混ざり合い、個性的な雰囲気を作り出している。 開業を決めたときから約10年間、気に入った写真やイラストをスクラップしていて、それをもとにデザインをしたからだと思う。 |

| 小さなパン屋だから出来ることがたくさんある-松崎太氏(ベッカライ・ビオブロート) | |
|
自店について、一般の情報誌では、「オーガニックの原材料」「石臼で自家製粉」「マイスターが作る」などと書かれ、お客様からは「ほかの店と違うことをしているからいい」と言われる。
マーケティング的には、このように外から見られる観点は重要だ。しかし、外から見たそのような評価は、よそと違うということを意識してきたからではなく、自分がやりたいと思ってやってきた積み重ねの結果だと思っている。 大学を出てデスクワークの仕事に就いたが1年でやめた。体を動かす仕事をしたいと思ったからだ。パンを作るという仕事は、昔からあり、これからも必要とされていくであろうという点から選択した。日本のベーカリーで働いた後、ドイツで7年間修行し、マイスターを取得した。 修行先の旧東ドイツの店では、ベーカリーの労働時間は7時間半と決められていた。その短い時間で作るために、3種類のイーストフードと、大量のイーストを使っていた。また、丸めや成形を機械で行っていた。手作りのパンを学びにきた自分にとって、マイスターを取得するために通っていた学校で授業を受けることや、古本から昔のパンの製法について調べたりすることが、唯一の救いのようになっていた。 マイスターを取得した後もいくつか店をまわり、自分のパン作りを体系化していった。スイスとの国境に近い、その周辺では珍しく行列のできる店では、自家栽培の有機小麦と、そのワラを餌に与えて飼育している牛から採れた牛乳でパンを作っていた。品質がその時々で変わる自家栽培の小麦を使ってのパン作りは大変だった。オーナーシェフの「この粉でできれば、何でもできる」と言われたのがとても心に残っている。オーガニックの材料を使うようになったのは、自分の店を持ち、「ちゃんとしたパンを作りたい」と思った結果だ。「パン屋をやるなら、100種類は作らないといけない」と言われていたが、現在15種類ほどしか作っていない。生地の種類も5種類だ。労働時間は、平日は8時間、土日は9時間にしている。 自分にストレスもなく、お客様も喜んで来てくれる。本当にしたいことは何かを突き詰めてやっていくと、店に統一感が出てくる。そうすると、お客様も、店の波長と合う人が増えてくる。 これまでを振り返ると、結果がすぐに出ることを期待せずに、自分がやりたいことを積み重ねてきたように思う。 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。













