姉妹店のカフェで好評。パン部門独立へ-トーストネイバーフッドベーカリー - ブランスリー電子版

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お店拝見/2012年7月号

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姉妹店のカフェで好評。パン部門独立へ-トーストネイバーフッドベーカリー
「トーストネイバーフッドベーカリー」の外観。本牧通り沿いにある。白い壁が目をひきつける
鈴木さんを中心に、左が製造と販売を兼ねる塩川さん。右は販売の渡辺さん
晴れている日は、店で販売する茶葉で入れた紅茶を、道行く人にサービスしている
 JR根岸線の山手駅を降りて、横浜市営バスも通る商店街をひたすらまっすぐに本牧通りまで歩く。右折してさらに直進することおよそ15分。白壁に大きく「TOAST」と書かれたベーカリーが見えてくる。食パンのプルマン(1斤320円)が評判の「トーストネイバーフッドベーカリー」だ。
 同ベーカリーは2010年9月にオープンした。そのオープンにはちょっとしたストーリーがある。2007年横浜・元町に「カフェカオリズ」(045‐306‐9576)が開店。紅茶をエスプレッソ風に仕上げた独自開発の「ティープレッソ」と、フレンチトーストで人気の店だ。この店内で食事用のパンを焼いていた。多めに焼いたパンをテイクアウトで販売したところ、味の良さが評判となって、客の要望に「カフェカオリズ」だけでは応え切れなくなり、車で5分ほどの場所にベーカリーをオープンすることになった。それが「トーストネイバーフッドベーカリー」だった。



英国の田舎町をコンセプトに商品提案
スコーン(220円)。イギリスのレシピを使っている。若干の塩味が全体の味に丸みを帯びさせている。
「オリーブオイルブレッド」(1斤320円)。12%の全粒粉が入っている。油脂は、エキストラバージンのオリーブオイル。トースト向き
 同ベーカリーの代表者は鈴木清文さん(47歳)。東京・池袋にあったフランス菓子専門店でパティシエの修業を始めて6年後、パン職人に転じた。幾つかのベーカリーで修業した後、アフタヌーンティーに18年在籍した。パン職人として腕を磨いたが、後半の8年間は店舗プロデュースの責任者を務めた。ここで、30店舗を新規に手がけた経験が、「トーストネイバーフッドベーカリー」を設立するに当たって大いに役立った。
 コンセプトは、英国の田舎町。こぢんまりとして、近所の人々が気軽に毎日買いに来てくれる気さくなベーカリー を目指した。その土地にピッタリと寄り添い、嗜好を把握しつつ、客の新しい声も取り入れる努力をする。もちろん、ただ周囲の好みを商品に反映するだけでは客は喜ばない。同ベーカリー開店に当たっての大事な考え方の一つは、英国風の提案だ。
 なぜ、英国にこだわるのか。鈴木さんの親戚筋に英国人がいる。渡英を繰り返すことで、英国の食文化に興味を持ち、学んできた。英国で得た知識をパン職人として原点に戻って伝えたい気持ちが大きくなった。



常識に捉われない食パン作りに挑戦
食パンの「プルマン」(1斤320円、半斤160円)。毎日2回焼き上げる。「トーストすると香ばしさが増す」と評判だ
 英国を最も意識させる商品が「プルマン」だ。油脂分の多い生地にジャージー乳を混ぜた。食べると実に口溶けがよく、味わい深い。ただ、油脂が多いため、腰折れがしやすく、成形は1斤タイプのみ。オープン当初から販売している細長い形の1斤タイプは、内相がきめ細かく、皮もパリッとしており、歯応えが心地よい。普通サイズの1斤タイプは、皮も内相も軟らかなので、軟らかさを求める客に勧めている。
 プルマンを提供しようと考えたのは、日本人の食パン好きを踏まえたうえで、常識に捉われることなく、他店では味わえない商品作りをしたかったから。小麦粉は北海道産を使用。ミキシングは特に長くは取らないものの、熟成を十分に進めるために、発酵を長時間取っている。長時間発酵により風味が増してくる。きめの細かい内相と薄っすらと乳色をした生地は、見た目にも旨さを誘ってくる。
 同ベーカリーの全ての商品は、北海道産小麦から生み出される。客に店の特徴をアピールしようと考えて北海道産に決めたのではない。「英国では英国産の小麦を使うのがベストのはず。ならば、日本人の口にあったパンを作るには国産の小麦を使う方が良い」と考えた。客の、「安心しておいしいものを食べたい」という気持ちに応えようとすると、自然にこの選択となった。



限られた設備で客に応えるパン作り
厨房を見ながら好みのパンが買えるようになっている
厨房から売り場を臨む
焼き上がり時間を示したボードを店の前に立てかけている
 「プルマン」をはじめ40種類のパンを生み出すのは4・5坪の厨房だ。それを囲むように3坪の売り場がある。入り口近くで客が精算していると、外から来る人はちょっと待ちぼうけ。間口は広いようで狭い。小さな売り場から丸見えの厨房は、パン屋さんの工場というより、家のダイニングキッチンといった感覚だ。製造工程が見えることで、客は焼き上がりのパンに一層新鮮さを感じているようだ。客にとっての「旨さ」の一つかもしれない。また、子供たちの「楽しそうだね」と言いながらワクワクして見ている姿が嬉しい。
 客の多くは、主婦。30代が中心だという。赤い外車を店の前に横付けして、好みのパンを買って帰る女性もいれば、洒落たバイクを乗り付けて、販売員とおしゃべりしながら大好きなパンを手に取る若い女性もやって来る。外国人の常連客もできた。
 最近、「ライ麦パンはないですか」といった問い合わせもある。これまで、作ってこなかった商品の依頼にどう応えるのか。小さな厨房でコンベクションオーブンを頼りに、日々商品を焼き上げているが、このオーブンだと焼き上げ範囲が限られる。例えば、バゲットは通常より短い仕上がりになる。限られた設備の中で客の要望に応えようと決心している。まさに、「隣の焼きたてパン屋さん」の心意気なのだ。

SHOP DATA
店名 トーストネイバーフッドベーカリー
住所 神奈川県横浜市中区本郷町1‐25
電話番号 045‐263‐8264
営業時間 午前9時〜午後7時
定休日 水曜日
品揃え 40品目
店舗面積 厨房4・5坪、売り場3坪
スタッフ 製造常時1人、販売常時1人(全スタッフ数は4人)
月商 250〜300万円



原価計算女王
原価計算女王

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