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| 居心地の良さを追求した店づくり-kamakura 24 sekki |
| 築40年の民家を改装した店内。柱に塗る塗料や壁材などは自然の素材を使用 | | | 鎌倉24節気は、観光の中心地から少し離れた住宅街にある。同店の客は、自転車やバイク、車など様々な「サンドイッチ&スープ」(1080円)。サンドイッチは日替わり。取材日は豆腐と塩麹のペーストと人参のサンド。塩麹で味付けされたスープは、6種類ほどの無農薬、無施肥の野菜と雑穀入り | | | パンは20〜25品目揃う。商品を陳列するケースは、籐製のかごやホーロー素材のバット、陶器製またはガラス製の器を使いわけ、それぞれの商品の表情を豊かに見せている | | | | オーナーシェフの瀧澤智美さん | | 「隠れ家のような店にしたいと思っていたので、駅から少し離れていて人通りがそれほど多くない場所を選びました」 昨年3月にオープンしたベーカリーカフェ「鎌倉二十四節気」のオーナーシェフ、瀧澤智美さんは、丁寧に、ゆったりとした口調で同店の立地についてこう話した。同店は、JR鎌倉駅から1・6キロほど離れた住宅街にある。店内は、瀧澤さんの丁寧な物腰と通じるような落ち着きある雰囲気があり、観光客で溢れかえる駅周辺の喧騒とは別世界だ。 瀧澤さんは「開業準備をするに当たって、まず、居心地の良い空間があって、そこでおいしい料理とパンが提供できたらという思いがりました」と話す。そのため、物件探しと店の内装に力を入れた。 物件は古民家を探した。「年数を経た柱や梁は、懐かしさや温かみがあります。それらの良い部分を残して改装できたらと思ったんです」(瀧澤さん)。鎌倉という場所にこだわったのは、学生時代からよく遊びに来ていて馴染みがあったことと、好きな寺社仏閣が多くあるからだ。 物件探しは、予想以上に時間がかかった。「古民家は最近人気ですが、鎌倉という場所に限ると、さらにその人気の度合いは高まります。本格的な古民家を紹介する『鎌倉古民家バンク』では4000人以上の人たちが順番待ちしている状態でした」(瀧澤さん)。そのような状況ではなかなかオープンまで漕ぎ着けない。そうした状況の中、築40年の古屋付きの土地を見つかったので、その物件に決めた。 理想としていた古民家ではなかったが、柱や梁は残すべき趣の良さがあった。ジャッキで支えながら、10カ月かけて改装した。「新築するより、時間も手間もかかったと思います」(瀧澤さん)。壁材や塗料などは、自然素材にこだわった。壁には珪藻(けいそう)土を塗り、柱や梁には、亜麻仁油が主原料の塗料を使用した。 「ここに来ると落ち着きますね」 オープンから1年以上が経ち、よくこの言葉を聞くようになった。同時に、常連客が増えてきた。居心地の良さにこだわった空間は、同店の欠かせない魅力の一つとなった。 「リラックスやリフレッシュができる場として、利用していただけているようです」(瀧澤さん)
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| 人々のライフスタイルに踏み込む |
| 鎌倉24節気は、観光の中心地から少し離れた住宅街にある。同店の客は、自転車やバイク、車など様々な交通手段で訪れる。建物の1階が店舗 | | | | 店の外に設置されたカフェスペースで楽しめる、ランチやドリンクの案内 | | | 写真右にある棚には、ショップカードや、同店の近所に住む染色家や陶芸家などによる作品が置かれている | | 人通りの少ない隠れ家的な同店の立地は、常連客や地元客にとっては利点だろう。しかし店側にとっては、通りすがりの客を見込めない点で、不利な立地と言える。不動産屋にも駅に近い場所や交通量の多い場所を勧められたという。 瀧澤さんは物件探しの際、鎌倉をよく知る友人に相談した。 「住んでいる人々のライフスタイルについて聞きました。『車所有者が多い』『よく歩く』『健康に気を使う人が多い』『質の良いものを求める』などという声が多く、多少の立地の悪さを気にせず、気に入った店には通い続ける人が多いことがわかりました」 現在、同店の常連客は、小さな子どもを連れた若い女性や、30〜40代の健康と美容に関心のある女性、30〜50代の男性が中心となっている。交通手段は様々だ。実際取材時に訪れていた客も、散歩ついでに来る人のほか、自家用車、バイク、自転車、バスなどとあらゆる手段を使って来店していた。一見、不利とも思える立地条件だが、周辺の人々のライフスタイルまで踏み込んで調べることによってそれを克服し、むしろ、隠れ家として、また、リフレッシュできる場として、プラスに転じている。 同店の客の滞在時間は長い。1人で来た客の場合、まず売り場でパンを選ぶ。そのうちの1〜2個を、ドリンクと一緒にカフェスペースで楽しみ、残りは自宅用に持ち帰る。その際買い足す人も多い。複数で来た客は、昼時ならサンドイッチなどのランチメニューを味わい、ドリンクを飲んで談笑し、帰りにパンを選んで購入していく。取材時、パンを買うだけでカフェを利用せずに帰っていくという客は、ほとんどいなかった。
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| 自分で体験して分かった食の大切さを伝えたい |
| | 「甘酒カンパーニュ」(490円、ハーフ270円)。自家製甘酒をパン生地と一緒に発酵させたハード系のパン。もちもちとした食感 | | | | 「オーガニックカランツ&シーズブレッド」(790円、ハーフ395円)。オーガニックのカランツ、ペカンナッツ、ひまわりの種、かぼちゃの種、自家製柑橘ピールが練りこまれている | | | 「Veggieメロンパン」(270円)は、オーガニックメープル、太白ごま油、有機豆乳などを使用 | | | 「オーガニックブランブレッド」(420円)。オーガニックのふすまを配合した食パン | | | | 「オーガニックブランのスコーン」(250円)。オーガニックのふすまを使用したざっくりとした食感が特徴 | | | | 「有機北海道小豆のあんぱん」(275円)の甘味付けには、オーガニックメープルを使用。POPには、「大人のあんぱん」と記載 | | 「来た翌日の体調がよくなる」「暴飲暴食が続いたときに来たくなる」 常連客がよく口にする言葉だ。居心地の良い空間と、そこで提供するパンと料理が常連客にこう思わせる。 同店のパンは、福井県にある味噌蔵の麹菌と玄米を原料に作った「蔵付き麹酵母」で発酵させて作る。そして牛乳の代わりに豆乳を、上白糖の代わりにオーガニックメープルや米飴、自家製甘酒を使い、油脂は太白ごま油を使う。卵や乳製品は使わない。また、野菜は無農薬、無施肥で近隣の農家が栽培したものを直接仕入れている。 これらのこだわりは、瀧澤さんが自分自身で実体験して判明した、体に良い食事を提供するためのものだ。偏頭痛に30年間悩まされてきたが、食生活を変えたら3カ月でよくなったという。 「食の大切さを思い知りました。こんなに大事なことは、人に伝えていかなければいけないと思ったんです」 現在パン作りは瀧澤さんが1人で行っている。また、オーブンは小さなものが1台。「パン屋さんをされている方が見ると、驚かれるほど小さいサイズなんです」(瀧澤さん)。「居心地の良い空間でおいしい料理とパンを提供したい」という思いで開業した瀧澤さんは、「すっかり、パン屋さんとして認識されるようになったことに少し戸惑いもあります」とも語る。 「蔵付き麹酵母」を使用したパン生地は、ほかの酵母を使用したものと比べると高温に弱いという。「昨年の夏は生地が思うように上がらなかったので、今年は8月に3週間ほどお休みする予定です」(瀧澤さん) 店名の「二十四節気」には、「季節の変化に従って営業していきたい」という思いが込められている。 SHOP DATA店名 kamakura 24 sekki (鎌倉二十四節気) 住所 神奈川県鎌倉市常磐923‐8 電話 0467‐81‐5004 営業時間 午前11時(カフェは12時)〜午後5時 定休日 月・火曜日 品揃え 20〜25品目 店舗面積 厨房4・5坪、売り場とカフェスペース8坪 スタッフ 1〜2人
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