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| 特集/2003年3月号 |
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| スタッフの上手な使い方 PART2 | |
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ベーカリーを切り盛りしていく上で、スタッフをいかに上手に使うか、という問題は避けて通れない。スタッフのやりがいが、店の発展に直結するように仕向けるにはどうしたらいいのか?3軒のベーカリーを取材した。
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| 一生のうちで育てられる弟子は2〜3人が限度 - パンマルシェ
人を育てられるのは、2〜3年だけ
「職人として人を育てられるのは、人生の中でせいぜい2年から3年、人数にしたら2人か3人だと思います」 パンマルシェのオーナー、吉田伸さんはしみじみとこう話す。 吉田さん曰く。「人を育てるためには、本気で怒らなくてはなりません。万が一スタッフが辞めた場合でも、2〜3カ月は自分ひとりで店をまわしていけるだけの気力と体力がなくてはなりません。それは人生の中でせいぜい2〜3年です。また、人を育てるためには、自分の技術が最高点に達していなくてはなりません。それも人生の中でせいぜい2〜3年だと思います」。 吉田さんは現在、コープかながわ片倉店内にベーカリー、パンマルシェを構えるほか、コープかながわのほかの8店舗内にパンの売り場を持っている。 パンの製造は、コープかながわ片倉店内の店舗が一手に引き受ける。現在、製造は吉田さんを含めて4人の体制だ。 身を削って技術を教える 吉田さんは、スタッフを育てるには、本心からスタッフと向き合わなくてはならない、と感じている。 「本当の親でさえ、子供の顔色を見てしまって、本気で怒れない時代です。そんな時代に赤の他人様のこどもを預かるわけですから、それなりの覚悟が必要です。まず、自分のポリシー共鳴させられるかどうかです。人の育て方にテクニックなんていうものはありません。スタッフに対して、自分の存在が説得力があるかどうかだけだと思います」 吉田さんが弟子と呼んでもいいと思うスタッフが現在2人いる。吉田さんにとって弟子の条件のひとつは、吉田さんに代わって、自分の判断で生地が扱え、しかも自分の判断で商品開発ができることだ。 スタッフが育つ環境は、店の状態にも影響される。立ち上げの時期で、スタッフに新人が多いときは、スタッフが育ちやすい。技術を身につけるための仕事がいくらでもあるからだ。吉田さんはこう続ける。 「スタッフを育てるということはある意味で自分の身を削るということです。スタッフが育っていない時期というのは、いやがおうでも自分の技術を教えようと必死になります。そうしなければ店の発展はありえませんから。片腕的なスタッフが、ある程度育ってきた状況では、そうしたスタッフに多くの仕事がまわりがちになるのは当然の成り行きです」 吉田さんは、スタッフの長所に目を向けることの大切さを強調する。 「先入観を持たないことです。若いこと以外にこれといって見所がないと思えたとしても、よく見れば、絶対に長所はあるはずです。こっちが本気で付き合おうとすれば、それなりの反応は返ってくるものです」 弟子達とはライバル関係 吉田さんは、「師匠と弟子」という関係より、「同じ職場の同志」の関係でいたい、とも思っている。 「そんなに難しく考えてはいないんですよ。偉ぶるつもりもないし、冗談を言いながら楽しくやっています。もし、上下関係があるとしたら、それはやはり製パンの技術についてだと思います。例えば、弟子が包んだアンパンと、私が包んだアンパンがあって、パートのスタッフが包装しているときに、パンのできあがりの差が一目瞭然にわかってしまう、ということです。これは歴然とした事実です。そのことが私とスタッフの間で痛いほどわかっているということなんです」 吉田さんは最近、弟子から冗談半分で「そろそろ引退ですね」といわれることがあるという。 「ウチは、夫婦2人暮らしで、子供がいません。私の後は、現在の弟子に引き継いでもらおうと考えています。弟子が私を超えるか、少なくても同じレベルまで達したら、私は弟子が言うように引退です。でもその時期が思ったより早く来たらどこか寂しいし、悔しいと感じますね。そういう意味で弟子と私はライバルでもあるわけです。かといっていつまでたってもその時期が来なかったら困ってしまいます。微妙なところですね。しかし、私は引退はしません。弟子が完全に育ったら、私はFA宣言をして、別の場所で新たな挑戦をします(笑)。というのも、例えばリゾートホテルのベーカリー立ち上げの話なんかが結構あるんですよ」 弟子からの「そろそろ引退ですね」という言葉からは、吉田さんと弟子達の技術力の差がかなり縮まってきていることが伺えるが、吉田さんは「そういうことを素直に言い合える信頼関係が大事だと思うんです。私は彼らのことを、彼らの親の次に大事に考えている、という自信はあります」。 |

| パンへの思いを共有できる。スタッフでないと続かない。 - ラ・ブランジェリー・ピュール | |
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パンへの思いが深いかどうか
東京・目黒区のラ・ブランジェリー・ピュールは5年前にオープン。売り場が約7坪、製造スペースが約10坪。製造スタッフは、オーナーの梶原利之さんを含めて2人。販売スタッフは常時1人。品揃えはおよそ80品目。地元の熱心な固定客に支えられている。梶原さんに話を聞いた。 問い スタッフを選ぶときのポイントは? 梶原 パン専門店であるわけですから、こだわってパンを作っていくというか、パンに対する思いが深い人じゃないと勤まりません。立ち仕事だし、長時間労働だし、サラリーマン的な発想では絶対に続きません。 有能な人かどうかは、面接だけでは、なかなかわかりませんね。経歴がすばらしくて、まじめそうに見えても、まったくだめな人もいました。「機転がきき過ぎるおりこうさん」は脱落するケースが多いように思います。要領よくやってしまうんですよね。 同じ目線で接するが、けじめはつける 問い スタッフとの接し方で注意していることは? 梶原 上下関係で付き合うのではなく、同じ目線で付き合っていきたいと思っています。今は「上下関係」の時代ではないと思いますから。共にパンを追求していくという感覚で接するようにしています。 問い 具体的には? 梶原 例えば、スタッフのやっていることが好ましくないと感じたら、「こうしなさい」というのではなく、「自分はこう思うけれど」という感じで切り出します。 スタッフがやっていることをストレートに否定するのではなく、相手に考える余地を与えるようにしています。 しかし、けじめはつけなければなりません。自分が厨房にいるときは、多少緊張した空気が立ちこめてほしいと思っています。 それと、スタッフの仕事について感じたことがあったら、その場ですぐに指摘するようにしています。 例えば、パンの焼き色が薄いとか、焼き込み過ぎといったことは絶対に指摘するのをためらってはいけないと思います。 問い 他に気をつけていることはありますか? 梶原 気をつけている事かどうかはわかりませんが、やはり私の店なのですから、私の考えに共鳴してくれる人でないとスタッフとはいえないと思います。 輝かしい経歴の持ち主でも、ウチに来たらウチでは新人なわけで、1年早く入ったスタッフの方が先輩です。その辺をわきまえて仕事ができる人でないと困りますね。 |

| 楽しくなければ仕事ではない。人を使う能力も身につけさせる - マルグレーテ | |
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販売と製造の分業はしない
神奈川県川崎市のマルグレーテは、小田急線・向ヶ丘遊園駅からバスで約10分の距離。聖マリアンナ医大病院の隣に位置する。 店舗面積はおよそ24坪で、そのうち売り場が6・5坪、厨房が13坪。品揃えは、およそ60品目で、対面販売。製造スタッフは、役員の都築秀典さんと社員ひとりのほか、パートが常時5〜6人の体勢。 オーナーの片山悟さんに話を聞いた。 問い スタッフに生き生きと働いてもらうためにはどうしたらいいのでしょうか? 片山 ウチはまず、製造と販売の分業はしていません。全員製造と販売の両方に関わります。パンを作る過程に関わっていれば、接客する際にパンの勧め方が違ってきます。接客に関わっていれば、パン作りに心がこもります。 それとウチぐらいの規模のベーカリーにとって、全員が製造と販売に関わった方が効率的だということもあります。厨房にいて、売り場から「いらっしゃいませ」の声が3回聞こえてきたら、状況が許す限り、売り場に出ることになっています。 「楽しくなければ仕事ではない」と考えています。その意味でも全員が製造と販売の両方に関わっていれば、「自分が作ったパンを、自分が販売して、お客様に喜んでもらう」ということを通して、仕事に対する誇りと喜びが自然に生まれてきますから。 私はいつも、自分がされて嬉しいと思うことを他人にもしてあげなさい、と言っています。 怒らずに叱る。常に理性的に 問い スタッフに厳しくする時の注意点は? 片山 決して感情的になってはならないと考えています。怒ることと叱ることはまったく違うわけです。ここはちょっと声を荒げて注意した方がいいと思った時でも、常に理性的でいなくてはなりません。 私は、「やってみせ、いってきかせ、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」という山本五十六の言葉が好きです。 新人が入ってくると、まず商品を覚えてもらいます。そしてどの商品はどう包装して、どうお客様に渡すか、どんな言葉をお客様にかけるか、などについて、実際にやって見せてから説明します。 スタッフに対する感謝の気持ち 問い 社員と、パート・アルバイトでは接し方に違いはありますか? 片山 最近スタッフのひとりを社員にしました。社員とパート・アルバイトで接し方は変わりませんが、求めるもの、目指すものは当然違ってきます。 問い 具体的には? 片山 人を使う能力というものも養ってもらわなくてはなりません。自分の仕事をこなしながら、店全体の仕事の進捗状況も常に把握できていなければならないわけです。 問い かなり高度な技ですよね。 片山 周りの状況を把握するための情報は、視覚だけではありません。例えば聴覚があります。後方どれぐらいの位置で、どんな音がしたか、「ゴトン」か「ガタン」か「ガチャン」かで何が起こったのかを判断できるわけです。 匂いでも回りの状況がわかります。 あらゆる情報を総合的に即座に判断して、的確な指示が出せるようにならなくてはなりません。 問い スタッフと接する際に他に大切にしていることはありますか? 片山 いろいろと言ってきましたが、根底にはスタッフへの感謝の気持ちがあります。はっきりしていることは私ひとりでは、店は回していけないということです。そう考えると私はスタッフによって生かされている、とも言えるわけです。 |

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