記事の閲覧
| <<戻る | 写真をクリックすると拡大写真が見られます。 |
| お店拝見/2012年6月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

| マニアックな製法 | |
|
田中オーナーシェフは自分のパン作りについて「マニアック」と表現する。同店が作る30品目のパンは自家培養した30種類の「自家培養自然酵母種」を用いて作り出す。自家培養自然酵母種は、毎日使う分だけ作り使い切るのが大半。フルーツ種、ビール種、ヨーグルト種の3つの液種と、小麦粉、小麦全粒粉、ライ麦粉、ルヴァンリキッド、ルヴァンデュール、ルヴァンムーなどを合わせて起こし、それぞれ異なる温度に設定された7箇所の保存庫に入れて管理する。
さらに使う粉にも相当のこだわりがあり、有機小麦や、「カムット」「スペルト」「エンマー」といった古代小麦を自家製粉している。 こうした田中オーナーシェフのマニアックなパン作りは業界の中でも注目されている。同店の客は、一般客以外にパン職人やパン教室の講師なども多い。 最近は台湾などアジア人のグループが視察に来ることもある。こうした業界関係者は製法について、徹底的に訊ねてくるという。そのようなとき、田中オーナーシェフは30種類の自家培養自然酵母種のことなどについて解説し、厨房の中まで案内することもある。「開業当初、毎週土曜日は見学希望者に対して厨房を公開する日としていました。『自家培養自然酵母種だけでなぜこんなに膨らむの?』と疑問を持つ職人さんが多かったんです」 田中オーナーシェフは今でこそ、100%自家培養自然酵母種でパンを作っているが、以前は「100%自家培養自然酵母種ではパンはおいしくならない。パン酵母と併用して使う必要がある」との考えを持っていた。自家培養自然酵母種の扱いは、「全否定の見地からの出発だった」と当時を振り返る。 「自家培養自然酵母種とパン酵母、どちらを使うのかに関しては全くこだわりはなかったのですが、自家培養自然酵母種をパン酵母と合わせるとおいしくなることはわかっていました。でも、自家培養自然酵母種に関してはあいまいな部分があまりにも多かったと思います。パンは毎日食べます。それに使うのだから、成分データをとり、安全性を裏づけることが必要です」 同店の顧客は、大病を煩っている人も多いという。自家培養自然酵母種の力を発揮させて作ったパンは、乳酸菌など、体調を整える効果のある成分が市販のパン酵母で作るパンより多く含まれているようだ。「パンには食べる人の命がかかっています」と、田中オーナーシェフは言う。 |

| ラボでは味の深みを追求する | |
|
「ふくらますのは簡単だけど、味に深みを出すのは難しい」
田中オーナーシェフは、「ラボのような厨房」で、味だけを追求してきたという。 「甘さの中にある酸味や、酸味が引き立てるフルーツのコクのある甘さといったような、深い味を出すために、材料と製法をいろいろと試しています」。自家培養自然酵母種に関しては、1つの製品につき3〜5種類組み合わせて配合する必要があることが分かった。食べ比べれば、味の違いは歴然なのだという。 「自家培養自然酵母種を1種類だけ使った場合は、味に深みが出ないんです。味噌汁で例えれば、味噌をだしを取ったお湯の中に入れるのと、ただのお湯に溶かすのとの違いと一緒です」 |

| 一見華やかさのないパン | |
|
店内は、白を基調としたすっきりとした印象。そこに並ぶパンは、成形はいろいろだが、フルーツや惣菜などがのった鮮やかな見た目のものはない。一見ハード系しか置いていないようにも見える。
それでも来店客は、新しい発見をしたかのような輝きに満ちた表情をしている。見た目に華やかさはなくても、味、食感、風味が、個性的な製品であることを知っているからだ。 これらのパンをスライスすると、ハーブやフルーツが練りこまれた表情豊かなクラムが顔を出す。ほとんどが計り売りの商品なので、スライスされた状態で陳列されているものもある。スライスされる度に、陳列棚は華やかさを増していく。 「バジリック ユイール ドリーヴ」(1グラム2・5円)は、クラムは、みずみずしくふんわりとしており、バジルの香りが豊か。「スペシャルローズ」(1グラム4円)は、食用バラの生花、ドライイチゴ、フランボワーズ、オレンジピールを練りこみ、食用バラの生花から起こした自家培養自然酵母種を配合した、香り高い製品だ。 様々な練りこみ材料だけでなく、自家製粉している粉自体の風味も豊か。同店のパンは、素材の持っている味や香りが、これほどまでに強いものだったのかと気付かせてくれる。 SHOP DATA 店名 ラトリエ ドゥ プレジール 住所 東京都世田谷区砧8‐13‐8ジベ成城1F 電話 03‐3416‐3341 営業時間 午前12時〜午後7時 定休日 月・木曜日 品目数 30品目 店舗面積 売り場5坪 厨房9坪 スタッフ 製造2人、販売1人 |

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。













