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| お店拝見/2012年5月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

| 1番信用できて緊張させてくれる存在 | ||||||||||
「普段通る道ってそんなに変えないですよね。未だに『いつオープンしたんですか』って近所に住むお客様に訊かれることもあるくらいです」 目立たない立地でも、着実に常連客を増やしていった。さらに、週1回来ていた人が次第に毎日来るようになるなど、1人当たりの来店頻度も増えてきた。こうした成功の裏には、根本さんの「毎日買いに来てもらいたい」という強い思いがある。 「パンは買いだめしないで、食べたいときに食べる分だけ買いに来てもらいたいんです」 この気持ちを、地道に客に伝えていった。例えば、トレイにいっぱい盛っている客に対して、「差し支えなければ、また来てください。パンですから、すぐに食べてください」と、日常会話を交わしながら極自然に、この一言を添えていった。 取材日も、毎日のように来ているという常連の女性客がいた。根本さんとその女性客は、名前も知れた親しい間柄という風に日常会話を交わしていた。 「常連のお客様は例え雨が降ろうと、天候に関係なく買いに来てくれます」 根本さんが、常連客を増やしたいと思う理由はこれだけではない。 「1番信用できて、1番緊張させてくれる存在なんです」 店の味、店の魅力を知リ尽くしている常連客には、品質や味の変化は敏感に伝わる。スタッフが、いい意味での緊張感を持ち続けるためにも、常連客の存在は重要なのだ。 開業して5年が過ぎた。最初の3年間は、製造する手が空くとすぐに入り口横に移動し、出入りする客一人ひとりに対して、ドアの開け閉めと挨拶を欠かさなかった。 「作って中にいるだけでは覚えてもらえません。来ていただいた方に自分を知ってもらいたくて、とにかく売り場に出ていきました」 根本さんにとって、同店のある武蔵小山は「海のものとも山のものともつかない」というほど、見知らぬ場所だったという。浅草で育った根本さんは、下町の商店街にあるような、地域に密着した店を目指した。今では、子どもからお年寄りまで幅広い年代の客が、パンだけでなく、根本さんとの日常会話を楽しみにやってくる。 | ||||||||||

| 職人の見地で伝えるパンの楽しみ方 | ||||||||||
一般のバターロールと比べ、形が丸っぽく、一回り大きい。 「子どもが初めて、1個食べられるようになったとか、大きいから半分に分け合って食べたとか、そういう思い出のパンにしてもらいたくて」 根本さんのこの思いは、客と一緒になって成長していこうとする同店の在り方を感じさせる。 バターロールのおすすめの食べ方を訊くと、「そのままか、もしくはジャムをつけてもおいしいです」と返ってきた。 さらに、「ジャムは塗るのではなく、スプーンですくったらそのまま落とすようにして、のせるんです」と続けた。 「細かいことだと思う人もいるかも知れないですが、全然違うんですよ。ジャムは本当は、栄養もあるしそれだけで食べても充分においしいものです。ナイフで塗りつぶしてしまったら、口解けや食感が変わってしまいます。バターも、常温で柔らかくして塗るのではなく、冷たいままスライスしてのせて食べれば、口の中で溶けると同時に香りが広がります」 カフェスペースでは、サンドイッチ7品とサラダや飲み物を揃える。パンの楽しみ方の提案が1番の目的とあって、「ハムエッグ」(500円)など、「家庭で作れる極シンプルなメニュー」にしている。「作り方も教えたい」と、調理スペースはオープンだ。 挟む具材については、「コロッケやポテトサラダなど、家の都合に合わせて何でもいいと思います」と言う。そして、「ぜひ、温めてくださいね。焼くというのは、ただ焼いて色をつけるということだけではなく、その色には香ばしさなどの味があります。味を付けるということなんですよ。それに温めると甘味も増します」と、プロとしてのアドバイスを加える。 子どもの頃、パンが好きではなかったという根本さん。しかし、唯一好きだったというカレーパンを求めてよくパン屋に行った。香りにつられ、買いに行くこと自体も楽しんでいたそうだ。そして15歳から26年間、パン職人としてパンと向き合ってきた。「こだわっているわけではありませんが」と言いながらも、15種類の粉と、4種類の自家製酵母などを使いこなし、70〜80種類のパンを作り分けていく。この職人としての繊細な感覚は、作ることだけでなく、味わい方にも活かし、客にパンの魅力を伝えていく。 SHOP DATA 店名ネモ・ベーカリー&カフェ 住所東京都品川区小山4‐3‐12TK武蔵小山ビル1F 電話03‐3786‐2617 営業時間午前9時〜午後11時 定休日水曜日 品目数パン70〜80品目、菓子約15品目 店舗面積厨房14坪、売り場・カフェ18坪 スタッフ製造4人、販売・カフェ6人 日商25万円 | ||||||||||

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