翌日用として求める人が多い-パン ド コロ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2012年4月号

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翌日用として求める人が多い-パン ド コロ
奥行き80センチ、幅270センチの広さの陳列台に、ぎっしりとパンが並ぶ。上段の下に隠れるほど
店主の田所見之さん(中央)、妻の綾さん(左から2番目)とスタッフ
朝は軽めの調理パンを揃える
豊富なデニッシュ類
 昨年11月にオープンしたばかりのベーカリー「パン ド コロ」。オープンして間もない今年1月、朝の開店時間を7時から9時に、2時間遅くした。その理由を、店主の田所見之さんはこう話す。
 「朝から、常に焼きたてが求められるのかと思っていたのですが、そうでもなかったんです。実際営業を始めてみると、買い物や仕事の帰り途中に、翌日食べる分として買っていく人の方が多かったんです」
 同店の最寄駅である、神奈川県横浜市の市営地下鉄・上永谷駅周辺は、首都圏のベッドタウンという位置付け。ピークは昼頃と、夕方に訪れる。「サラリーマンが朝食や昼食用にと、朝早く買っていくのかと思っていた」という田所さんの予想は裏切られた。
 「皆さん朝の電車の時刻が決まっている中で、途中でベーカリーに寄るのは難しいんだと思います」
 開店時刻を遅くしたことに加え、パンのレシピの変更も行った。
 「お客さんが、実際に食べるときのことを考えてみると、焼きたてにこだわるよりも、買った日の翌日に食べてもおいしいパンを販売していった方がいいのだと思いました。翌日でもぱさつかず、しっとりとした食感にするため、吸水の量を少しずつ、限界まで増やしていきました。また、菓子パンなどは、完全に冷めた頃に袋に入れるようにして乾燥するのを防いでいます」



「ついで買い」で、焼きたてのおいしさを伝える
あんぱんだけで6種類
塩パンのバラエティ5種。1時間前にずらっと並んでいたチャバタに変わるようにして焼きたてが並んだ
陳列台に並べる種類を多くするため、乗り切らないパンはラックに控えている。売れるとすぐに補充していく
人気商品の「メロンパン」(147円)。「メロンパンの欠点をすべて克服してあるようなおいしさです」(田所さん)。塩バターを包んで焼き上げた。外側のクッキー生地の食感がさくっと軽く、1度に2個食べられそうなおいしさ
 1日で作るパンは約100種類。1品目につき10〜20個ほど作り、店内にはどの時間帯でも60品目を陳列するようにしている。その種類の多さは、5坪の広さの売り場ではかなり多品種に見える。
 「種類が多い店は、いろいろなお客さんが来ていて楽しそうに見えます。そんな店にしたかったので、何でも揃っている店にしようと思ったんです」
 田所さんは店を開業するにあたって、専門性の高い店と、品揃えのバラエティーが豊富な店を見比べたという。その結果、専門店に対する意欲は薄れ、日常的な買い物の場として気軽に来店してくれるよう、バラエティー豊富な店にしようと決めた。
 各時間帯で中心となるアイテムを決めながら、100種類を1日の間で提供できるよう、1アイテムにつき、10〜20個と少数ずつ、次々と焼き上げていく。各時間帯の中心アイテムを決めている。朝はサンドイッチ、菓子パン、軽めの調理パン、昼は、ピザや具だくさんの調理パンなど焼きたてが特においしい商品、夕方は、食事系のパンだ。1時間でも時間をずらして入店すれば、がらっと顔ぶれが変わっている。例えば午後3時にチャバタが並んでいたスペースは、4時になると塩パンのバラエティー5種がずらり、というように一変する。そのため、時間を変えて1日に2度来店する客もいるという。
 田所さんが販売担当のスタッフに指示していることは主に2つ。「焼き上がりました」と声を出すことと、種類がたくさんあるように見えるようにパンを陳列することだ。
 陳列台には、デニッシュ、あんぱん、調理パンなどカテゴリーごとに、1品目につき1列ずつ並んでいる。商品によっては、陳列台の影に見え隠れするものもあるほどで、宝物を探し出すかのような気持ちも沸き起こる。見れば見るほど目移りし、その間にトレイにパンが増えていく。
 「翌日用のパンを買う」と決め、来店した客も、ずらりと並んだ焼きたてのパンを目の前にすると、その日に食べるパンも買ってしまう。さらに、1アイテム当たりの製造数が少ないので、「次来たときはこのパンはないかもしれない」という希少性も手伝って、購入品目が増える。結果的に同店は、翌日でもおいしいパンを作りながら、焼きたてのおいしさも提供しているのだ。
 種類の多さにこだわるのには、もう一つの理由がある。
 「売れ筋の食パン『パンカレ』(231円)と『メロンパン』(147円)は、実は原価が高いんです。でも、お客さんにとっては、材料にどれだけこだわって作ったところで、食パンは食パン、メロンパンはメロンパンでしかありません。ですので、高い原価をそのまま価格に反映することはできません。リピートしてもらうために、売れ筋のものほど原価の割に価格を安く設定しています。利益率の高いほかの商品も、売れ筋商品と一緒についで買いをしてくれれば、全体としては採算が合います」
 店の商品全体で、原価と価格のバランスが取れる仕組みになっているのだ。比較的原価の安いアイテムの一つに、塩パンがあり、こちらも人気商品だという。



子どもの頃から食べていた定番の味を販売
食パン類と、ドーナツは窓側の陳列台に並ぶ
横浜市の市営地下鉄・上永谷駅から歩いて2分ほどの立地
 現在、商品全体の6割が菓子パンだが、オープン当初は8割もあった。客から要望を受け、食事系のパンを増やし、調整した。
 「菓子パンが、作るのも食べるのも好きだから、気付いたら菓子パンばかりが揃っていたんです」
 田所さんは、ベーカリーを営む両親の下で生まれ育った。菓子パンが好きなのは、小さい頃からだという。特に、コッペパンに自家製のピーナッツクリームを塗ったものが好きで、日常的に食べていたという。
 そのピーナッツクリームを、「ピーナッツクリーム」(150グラム、262円)として、自身の店でも最近売り出した。販売予定数をすぐに超え、材料不足になるほどの人気商品となった。
 作り方は、ピーナッツのペーストをマーガリンで伸ばし、シロップ、塩で味を調整する。塩気を少しきかせたところが味のポイントだ。また、バターではなくマーガリンを使うところも大事だという。
 「マーガリンで作れば、常温保存ができるので固まらず、塗るときも楽です。店で販売するときも、冷蔵ショーケースではなく、ジャムと一緒に並べることができるので、お客様にとっても分かりやすいと思います」
 田所さんは同店を開く前、東京・葛飾区のブーランジェリーオーヴェルニュに6年半勤務した。妻の綾さんは、埼玉県さいたま市のブーランジェリークルミなどに勤務。田所さんは、「ほとんどの商品が、2店のどちらかのレシピから作っていると思います。どちらのパンもおいしくて、ファンでしたから。美味しいとこどりをしています」と笑う。
 子どもの頃からずっと、パンが好きで食べてきた田所さんは、客目線からもパンの楽しみ方を提供していく。

SHOP DATA
店名パン ド コロ
住所神奈川県横浜市港南区丸山台2‐1‐1
電話午前9時〜午後7時
営業時間045‐370‐8592
定休日火曜日
品揃えパン100品目、菓子6品目
店舗面積売り場5坪、厨房14坪
スタッフ製造常時2〜3人、販売常時2人
日商平日約13万円、土日約16万円





原価計算女王
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