オープン後2年が経った頃から軌道に乗り出す‐ブーランジェリー ザクロ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2012年3月号

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オープン後2年が経った頃から軌道に乗り出す‐ブーランジェリー ザクロ
住宅街の一角にある「ブーランジェリー ザクロ」
具沢山のサンドイッチとピザが客を出迎える
人気の「Zacro特製スペシャルセット」(580円)。サンドイッチ2種類と、クロックムッシュ、クロワッサンザマンドがそれぞれ半分ずつ入った詰め合わせ。客のリクエストで販売開始
オーナーシェフの森田克己さんと製造スタッフ

 神奈川県横須賀市、久里浜港の程近くに「ブーランジェリー ザクロ」はある。もともと自宅だった所に建てたという同店周辺は、戸建て住宅が立ち並ぶ。この、一見すると閑静な住宅街に、平日20万円を売り上げる盛況を誇るベーカリーが潜んでいるのだ。
 オーナーシェフの森田克己さんは、専門学校を卒業後、シェーンブルン(神奈川県平塚市)、ビゴ東京、メゾンカイザーなどで15年ほど腕を磨いた。同店に並ぶのは、ルヴァンリキッドを使い、低温長時間発酵で作るフランスパンだ。店内は、主に木を使ったダークブラウンの色調で、フランスのベーカリーのようなお洒落なインテリア。こうした本格的なフランスパンを提供する同店と、周囲の環境とには、ギャップがあるようで、森田オーナーシェフは「『本当にあったんだ』と、笑みを浮かべながら入ってくるお客様もいます」と話す。
 「人気が徐々に出てきたと思ったのは、2年前位からです」(森田オーナーシェフ)
 同店には現在、平日150人、土日は250人が来店する。その多くが車利用客のため、店舗前以外の場所にも駐車場を新たに設けた。しかし、本格的なフランスパンを根付かせるまでには、日々の努力の積み重ねがあった。
 パンを作ってはチラシを配ったり、地域紙などに広告をうったりということを、オープン後2年弱の間続けた。人通りが多くない住宅地立地であることから、「店を知ってもらわないといけない」と考えてのことだ。
 こうした活動の効果もあり、来店客が徐々に増えていった。しかし、来店客が増えても、価格を見ただけでパンを手にとらないという人が多かった。
 「パンは安く買えるものと思われている中で売っていくためには、まず、店頭で試食してもらわないといけないと思いました。おいしいことが伝われば大体のお客様が買ってくれます」
 店頭には、容器に入った試食用のパンがずらりと並ぶ。各パンの横に置いてあり、客が自ら手に取って試せるようにしている。オープン当時から4年間ずっと続けている。
 同店の客入りのピークは、昼時だ。目当ての商品となっているのは、サンドイッチとピザ。入り口の戸を開けて正面にあるショーケースに入った12種類のサンドイッチと、その上に並ぶ4種類の焼きたてのピザが客を出迎える。どちらも具沢山でボリュームのある製品で、原価率はほぼ50%だ。
 「お客様が、こんなところまでわざわざ来てくれるんです。喜んでもらいたくて」
 「トマトとモッツァレラチーズのピザ」(260円)などのピザは、前日の昼過ぎから発酵させておいたチャパタ生地に具材をトッピングして、いつでも焼けるように準備しておく。ソースは、トマトソースではなく、クリームチーズを牛乳でのばして作るソースで、フランスで食べられているタイプだという。
 「バジルチキンとカマンベールチーズのサンド」(420円)などのサンドイッチは、エリック・カイザー氏の兄、フランシス・カイザー氏直伝の製法で作る。
 「教えの通り、バターやマヨネーズは、たっぷりと塗っています。料理のソースとなるからです」
 昼時に買って夜に食べても、具からパンへの水分の移行が少ないからか、具とパンのおいしさが損なわれていない。サンドイッチは、大口の注文も入るという。



先輩のチェックを受けた
写真左のケースには、各パンに練りこむ具が用意されており、ケースの中で手で練りこんでいく。写真右の手前のミキサーを半年前に買い足した
ほとんどのパンに、容器に入った試食用のパンが用意されている
「クロワッサンザマンド」(230円)など、クロワッサンを使用した製品の種類が豊富
厨房から売り場がすぐ見える
「トマトとモッツァレラチーズのピザ」(260円)など、具沢山の4種類のピザは焼きたてが並ぶ。チャパタ生地の上にクリームチーズを使ったソースを塗っている


 2年前から軌道に乗ったという同店だが、森田オーナーシェフは「実はここ数カ月の間で、パンが見違えるようにおいしくなったんです」と話す。
 売上げが伸びて作る量が増えてくると、12キロ仕込みのミキサーで20キロを仕込んで煙を出したこともあったという。半年前、ミキサーを1台追加したが、「使いこなせていないのでは」と疑問を持ち続けていた。
 そして昨年の暮れ、メゾンカイザーに勤務していたときから、よく相談に乗ってもらっているという、東京・渋谷区のベーカリー「メゾン・イチ」の市毛理オーナーシェフに、ミキサーの使い方や製造工程などのチェックをお願いした。
 「店に来ていただいて、生地作りを最初から見ていただいたんです。改善すべき点となったのは、やはり、ミキサーの使い方でした」
 生地の仕込みを一人でこなす森田オーナーシェフは、すべてのパンのミキシングを、焼成する前日の午前11時から行っているが、改善後、ミキシングにかかる時間を大幅に短縮できた。
 「これまで5時間かかっていたのですが、3時間半にまで短縮できたんです」
 これまで後から投入していたバターを、ほかの材料とほぼ同時に入れるようにした。
 「オールインにすることで、ミキシング時間が短縮できる上、生地も痛みません。おいしさが格段にアップしました」
 自身のことを「頭がかたい方です」と話す森田オーナーシェフは、すべての工程を市毛氏に実際にみてもらったことによって、発展の糸口を掴んだのだ。
 クリームパンとあんぱんがないことを訊くと、「なるべく簡単に多く作るためなんです」と言う。
 「手間のかかる包餡作業はやめて、その分多くパンを焼けるようにします。かける労力はほかのベーカリーの2分の1です。少ない労力でいいパンをたくさん作って、低価格で提供してお客様を喜ばせたいんです」
 約30品目の同店のパンは、フランスパン、チャパタ、バター入りとバターなしの2パターンの食パンの4つの生地から派生させるように作る。効率化を図るためだ。
 「チャパタドライトマト」(160円)や「チェダーチーズのパン」(220円)などのトマトやチーズなどの具は、チャパタ生地を大分割した後、手で混ぜる。
 「多くの種類を作るのに、手混ぜができると効率がいいんです。そのために、手混ぜでも具が入りやすいような生地にしています」
 ルヴァンリキッドを配合し、水分を多めに加えることで、手混ぜに対応できる生地を開発した。
 今春から、250ミリリットル入り2100円の高級オリーブオイルを販売する予定だ。
 「おいしいオリーブオイルなので、チャパタにたっぷりと付けて味わってもらいたいんです」
 パンと同様、手に取ってくれるきっかけ作りのため、店頭で試食販売をする。さらに購入客にはプレゼントを付ける予定だという。
 「チャパタをプレゼントします。『おいしい』って喜んでもらえたらうれしいので、チャパタは1つと言わず、2つでもいいと思っています」

SHOP DATA
店名ブーランジェリー ザクロ
住所神奈川県横須賀市ハイランド1‐5‐2
電話046‐853‐5885
営業時間午前9時〜午後7時
定休日月・火曜日
品揃え30品目
店舗面積売り場5坪、厨房15坪
スタッフ製造5人、販売は平日2人、土日3人
日商平日20万円、土日30万円








原価計算女王
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