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| インタビュー/2011年12月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 数々の社内勉強会で、経営理念を全員で共有‐横手和彦社長に聞く ピーターパン・本社・千葉県船橋市海神3-24-14、電話047-410-1023 | |
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千葉県内にベーカリー5店舗を展開し、年商13億円を売り上げるピーターパンは、数々の社内勉強会で、経営陣と従業員が深く関わることで会社の経営理念を共有し、大きな力を発揮してきた。横手和彦社長は、最初に出店したのが、東京・青山のスナックだったというベーカリー経営者としては異色の経歴を持つ。「自分がやらずに、社員に任せるからここまで大きくなれたんですよ」と笑いながら話す横手社長の顔は、経営者としての誇りに満ちていた。
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| 子供に、働く姿を見せたかった
―――今日こちらにお伺いしたときに、お店でパンを買わせていただいたのですが、スタッフの方がみんなはつらつと働いていらしゃるなと感心しました。社長の指導がいいのでしょうね。
横手 社長として一番大事にしているのは、私の経営理念を社員に理解してもらい、それをもとに行動してもらうことです。私は、毎年会社の経営理念をわかり安くまとめた小冊子を作って、すべての従業員に配っています。成文化することで、まず自分がぶれなくなるし、従業員にも伝わり安くなります。 店が何のためにあるのか、我々は何を提供しているのかをはっきりと会社として打ち出さなくてはなりません。当社のコンセプトは、「パンを通して、ちょっと贅沢、ちょっとおしゃれな食文化を提供する」ことです。ですから、このコンセプトを実現するために商品があり、接客があり、制服があり、店作りがあるわけです。すべてが、このコンセプトを実現させるためにあるんですね。 ―――「ちょっと」というのがポイントなんですかね。 横手 パンというのは100円、200円のものですから、それで豊かな気持ちになれるのなら、素晴らしいと思います。何千円、何万円というグルメじゃなしに、庶民価格で、ほっとするような贅沢を提供したいですね。まさに「ちょっとした」というのがミソですね。 ―――横手社長の略歴を聞かせていただけますか。 横手 1943年、広島生まれです。学校を卒業して、すぐに地元の信用金庫に入ったのですが、2年で辞めて、東京に出てきて青山にスナックを開きました。 ―――パン屋さんとはまったく違う世界から始まったんですね。 横手 独立して自分で何かをやりたかったんですね。飲んで歌って踊れるようなミニクラブのような店で、ちょっとおしゃれなピアノバーみたいな感じでした。でも価格はリーズナブルでした。 これが当たって、27歳で独立したんですが、29歳の時には家が建ちました。 ―――パン屋さんになったのはどういうきっかけだったんですか? 横手 3歳の子供を自分のスナックに連れて行ったことがあったんです。子供は灰皿を取り替えたり、料理を運んだりして楽しく手伝いをしてくれました。私はそのとき、お客さんの席に座って酒を飲みながら相手をしていたんですが、次の日の朝、子供に「お父さんは毎日仕事に行くと言って出かけるけど、仕事をしていないじゃない」と言われたんです。 金槌で頭を殴られたような衝撃を受けました。私は、親が泥だらけになって畑を耕す姿を見て育ってきたので、「これはまずいぞ」と思いました。 そんなときに、店のお客さんに、パン屋をやりたいという人と、パン屋をやっている人がいて、そのパン屋をやりたいという人を、パン屋をやっている人に紹介したんですね。 そのときに、私もいっしょにパン屋の経営の話を聞かせてもらいました。そしたら、パン屋もまんざらではないなと思ったんです。33歳のときに「パン屋になろう」と決めました。働く姿を見せながら子供を育てようと思って選んだのがパン屋の道だったんですね。昭和52年、千葉県市川市の手作りベーカリーに修業に出ました。 |


| 勉強会を通して社員と深く関わる | |
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―――そのほかに勉強会はありますか?
横手 専門の講師を呼んで、ベンチマーキングの手法にならって、例えばセブン‐イレブンとローソンを見学に行かせて、そのコンセプトは何かを実地調査させ、比較検討させるという内容の勉強会も開いています。セブン‐イレブンはどちらかというと主婦がターゲットで、ローソンは若者が対象だ、という具合に比較検討させるんです。レポートを出させて、それを皆の前で発表させます。この勉強会も月に1回開いていて、期間は1年です。対象者は入社2〜3年目の社員で、現在は約20人が参加しています。 まだありますよ。「社長塾」といって、これは幹部候補生10人ぐらいが対象です。メンバーは時々入れ替わります。これも月1回のペースで行なっています。期間は1年で完結ではなくずっと続きます。 うちはとにかく勉強会が多いんですよ。勉強会を開くことで、私が社員の能力を把握することが出来るし、同時に社員が私に対して、自分をアピールすることも出来るわけです。 ―――経営に関する勉強会が多いですね。 横手 製パン技術と理論の勉強会もあって、それぞれ毎月1回行なっています。参加者は約10人で、皆頑張っていますよ。この10人は製造部長が選んだ、当社の精鋭たちです。その10人の中には、自分が先生になって、他の従業員を集めて勉強会を主宰している人もいるんです。勉強会で学んだことを、今度は自分が先生になって他の社員に教えることでさらに力がつきますね。 ―――人のやる気を引き出して、生き生きと働いてもらうようにする秘訣は何ですか? 横手 とにかくスタッフと深く関わることですね。そして愛情を持つことです。私は短気なので、つい怒鳴ったりもしてしまうんですが、あとで考えて、怒鳴らなかった方がよかったと思うときは、「怒鳴らずに言い聞かせればよかったのに、ついつい怒鳴ってしまってごめんね」と言って、謝ることもあります。スタッフとの会話は、面と向かってすることもあるし、メールですることもあります。私は社員とのコミュニケーションには、メールはとても有効だと思っています。 ―――人とかかわるときに、相手の性格は考慮しますか? 横手 相手の性格によって、指導方法は当然変えなくてはいけないと思っています。エニアグラムという性格分析の手法があって、これはよく利用しています。エニアグラムでは、人間は9つのタイプに分析・分類できるんですが、例えば「タイプ8」というのがあって、これは「統率者」タイプなんです。こういう人に皆の前で 頭ごなしに怒ってはいけないんです。2人だけのときに「あの時はこうした方がもっとよかったと思うよ」みたいに言ってやらないとだめなんですね。 |
| 経営理念を落とし込むためのツール | |
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―――横手社長は、経営手腕に長けているんですね。
横手 企業経営の様々な手法を採り入れて、実践しているのですが、これらはすべて、私の経営理念を社員に落とし込むためのツールなんですよ。そんなに難しいことではなく、例えば、マーケティングというのはお客さんを選ぶことで、それは店として何で表現するかといえば、品揃えであり、サービスであるわけですね。パンを通して、「ちょっと贅沢、ちょっとおしゃれな食文化を提供する」ためには、こういう店作りをして、こういう商品を作って、こういうサービスを提供するんだよ、ということになってくるんです。 お客様が誰なのかもはっきりさせなくてはいけませんね。うちの場合は、家庭にいる主婦、いや主婦だけじゃなく、家庭にいる人です。だからリタイアした年配の方もうちのお客様です。そうするとお年寄りも楽しく買えるような店にしなくてはならないね、ということになるんです。家庭にいる人だったら、子供を連れてくるのは当然だから、子供が楽しめるような遊び場を用意したりもします。子供を抱っこしてきたら、子供の靴でほかのお客様の服が汚れないように、靴にかぶせるビニールを用意したりもします。 子供が店内に多いと嫌だという人は、子供が少ない平日に来店していただきたい、ということになります。 OLの方が、昼休みにお昼のパンを買いに来た場合には、うちは混雑しているので、並んで買うと時間がかかってしまい、昼休みがなくなってしまいます。だから、OLの方は休日にいらしていただきたい、ということになります。 このように店としてできることと出来ないことを明確にすることが大切だと思うんですね。 こうしたことが、私が従業員と深く関わり、さらに従業員同士が深く関わり合うことで、会社全体の共通認識事項になっていくんです。 |
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