オープン一周年記念デモンストレーションなど‐エコール・ルヴァン・ダンタン - ブランスリー電子版

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講習会/2011年11月号

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オープン一周年記念デモンストレーションなど‐エコール・ルヴァン・ダンタン
芳美・ランドゥメンヌ氏とロドルフ・ランドゥメンヌ氏が講師を務めた
 エコール・ルヴァン・ダンタン(東京・港区、芳美・ランドゥメンヌ社長)は9月22日、東京・港区の同校で「オープン1周年記念デモンストレーション」を開催した。
 同校の芳美・ランドゥメンヌ社長は、フランス・パリにブーランジェリー・パティスリー「Maison LANDEMAINE(メゾン・ランドゥメンヌ)」を4店舗展開しており、今年、フランスのグルメガイド「ピュドロ」のパン部門で4店舗とも賞を受けた。
 デモンストレーションでは、パリの店舗のオーナーでもある芳美氏が、手捏ねで作るハード系のパンを作った。また、夫でパン職人のロドルフ・ランドゥメンヌ氏が、フランスで日常的に食べられているタルトを作った。

手捏ねで作るハード系のパン 芳美・ランドゥメンヌ氏の話 ハード系のパンは、できるだけストレスを与えないで作るのがおいしく作るポイントだと思っているので、ミキサーよりも、手捏ねで作る方が向いているのではないかと思う。少量しか作れないが、仕込み後は冷蔵庫で最大2日間は保存しておけるので、少しずつ取り出して、その都度焼いていくことができる。レストランやパティスリー、家庭で作るのに向く。冷蔵庫での発酵は最低8時間必要で、熟成がまだ若いものはあっさりした料理と合わせ、2日間熟成させたものは酸味が濃いので肉料理などと合わせるとよい。こうして使い分けを楽しめる。



バゲット トラディショネル
バゲット トラディショネル
写真1
 手捏ねで作るバゲット。生地は最大2日間保存がきく
【配合%】
フランスパン用粉………100
水…………………………………67
足し水……………………………5
生イースト…………………0・5
塩……………………………2・2
液状天然酵母……………………20
モルト溶液………………………1
【工程】
①水に塩、生イースト、モルト溶液を入れてよく溶かす
②バットにふるったフランスパン用粉を入れ、その上に液状天然酵母を入れ、カードで切るように混ぜ合わせていく
③(2)に(1)を7割ほど入れ、カードで切るように混ぜ合わせていく。残りの3割は2回に分けて入れて混ぜ合わせる。粉っぽさの残るところに足し水をしていく(写真1)
④全体がまとまったら、常温に20分間置いてパンチする。これを3回繰り返す
⑤密閉容器に入れ、4〜5度Cの冷蔵庫で一晩寝かす
⑥冷蔵庫から取り出してゆるんできたら、350グラムに分割して丸め、10分間常温で休ませる
⑦バゲット形に成形する。成形後粉をふり、クープを入れる
⑧うねを作ったキャンバス地にのせて20〜25度Cで30〜1時間6分発酵をとる
⑨250度Cのオーブンで20分間、蒸気を入れて焼成する

芳美氏のコメント このレシピでの液状天然酵母は、発酵のためではなく味に深みをもたせるためなので、なければ入れなくてもかまわない。液状天然酵母は、季節の果物を主体におこした。継ぐときは元種を1としたら、粉を1・1〜1・2程度、少し多めに入れて酸味を抑える。塩はフランスでは2・2〜2・5が主流なので、少し多いと感じたら1・8〜2・0にしてもいい。パンチは生地の四方からカードで生地の中心部分に集めるようにしてたたんだら、生地の下方をカードですくい上げて上下を逆にして落とすという方法で行う。



ぼちゃのペーストを練りこむ色鮮やかな秋のバゲット
かぼちゃのペーストを練りこむ色鮮やかな秋のバゲット
写真2
写真3
かぼちゃの種をトッピングしてプチパンにするのもよい
 もちもちとした食感と、かぼちゃの種の歯ざわりが楽しめる
【配合%】
フランスパン用粉(タイプ65)…………………………………100
水…………………………………72
生イースト…………………0・5
塩…………………………………2
グラニュー糖……………………8
モルト溶液………………………1
かぼちゃのペースト………………30
かぼちゃの種(フードカッターで砕いておく)………………………4
【工程】
①水に、生イースト、モルト溶液を入れてよく溶かす
②かぼちゃのペーストは(1)を少し入れてゆるめておく(写真2)
③バットにふるったフランスパン用粉、塩、グラニュー糖を入れ、(2)を入れてカードで切り混ぜる。さらに(1)を入れ、混ぜ合わせていく
④8〜9割程度混ざったら、かぼちゃの種を入れて切り混ぜる
⑤常温に20分間置いてパンチする。これを3回繰り返す
⑥密閉容器に入れ、4〜5度Cの冷蔵庫で一晩寝かす
⑥冷蔵庫から取り出してすぐに250グラムに分割して丸め、5分程度常温で休ませる
⑦バゲット形に成形する。成形後粉をふり、クープを1本縦に入れる
⑧うねを作ったキャンバス地にのせて20〜25度Cで40
〜1時間6分発酵をとる(写真3)
⑨250度Cのオーブンで20分間、蒸気を入れて焼成する

芳美氏のコメント 50グラムに分割し、かぼちゃの種をトッピングしてプチパンにしてもいい。かぼちゃを配合するとゆるみやすい生地になるので、冷蔵庫から取り出したらすぐに成形する。焼成前の発酵時も、キャンバス地でうねをつくり、形を保護する。ハロウィンのときに提供するのがおすすめ。



クリームチーズのバゲット
クリームチーズのバゲット
 どっしりとした、ソフトな食感の食事パン
【配合%】
フランスパン用粉(タイプ65)…………………………………100
水…………………………………62
生イースト…………………0・6
塩……………………………2・2
液状天然酵母……………………20
モルト溶液………………………1
クリームチーズパウダー…………24
牛乳…………………………………12【工程】
ミキシング………… L10分M2分(牛乳で練っておいたクリームチーズパウダーを投入)L2分M2分
捏ね上げ温度………………24度C
フロアタイム…22
〜24度C30分パンチ
分割……………………250グラム
成形………………………バゲット形(成形後クープを入れる)
ホイロ…………………25度C30分
焼成…………………………230〜250度C20
〜40
分(スチーム注入)

芳美氏のコメント クリームチーズパウダーを油脂として意識して扱うことが重要。ミキシング時は、クリームチーズパウダーを入れる前はかなり生地がかたい状態になる。入れる前にかたくなりすぎていたら、クリームチーズパウダーが混ざりやすいように5分ほど休ませて、ゆるくする。ホイロ後は生地がやわらかく扱いにくい状態になる。そのため、クープはホイロ前の成形後すぐに、深めに入れておく。クリームチーズパウダーは保存もきき、コストダウンができる。パンに使用するほかクラムチャウダーなどに使用できる。



クエッチのタルト
クエッチのタルト
 プルーンの一種であるクエッチを使用。パリで週末に家族で食べるおやつ
【配合グラム】
フランスパン用粉(タイプ65)………………………………1715
バター………………………1060
粉糖…………………………645
アーモンドプードル…………205
塩……………………………………3
全卵……………………………22
・4
クエッチ(シロップ煮)………1缶【工程】
①クエッチはザルに開けてシロップをきっておき、4分の1の大きさにくし切りにする
②バターをビーターでポマード状になめらかにし、粉糖を入れて混ぜる
③全卵を少量ずつ入れて混ぜていく
④フランスパン用粉、アーモンドプードル、塩を一気に入れて混ぜる。全体に粉っぽさがなくなるまで混ぜる
⑤冷蔵庫に入れて一晩冷やしておく
⑥冷蔵庫から取り出し、成形がしやすいかたさになるまで手で捏ねる
⑦生地を3・5センチ厚にのばし、バター(配合外)を塗ったセルクル型にしっかりと敷き詰め(写真4)、ピケを入れる
⑧▼アーモンドクリームを(7)の半分の高さまでヘラで敷き詰め(写真5)、クエッチを並べる
⑨170度Cのオーブンで30分焼成
する
▼アーモンドクリーム
【材料グラム】
バター…………………………400
グラニュー糖…………………400
アーモンドプードル…………400
全卵……………………………400
プードル・ア・フラン……………20
【作り方】
①バターにグラニュー糖を入れて泡立て器で混ぜる
②プードル・ア・フラン、アーモンドプードルを入れて混ぜる
③全卵を数回に分けて入れて混ぜる

ロドルフ・ランドゥメンヌ氏のコメント パートシュクレの生地はやわらかくて扱いにくいので、前日に仕込んで冷蔵庫で冷やしておく。セルクル型に生地をしっかりと敷き詰めておかないと、焼成後に生地が浮いてきてしまう。セルクル型に塗ったバターは、生地が浮かないようにするための糊代わりとなる。プードル・ア・フランは、バニラの風味のあるコーンスターチのようなもので、カスタードクリーム作りに使う。

 10月8日には、ABC Cooking Studio(東京・千代田区、横井啓之代表取締役CEO)の東京・千代田区にある丸の内グランドで、一般を対象にしたデモンストレーションを行った。デモンストレーションでは、手捏ねで作るハード系のパンや、フルーツのピューレを使用するときのポイントなどを解説した。


原価計算女王
原価計算女王
パン・カシス・ミエル
パン・カシス・ミエル
 カシスの酸味をアーモンドの甘さがひきたてる
【配合%】
フランスパン用粉(タイプ65)…………………………………100
水…………………………………48
足し水………………………4
・8
生イースト…………………2
塩………………………………2・2
液状天然酵母……………20
カシスピューレ(フルティエール)………………………………………17
蜂蜜……………………………9・5
アーモンドスライス………19
【工程】
①水に塩、生イーストを入れてよく溶かす
②(1)に、蜂蜜を入れて溶かしておく
③カシスピューレに(2)を少し入れて溶かしておく
④バットにふるったフランスパン用粉を入れ、その上に液状天然酵母、(2)を回しいれ、カードで切るように混ぜ合わせていく
⑤(4)
に(3)を入れてカードで切るように混ぜる
⑥(5)の粉っぽさが残る部分に足し水をしながらまとめていく
⑦生地がまとまってきたらアーモンドスライスを数回に分けて入れ、カードで切るように混ぜる
⑧常温に20分間置いてパンチする。これを3回繰り返す
⑨密閉容器に入れ、4〜5度Cの冷蔵庫で一晩寝かす
⑩冷蔵庫から取り出してゆるんできたら、300グラムに分割して丸め、10分間常温で休ませる
⑪なまこ型に成形する
⑫うねを作ったキャンバス地において20〜25度Cで30〜40分間発酵をとる。発酵後クープを入れる
⑬250度Cのオーブンで20分間、蒸気を入れて焼成する

ブリオッシュ・アプリコット
ブリオッシュ・アプリコット
写真6
「パッケ モンテ」という紙を使った包み方。ブリオッシュやタルトなど、高さのある製品に向く
 ピューレの入ったジューシーなブリオッシュ
【配合%】
強力粉(ジェニュイン、タイプ45)…………………………………100
生イースト…………………2・5
塩…………………………………2
液状天然酵母……………5
アプリコットピューレ(フルティエール)……………………………17
グラニュー糖………………12・5
全卵…………………………………50
バター……………………………30
【工程】
①ミキサーボウルに強力粉、生イースト、塩、液状天然酵母、アプリコットピューレ、グラニュー糖を入れて低速で6分ミキシングする。途中生地がまとまってきたら少しずつ全卵を入れていく
②さらに高速で17〜20分ミキシングする。後半でバターを入れる
③生地を4〜5度Cの冷蔵庫で一晩寝かす
④冷蔵庫から取り出して50グラムに分割し、10分間常温で休ませる
⑤直径7・5センチ円形に整える
⑥20〜25度Cで10分間発酵をとる。
⑦発酵後の生地の中央にくぼみをつけ(写真6)、くぼみに▼カスタードクリームを20グラム絞り、くし切りした缶詰のアプリコットを盛り付ける
⑦250度Cのオーブンで20分間焼成する
⑧粗熱が取れたらナパージュをたっぷりとかけてミントを飾る
▼カスタードクリーム
【材料グラム】
牛乳……………………………200
全卵…………………………………50

フランスパン用粉…………………8
薄力粉………………………………10
カスタードプードル………………12
グラニュー糖………………………40
バター………………………………20

バニラビーンズ(種を取り出しておく)………………………………1本
【作り方】
①フランスパン用粉、薄力粉、カスタードプードルは合わせてふるっておく
②ボウルに全卵、グラニュー糖、(1)を入れて泡立て器で白っぽくなるまで混ぜる
③牛乳を火にかけ、水分を飛ばす。バニラビーンズのさやと種を入れる
④(3)を沸騰する直前で火を止め、(2)に数回にわけて入れて混ぜる
⑤(4)を濾して鍋に戻して火にかけ、ふつふつとしてとろみが出たらバターを熱いうちに入れて混ぜ、仕上げにホイッパーで混ぜてなめらかにする。すぐにバットに流しラップをかける

果実のピューレを練りこんだパン作り 芳美・ランドゥメンヌ氏の話 フルーツは甘いものですよね。カシスに関しても、「酸味があるけど、甘い」というのが多くの方が抱いているイメージだと思います。お客様がカシス入りのパンを買ったときに期待する味も、酸味と甘さの両方なんだと思います。でも、カシスピューレそのものはかなり酸味が強く、甘
さはほとんど感じないんです。そこで、期待される味とのギャップを解消するために、蜂蜜とアーモンドスライスを入れました。蜂蜜は10%弱しか入っていませんが、多めに配合したアーモンドスライスの甘さと合わさって、噛んだときに優しい甘味のあるパンに仕上げることができます。「酸味と甘みのあるカシス」のイメージ通りのパンになるのです。
 ブリオッシュ生地には、今回アプリコットピューレを使用しましたが、マンゴーピューレでも試作しました。結果的にマンゴーピューレは不向きでした。マンゴー自体の香りがそれほど強くないので、ブリオッシュ生地の風味に負けてしまったんです。フルーツのピューレを生地に練りこむときは、フルーツの香りや甘さ、酸味を生かせなければいけません。甘さや酸味はそのほかの材料で調節できるので、フルーツピューレを選ぶときは、フルーツ自体が持つ香りの強さを意識した方がいいと思います。
 手捏ねで作るときは、カードを使って、切り混ぜるように生地をまとめていきます。常にイメージしているのは、「さくさくとした感じ」です。ねちょっとした食感にならないように、粘りを出さないように捏ねていきます。捏ね方も大事ですが配合に関しても、さくさくとした食感を意識して考えます。「パン・カシス・ミエル」に入れたアーモンドスライスは、甘味のためだけではなく、歯切れの良さも与えてくれます。落ち葉がかさかさと壊れるような感覚を思い浮かべました。また、断面はカシスの紫色とアーモンドの色がまだらになっています。五感を使って楽しめるパンです。ハード系パンは、食事と一緒に食べるので、食欲を増す役割があることも考慮しなくてはなりません。ねちょっとしていると、途中で飽きがきてしまうこともあるでしょう。少しの酸味があって、さくさくとした食感があるから、飽きずに食べ切れると思います。


2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

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