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| インタビュー/2011年10月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 小さなパン店で培った勝利のノウハウが開花‐小川佳興社長に聞く 石窯パン工房サフラン柏の葉店・千葉県流山市青田93-1、電話04-7156-7101 | |
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千葉県内に、郊外大型ベーカリーなどを多数展開し、ベーカリーの繁盛の技を数限りなく培ってきた石窯パン工房サフランの小川佳興社長は、意外にも従業員数人の小規模ベーカリーのオーナー時代が長かったという。「店が大きかろうが小さかろうが関係ない。とっちゃんかっちゃんの店には、とっちゃんかっちゃんの店の勝ち方がある」と小川社長はいう。大型繁盛店7店舗を擁し、年商15億円近くを売り上げるサフランの現在の隆盛は、自らが置かれた状況での勝ち方をひたすら探し続け、それを着実に実践してきた結果でしかないのだ。
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| 小さな店には小さな店の勝ち方 | |
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―――大型ベーカリーをいくつも展開して、いずれも繁盛店に育て上げて、ご活躍ですね。
小川 私も最初は小さな店からのスタートで、売れない時期が続きましたよ。嫁さんと2人だけの時期も結構ありましたからね。千葉県松戸市に15坪の店を出してから2号店を出すまでに15年かかっていますから。 ―――小川社長が、小規模のベーカリーのオーナーなんて、想像がつかないですね。 小川 小規模の個人店だからやれることをやらなくちゃしょうがないでしょ。とっちゃんかっちゃんでやっていたら、人件費はただじゃないですか。そしたら、原材料費50%だってかけられますよ。私はとっちゃんかっちゃんのパン屋が一番勝つと思いますよ。自分の家でやっていたら家賃も要らないし。勝ち方はいろいろあるんですよ。 私も関西から出てきて、店を出したのですが、スランプだった時期もありました。関西の弟子が一緒に働きたいと言って東京に出てきても、売上がないので、「済まんけどもう少し待ってや」と言うしかありませんでした。嫁さんと2人きりになったとき、「もうええか」と腹をくくったんです。そして「あんこなんか思い切り入れたろ」ということになって、薄皮あんぱんが生まれました。半分やけくそでした。でも、そうしたら、どんどん売れ出したんです。もう、土日が来るたびに5万円ずつ売上が上がっていきました。やっぱり腹をくくったときですよ。私も、15坪の店を2000万で作って、最初はびびったわけですよ。借金を返さなくてはならない、給料も払わなくてはいけないと思ったときに、せこいことを考えてしまうんですね。あんこを入れすぎだとか、カレーを入れすぎだとか、そんなことばっかり気にしてしまうんです。でも、そんなことを考えていても何も生まれないと悟ったときに、すべてが劇的に変わったんですね。そうしたら、お客さんの後姿を見ると、そのお客さんの買いたいパンがわかりましたよ。「お客さん、今まだ窯の中にあるんですよ。あと5分で焼き上がりますよ」と声を掛けられましたよ。今は店が大きくなりましたが、その頃の気持ちは忘れてはならないと、常に自分に言い聞かせています。 ―――その頃に得た小川流勝ち方のノウハウは具体的にいうとどういうものですか? 小川 やっぱり、材料費でしょ。原価率なんて高くてもいいんですよ。40%でパンを作って売っていたら人件費は下がりますよ。経費にはいろいろあるわけで、原料費だけじゃないわけです。原価率が高ければ、お客さんがいっぱい来るので、人件費は下がるんですよ、本当に。1時間で10個しか売れない場合と、20個売れる場合とを比べると、10個作るのも20個作るのも手間がそれほど変わらないとしたら、20個売れる場合の方が当然人件費は安くなるわけですよ。だから、原価率は高くても利益は取れるんです。薄利多売じゃなくて、そのまま儲かるんですよ。私は、原価率40%のパン屋を作りたいといつも思っていますよ。 |


| 上に立ったときに真価が問われる | |||||||
小川 店長の思いが、従業員にまで伝わっていないといけないのですが、そのときに、店長は従業員に期待をしすぎてしまう傾向があります。私は、例えばパートさんだったら、自分の思いの深さの10分の1でも持ってもらえれば、十分だと言っているんです。それ以上にしたかったら、店長自身の思いをさらに深くしろ、ということでしょ。「10分の1」は変わらなくても、店長の思いが2倍になれば、パートさんの思いも2倍になるわけですから。 あと、店長のはまりやすい落とし穴は、少し成績が上がってくると、天狗になってしまって、「さらに上へ行こう」という貪欲さがなくなってしまうということですね。私に言わせたら、もともと売れている店で、5%、10%伸ばしたからといって、なんぼのもんだ、ということなんです。それで満足して、向上心を失ってしまったら、店長失格ですよ。はじめから横綱のま わしをつけてもらって、その勢いで少しぐらい売上を伸ばしたからといって、いい気になるな、ということですね。うちは店長降格ということもありますよ。 一生懸命やったから店長になったんですが、上に立ったことで全部だめにしてしまう人もいるんですよ。 上に立ったと思ってしまったらあとは落ちるしかないということでしょ。人間は死ぬまで追求していかなくてはならないということを忘れたらいけません。才能があって、割と簡単に上に立った人間の方がそうなりやすいですね。だから器用がいいのか、不器用がいいのかわかりませんよね。 | |||||||
| 失敗を経験させながら部下を育てる | |||||||
小川 結果を気にしないことです。部下に失敗させてやれるだけの懐の深さを持つということです。結果がいいか悪いかなんていうのはどっちでもいいんです。結果は、やってみなければ出ないんですから、とにかくやってみなさいということです。新米が「こんなパンどうですか?」と出してきたときに、「こんなのは10年前にやって売れなかったよ」といって、若い人の芽を摘んでしまったらもう終わりなんですよ。商品化しないでだめだというより、実際に商品化してみてだめだとわかる方が、出した本人にとってもためになるじゃないですか。人ってやっぱり失敗を経験しないと伸びないものですから。上の者は「ここはこうしたらどうか」とか「ポップはこうしたらどうか」とか、いろいろとアドバイスをして、売れるように一緒に持っていけばいいわけです。 でも、店長だって人間ですから、自分がアドバイスして売れると、自分の手柄にしてしまうんですよ。そこはその新米の手柄にしてやらなくてはだめですね。「自分で考えたパンが売れるんだ」という喜びを味わわせてやらなかったらだめですよ。「一生懸命やれ。ちゃんとしろ」と言ったところで、命令されてやらされる仕事と、自分から進んでやる仕事には大きな違いがあると思います。従業員の前向きな気持ちがパンに現れたときはもう勝ちですね。 ―――まだ暑い日が続いていますが、店は繁盛しているみたいですね。 小川 冬は朝早くから夜遅くまで忙しいので、夏の暇な時期は、早く終わってゆっくりするというのも一理ありますが、夏の暑い時期は、人が動くのは朝と夕方ですから、夕方工場に人がいないというのはまずいですね。夕方涼しくなったらちょっと買い物に行こうかということになるので、2人か3人は工場に残って、夕方のお客さんのためにパンを焼きなさい、と言っているんです。天板1枚でも2枚でもしっかり追っかけなさい、ということですね。そうこうしているうちに、うちの店では、夕方5時から「夕焼けパン」という昇りが立つようになりましたよ。(小川社長のインタビュー記事は、次号にも掲載します) | |||||||
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