特集■セルフ販売VS対面販売■ / 豊富な品揃えから自由に選べる楽しみを提供する‐パンステージプロローグ【セルフ販売】 - ブランスリー電子版

2026年10月21日に公表されたPHPの脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)については、いずれも対策を完了しています。

ブランスリーアーカイブ(創刊号からの全記事)
記事の閲覧
<<戻る写真をクリックすると拡大写真が見られます。
特集/2011年10月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


特集■セルフ販売VS対面販売■

豊富な品揃えから自由に選べる楽しみを提供する‐パンステージプロローグ【セルフ販売】
取材時は3台のレジで5〜6人のスタッフが対応していた。レジ打ちや袋詰め以外にも、トレイを拭くなどして、常に手を休めることがなかった
商品はカテゴリーごとに陳列されており、じっくりと見比べながら選ぶことができる
パンステージプロローグの山本敬三社長
自由に見てまわれる、選ぶ楽しみが溢れる空間
 種類がたくさんあって楽しいね、100とか200種類以上あるって聞いてただけあるよね」
 こう話していたのは、神奈川県横浜市青葉区の住宅街にある「パンステージプロローグ」で買い物を終えた主婦2人。
 同店はオープンして12年が経とうとしている。オープン当初は120品目だったが、現在は280品目、週末となると300品目ものパンが並ぶ。
 同店をはじめ合計3店のベーカリーを経営する山本敬三社長は、「お客さんの要望に応えていくと、どんどん増えていってしまうんです」と話す。店側の都合ではなく、客の要望に応えることが第一だと強調する。
 約300品目という品揃えの多さに対して、売り場13坪というスペースは少し小さいように思われる。しかし、陳列の仕方がカテゴリーごとに整然とされており、好きなパンを見落としたり、目当てのパンを探し回ったりすることもない。豊富に揃う中から、選ぶ楽しみが満喫できる空間となっている。
 山本社長は、自身が買い物する際、店員に、商品を勧められたり、売り場を見て歩くときに付き添われたりするのが苦手なのだという。「パンに限らず買い物するときは、好きにまわって、自分のペースでじっくり見るのが好きなんです。お客様にも、好きなパンを自由に選んでもらって、ときには目移りしたりして、楽しんでもらいたいと思っています」
 週末になると、レジを打つ数は1000件を超える。1人で来店する人は少なく、客のほとんどが家族を連れて2〜3人で来店するというので、実際の客数はそれ以上だ。選ぶ楽しみが溢れる空間だからこそ、家族が皆で、訪れたくなるのだろう。
 品目数の多さには、「子どもからお年寄りまで、来てくれたお客様すべての期待に応えたい」という山本社長の思いが込められているのだ。
 自分のペースで自由に選べることのほかに、セルフ販売をする理由はもう一つある。
 「新しくオープンした当初は、新品の機械では安定した焼き色が出せないのと同じで、スタッフは育っておらずお客様に充分な応対ができない状況です。スタッフに関しては、営業していく中で育てていこうと決めていましたから、対面販売は考えていませんでした。対面販売では、対応するスタッフの力量がかなり試されます。スタッフの対応が、お客様がその商品を買うか買わないかというところまで直接影響してきますから」

陳列専門のスタッフが、商品をしっかり管理
 接客に関しては、スタッフから話しかけることがないので、客からリクエストされたり、「焼きたてのパンはどれですか」と聞かれたときにスムーズな対応ができることが重要だという。
 「陳列専門のスタッフが1人います。そのため、焼きたてがどれかを聞かれてもすぐに答えられますし、リクエストがあったときにはすぐにオーダーできるようにしています。また、子どもがパンを素手で触ってしまうなどの事故もチェックすることができます」
 300品目もの商品を扱いながら、1つひとつの客の要望に対応していくその積み重ねが、店と客の信頼関係を築くのだ。
 事実、「1000円でサンドイッチの詰め合わせを作ってください」という要望に応えたのち、その客からかなりの大口注文が入ったとこともあったという。
 山本社長には、「店は劇場でスタッフは役者」という考えがある。
 「スタッフは常に動いていないといけないと思っています。店に活気をもたらしたり、店の雰囲気をつくるのはスタッフです。すなわち、お客様は人を買いに来てくれるのだと思っています」
 現在総勢40人のスタッフがシフトを組んでいる。それぞれが、1日1度はその場にいるスタッフと握手を交わす。
 「お客様が気軽にリクエストをしてくれたり、話しかけやすい環境にするためには、スタッフの職場環境が充実していなければなりません。スタッフ同士でぶつかっても、明日に引きずらず、必ず解決してから帰宅することは大事です」
 「役者」であるスタッフたちの舞台裏が充実しているからこそ、「劇場」である店内は、楽しみながらパンを選べる空間となるのだろう。

ShopData
店名 パンステージプロローグ
住所 神奈川県横浜市青葉区美しが丘西1‐3‐10
電話 045‐902‐7879
営業時間 午前6時から午後8時
定休日 なし
品目数 平日は280品目、土・日曜は300品目
スタッフ 常時製造6〜8人、販売7〜12人
店舗面積 厨房13坪、売り場13坪
日商 平日60万円、土・日120万円




店員の笑顔が親しみやすい空気感を作り出す‐ベッカライ徳多朗【対面販売】
客同士が順番を把握できるように、店側がリードして客一人ひとりを並び位置へ誘導する
ショーケースの奥でにっこりと出迎える販売担当の岩瀬さん
ベッカライ徳多朗の店舗外観。9月中旬に、現在の場所から2キロほど離れた場所へ移転するため、この店舗は8月いっぱいの営業
奥列中央が徳永淳社長。販売は女性スタッフが担当する
入店時の空気感をつくる
 神奈川県横浜市の東急田園都市線たまプラーザ駅の南口から徒歩6分ほど歩いた場所にあるベッカライ徳多朗。北口方面には、同店の味が楽しめるカフェ「アーリーバードカフェ」があり、ベーグルを使ったランチやピザなどが人気だ。同カフェの厨房にも、ミキサーやオーブンなどがあり、ここで扱うパンの全てを仕込みから作り、焼きたてを提供している。
 「これからカフェに行ってランチを食べるのが楽しみなんです」
 ベッカライ徳多朗に入店して早々、こう話したのは、同店の評判を聞きつけて大阪からやってきたという60代の女性2人。しかしこの日、カフェは臨時休業だ。スタッフがその事を告げると、店内にある小さなベンチを指差し、「ここで食べてもいいですか」と聞き、今購入したばかりのパンをほうばり始めた。店内は4〜5人ほど入ったら一杯になるほどのこぢんまりとしたスペースだが、食べ終えた後もリラックスした様子でベンチに佇んでいた。
 ベッカライ徳多朗は創業して21年。同店の徳永淳社長は「開店当初赤ちゃんだったお客様が、成人した今もいらっしゃいます。そういった方には自然と笑みがこぼれますよね。つい長々と話してしまうこともあります」と話す。客の9割がリピーター。開店当初から20年以上通い続ける客が多い。
 しかし、そのことによる問題点もある。「常連のお客様と店員のやり取りが、初めてのお客様に疎外感を与えてしまわないかということです。そのため、入店後は挨拶だけでなく、『順番にお取りしますね』などと、お客様の雰囲気や表情を把握しながら声をかけます」 
 入り口の扉を開けると、正面にショーケースがあり、その奥でスタッフが出迎える。
 「やはり欠かせないのは、店員のにっこりとした笑顔です。お客様から逆に話しかけてもらえるように、店に一歩入ったときの、空気感のようなものを大切にしています」
 大阪から来た女性2人も、その空気感の良さを感じとり、リラックスして滞在していたのだろう。

店員の動きが店の好感度を高める
 ベッカライ徳多朗は創業から対面方式で販売している。徳永さんは、創業前から大きな店はセルフ、小さな店は対面とのイメージを持っていたという。また、創業準備中に何度も訪ねたベッカライ・ブロートハイム(東京・世田谷区)で、対面販売の良さを実感した。
 「販売の方が親切だったので、感じの良い店だと思いました。また、売り場の適度な狭さで、店と客の距離感を縮められると思いました。対面販売だと、パンを買うというだけで、会話をしたりコミュニケーションが生まれます」
 「店員の感じの良さは、応対がテキパキしていることからも伝わります。それはお客様に対するものだけではなくて、店員同士のやり取りもそうです。ですから、店員同士、仲が良いこと、助け合うことが大事だと思います」
 販売担当の岩瀬葉子さんは「自分の行動はすべて声に出すようにしています」と言う。テキパキとした行動が取れるからだ。
 「『イギリスパンをお取りしますね』など、お客様に対してだけでなく、『後ろ通ります』『袋出します』など、店員同士でも声を掛け合って互いの動きが読めるようにします。狭い店内なので、こうして動線を確保するんです」
 声掛けでもう一つ意識していることは、焼きたてのパンをアナウンスすること。
 「ショーケースに入っていると、熱が伝わりませんから、どれが焼きたてなのか、お客様からは分かりにくいですよね」
 販売を担当するスタッフは、常時2人、混雑時は3〜4人。1人の客に対して1人のスタッフが、注文受けから袋詰めまでの一連の作業を行う。
 こうすることで、特に混雑時のトラブルを回避できる。よくあるトラブルとは、残数がわずかな商品について、注文分を用意できなくなってしまうことだ。さらに大事なのは注文を受ける順番。同店では、原則として、入店した順番に受けるようにしている。順番に関しては、客自身が自分の順番を意識していることも大事だという。
 「店内は列を作るほどのスペースはないですが、混雑時はお客様の待ち位置をご案内します。レジから一番遠い側に並んでいただくように、手を上げて場所を示します」(岩瀬さん)
 客同士が順番を争うことのないよう、店側がリードして整理する。

新店ではセルフと対面を使い分ける
 手狭になったことを主な理由として、ベッカライ徳多朗は、9月14日、取材時に訪れた旧店舗から2キロ離れた場所に移転オープンした。移転後は対面販売を基本とし、アイテムによってはセルフ販売も取り入れるという。
 「ショーケースの中に整然とパンが入っていると、清潔感がありますし、店側が常に管理できるので、きれいな陳列状態を保てます。でも一方で、夕方になると乾燥を防ぐために袋に入れて、お客様が自分で取れるように陳列するのですが、その方が、よく売れるようになるんです」(徳永さん)
 こうした経験からも、対面販売とセルフ販売のそれぞれの良さを生かし、使い分けていく。
 「対面販売のデメリットは待ち時間であるのに対して、セルフ販売は急いでいる人とそうでない人のそれぞれが、自分のペースで買い物ができるという点で合理的だと思います」(徳永さん)
 さらにセルフ販売のメリットについて「特に初来店のお客様は、『このパンはどのくらい重いのか』『どのくらいやわらかいのか』などと、手に取ってみたいと思うのではないでしょうか。意外にずっしりしていたり、手にして初めてわかりますよね。自分がよくそう思うんです」
 徳永さんは、時間があると県内や都内などのベーカリーを訪ねるのが好きだという。
 客側の立場で、セルフと対面の良さを体感し、アイテムごとの最適な販売の仕方を研究している。

ShopData
店名 ベッカライ徳多朗
住所 神奈川県横浜市青葉区元石川町6300‐7
電話番号 045‐902‐8511
営業時間 午前7時から午後6時
定休日 水曜
品目数 40品目以上
スタッフ 製造4人、販売2〜3人
店舗面積 厨房18坪、売り場6坪
日商 平日30万円、土曜日50万円

ベッカライ徳多朗は、9月14日に移転リニューアルオープンしました。ShopDataの店名から定休日までは、新店舗のデータで、品目数から日商までは、旧店舗のデータです。





原価計算女王
原価計算女王

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

今月の公開記事

  1. POLINの高性能オーブンを日本市場へ 。450℃の焼成力と緻密なヒーター制御 - スズキ産業の下河拓磨社長
  2. 見やすい売り場と旬の味で、地域が誇れるベーカリーへ - アリマベーカリー
  3. 「ちいかわ」の世界観を表現したパンと店づくり - ちいかわベーカリー
  4. 掲載から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文を公開しています。
    ブランスリーアーカイブ
ブラ立ち読み
(記事の無料メール配信)
詳細はこちら