「焼きたて」の声が常に響く店内‐プルクワ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2011年10月号

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「焼きたて」の声が常に響く店内‐プルクワ
焼きたてのパンを求める客で混雑する店内
焼きたてのパンは次々と小出しされていく
種類ごとに1列ずつ、所狭しと陳列されている
 神奈川県藤沢市のベーカリー「プルクワ」の店内に入ると、「いらっしゃいませ」の挨拶に続いて「焼きたてです」との声が聞こえてきた。
 スタッフが手にするトレイには「イングリッシュマフィン」(74円)が2つ。続いて3分も経たないうちに、「揚げたてです」との声が聞こえ、「カレーパン」(189円)が4つ棚に並んだ。その後も焼きたての商品が運ばれてきたが、いずれも2〜5個ずつほどと、少数ずつだった。
 広さ6坪の売り場に並ぶパンは約70品目。4段の陳列棚は、各段ともパン1種類が縦1列に隙間なく並べられた状態で、種類ごとの数は少なく、色々なパンが選り取り見取りに、ぎっしりと並んでいるといった印象だ。そして、その多くが焼きたてだ。
 「昼の11時半から1時過ぎくらいまでは、外のテラス席などですぐに召し上がる方が多いので、焼きたてを次々とお出ししています。お客様の好みはそれぞれなので、焼きたてのパンに関しては、1種類を多くというより、種類を増やすようにしています」(販売担当の中島友里さん)
 同店の社長でシェフの神田淳さんは「焼きたてであることを声に出すか出さないかで、売上げが変わるということを、よくスタッフに言っています」と話す。
 焼きたてのパンを小出しにする効果は、店内の活気を維持することに繋がる。商品の並びに変化が絶えず、「焼きたてです」という声が常に聞こえてくるような状態となる。
 「焼きたてと言うこともそうですが、店員が元気な声を出していると気持ちがいいですよね。コンビニの例が分かりやすいと思いますが、同じチェーン店でも、店舗ごとに雰囲気が違います。いい店だと思うところは、店員の声が明るいところだと思うんです。声が元気なだけで、やる気まで伝わってきます」(神田さん)



おいしく食べられる状態にするまでがパン作り
製造担当の藤田麻依さん(左)、社長でシェフの神田淳さん(中央)、販売担当の神田晴美さん(右)。神田シェフは、木村屋總本店から暖簾分けした「ドーメル」(東京・台東区)などで修行した。「ドーメル」は100年以上続く老舗だったが、昨年閉店
半焼きの状態で店頭に並ぶドッグは、「ゆず胡椒ドッグ」(283円)、「チリドッグ」(336円)、「ホットドッグ」(283円)の3種類。写真手前は「ゆず胡椒ドッグ」
「ジャンボメンチ」(336円、写真左)と「コロッケサンド」(283円、写真右)は、サーフィンが趣味の神田シェフが、サーフィンの後に利用する食堂で見つけた大きなカツをヒントに開発した。横幅が20センチほどのジャンボサイズで、固定ファンはテニス帰りの年配客など
石窯では、ピッツァのほかに、ドッグとベーグルを焼成する。ベーグルは全粒粉を2割配合し、ルヴァンを入れている。もっちりとした食感が特徴で人気の品
 カレーパンは平日なら4個ずつ、1日5〜6回に分けて揚げる。ピザ生地でハムやチーズなどの具材を包んで揚げた「カルツォーネ」(210円)も、平日の昼時は2種類を2個ずつ、小出しにしていく。
 サンドイッチも作りたてにこだわる。「レトロバゲット」(315円)を使用した「ハムとグリュイエールチーズ カスクルート」(348円)も昼時に2個、出来たてを並べる。作り置きをせず、需要のある昼時にサンドすることで、パンと具材がどちらもいい状態で味わえるのだ。
 さらに同店が、パンを最良の状態で味わってもらうために行っているサービスが、リベイク。ほとんどの商品は、要望があればオーブンで温めて提供する。
 要望の有無に限らず、購入後必ず温めるという商品は、石窯で焼いたバンズを使用したドッグ(283円など)。温めなければいけない理由は、陳列している時点では、バンズが半焼きの状態であるからだ。購入後、石窯で温めることで初めて、仕上がる仕組みとなっている。リベイクではなく、客が購入するごとにその都度焼き上げていくという贅沢なサービスだ。
 このサービスの手順はこうだ。バンズは半焼きの状態で冷凍しておき、サンドする時間に合わせて解凍する。解凍したら切り込みを入れて具材をサンドし、「出来たてです」と言って店頭に並べる。購入後、石窯で仕上げの焼成をする。このとき、具材がサンドしたてであることも重要だ。具材の野菜などの水分がバンズに移って、食感や風味が損なわないようにするためだ。
 石窯で温めて提供するまでに要する時間は3〜5分間ほど。昼時の混雑時でも、無理なく対応できる範囲だ。「高
温かつ短時間で焼くことができる石窯の良さを生かしたサービスです。急いでいるというお客様でも、大体の方が温めて行かれます」(神田さん)



ランチタイムの演出がパンを一層おいしくする
店前のイートインスペースでは、親子連れが焼きたてのパンを楽しんでいた
石窯で焼いたピッツァは、「シーフード」や「なすとジャガイモのボロネーゼ」など4種類が揃い、価格は6分の1カットで210円。焼きたての状態でなければ、石窯でリベイクして提供する
ピッツァ生地で具材を包んで揚げた「カルツォーネ」(210円)。200度Cの高温の油で、短時間揚げるため、生地の吸油が少ない。あっさりと食べられる
 焼きたてパンの存在のほかに、同店に活気を与えているのは、店前にあるイートインスペースだ。コーヒー、水、アイスティーの無料サービスもある。
 取材時は近隣の幼稚園に通う子ども連れで賑わっていた。子どもたちがおいしそうに食べる姿に食欲が掻き立てられる。
 さらに、昼時の賑わいに拍車をかけているのが、石窯で焼き上げるピッツァ。「シーフード」(210円)をはじめ、昼時は4種類ほど揃う。「近くにある公園で食べようと思って来店されたお客様でも、焼きたてのピッツァを購入されると、その場で召し上がって行かれることが多いですね」(中島さん)。こうした活気のある店内は、まるでオフィス街にある食堂のランチタイムを彷彿とさせる。
 「プルクワ」は5年前、東京・港区虎ノ門のオフィス街から、湘南の海にほど近い現在の場所に移転してきた。虎ノ門ではランチの需要が最も多く、昼の11時半から1時過ぎまでは2、3分置きに焼きたてを出していたという。
 「パニーニが一番の売れ筋で1日約130食は出していました。オフィス街なので、売れるのは昼の11時半から1時過ぎのランチタイムの時間と限られています。レジは2台で、5人のスタッフが販売を担当していました。パニーニは、半焼き後冷凍しておいたチャバタ生地で作ります。解凍したチャバタ生地に、生ハムや、バジルペーストであえたチキンなどの具材をサンドして、オーブンで焼きます。ランチタイムは焼いた先から売れていくので、どのお客様にも、焼きたての状態で味わっていただけるのが嬉しかったですね」(神田シェフ)
 「チーズ入りのクッペは、焼きたての状態で半分にカットして、それをトレイに山盛りにのせて陳列しました。そうすると湯気がもくもくと出るので、焼きたてだとアピールできますし、店内が盛り上がります」(神田シェフ)
 現在の場所は住宅街の中にあるため、客の入りはこれほど集中しない。しかし、虎ノ門にあった当時と共通しているのは、昼時に訪れたくなる演出がされているということだ。店内を活気付けることは、焼きたてのパンに一層の磨きをかけることなのだろう。

SHOP DATA
店名 プルクワ
住所 神奈川県藤沢市辻堂元町4‐17‐11
電話 0466‐33‐3676
営業時間 午前8時〜午後6時
定休日 月曜日、ほか月2回の不定休有り
品揃え 平日70品目、土日80品目
店舗面積 売り場約6坪 厨房約13坪
スタッフ 製造常時3人、販売は平日1人、土日2人
日商 平日10万円、土日20万円





原価計算女王
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