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| 特集/2011年8月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 原材料高騰時代のベーカリーの価格戦略
大手製パンメーカーが7月から一斉にパンの価格を値上げした。政府の輸入小麦売渡価格が4月に値上げされて、小麦粉の価格が上昇したことが理由のひとつだ。砂糖や油脂、卵など小麦粉以外の原材料も上昇傾向にあり、ベーカリーの悩みの種になっている。新興国の需要増などにより、農産物や畜産物の需給バランスが世界的規模で変化している時代の価格戦略について、ベーカリーを取材した。
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| 「値上げしないの?」と顧客から聞かれる‐パン ド ナノッシュ | |
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神奈川県茅ヶ崎市のベーカリー、パン ド ナノッシュは、カナダ産と国産の小麦を使って約150品目のパンを焼き上げている。
オーナーの関谷勝美さんは、「今年の秋にもまた、小麦が値上げされるのではないかということを耳にしました。当店のパンの価格はそのときに値上げする予定なので、夏の間は据え置きです」と言う。 「3年前にもかなり小麦が値上げされて、そのときは食パンやロールパン以外の製品に関して、10%ほど値上げをしました。ちょうど店のリニューアルと重なったので、タイミングとしては上げやすかったです」 今年の秋に予定している値上げのときにには、3年前に据え置いた食パンやロールパンに関しても、他の商品とともに10円ほど値上げする。ほとんどの商品を一律5〜10%、値上げする予定だ。 顧客に対しては、値上げを開始する日の1カ月前から告知していくという。 「大手製パンメーカーの製品の値上げが報道されている影響もあって、お客様からは逆に『値上げしないんですか』と聞かれます。それと同時に『値上げしてもいいから、質を落とさずおいしいものを作ってね』とおっしゃってくれます」 「問屋さんも、ぎりぎりまで価格を据え置いて下さっているようなので、使う材料を変えたり、仕入先を変えるつもりもありません」 客と店、店と問屋それぞれの協力体制のもと、価格の改定がなされているようだ。 「包材は、2年前もかなり値上げされたのですが、そのときにあまり使わないものを整理しました。使わない紙パックなどは、何千個と在庫を抱えることになります。代用できるものや、使わなくて済むものなどを整理していくことで、より簡易な包装を目指しました」 パン ド ナノッシュ 住所 神奈川県茅ヶ崎市共恵1-3-14-101 電話 0467−86−8757 営業時間 平日 午前8時〜午後7時、土日祭 午前7時〜午後6時 定休日 なし 品目数 約150品目 スタッフ 製造4〜5人、販売2〜3人 店舗面積 厨房13坪、販売スペース8坪 日商 22万円 |

| 構造変化を見据えた中長期的な戦略が不可欠に 原材料高騰を反映して7月から一斉に値上げ‐大手の対応 | |
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原材料高騰を反映して7月から一斉に値上げ‐大手の対応
7月1日から製パン大手各社が一斉に値上げを実施した。山崎製パンは、食パン類について平均で約6%、菓子パン類については平均で約2%の値上げ。敷島製パンは約160品目について、平均で約7%の値上げを実施。フジパンも食パン、菓子パンなど数十品目について、約6%の値上げを実施している。第一屋製パンは食パン、ロールパン、菓子パンなどについて、平均で約7%の値上げを行った。 小麦の国際価格は、異常気象による生産量の減少や、新興国の急激な需要増、さらに、農産物市場への投機マネーの流入などにより、昨年から上昇基調が続いている。 小麦は、政府が一元的に輸入を行っているが、4月と10月の年2回、国際相場と連動する形で、政府売渡価格が改定される仕組みになっている。この制度が始まった2007からの政府売渡価格の推移を示したのが「グラフ1」だ。2008年10月に7万6030円と高値のピークに達したあとは、下降に転じ、2010年は、2007年4月の水準を下回っている。しかし、今年の4月には、再び大きな上昇となった。 ある製粉会社の担当者は「価格が改定になるたびに、ユーザーへの説明など煩雑な作業を強いられる」といい、製パン大手のマーケティング担当者は、「企業努力で原料高騰をなんとか吸収しようと必死で頑張っているが、それにも限界がある。値上げの報道ばかり多くて、値下げの時はあまり報道されないので、値上げばかりしている、と誤解している人も多いのではないか」と頭を悩ませている。 いずれにしても、農産物需給のグローバルな構造変化を見据えた上での中長期的なマーケティングが不可欠な時代に突入したことは間違いないようだ。 価格の維持より品質の維持を‐消費者の声 プランスリー報道社は、7月1日から9日まで、パンの値上げについてのアンケート調査を行った。ブランスリー報道社が運営するパンと菓子のオンラインショッピングモールの「パン菓子・COM」の懸賞企画として実施。273人から有効回答を得た。(詳細は21〜25ページ参照) その中で、大手製パンメーカーの値上げについてと、焼きたてを売りにするベーカリーの値上げについての意見を聞いた。 「今回の大手パンメーカーのパンの値上げについてどう思いますか? ご意見をお聞かせください」との質問に対して、愛媛県の43歳の女性は、「以前原油の値段が上がった時にパンが値上がりして、その時にそれまで買っていたものよりも安いものを買うようになりました。そして今はさらにそれを特売の時にだけ買っています。だから値上げをしたといっても気づいていませんでした。でも本当に影響が出てくるのはこれからだろうと思います。とても不安です。これ以上となるとパンを買うこと自体を考えなくては、と思います」と答えた。 また、埼玉県の19歳の女性は「値上げするのは嬉しくはないが、原材料の質を落として価格を維持するよりも、パンのの味を維持することを優先してほしいです」と答えた。 一方、「焼きたてベーカリーが値上げするとしたらどうですか? ご意見をお聞かせください」との問いに対して、東京都の39歳女性は、「パン屋さんのパンを大手パンメーカーより割高でも選ぶということは、価格ではなく、味・安心に重点をおいているということです。美味しければ値上げしてもパンは買います」と答え、千葉県の42歳女性は「焼きたてベーカリーはバターもしっかり使ってくれているし、ちょっと値段が高めだけれど値上げしても美味しいから食べたいときは買いますよ。あまり大きな値上げだとちょっと買うのを控えるかもしれませんが5パーセント程度だったら問題ないですよ」との回答を寄せた。 また、埼玉県の24歳女性は「仕方がないと思います。個人的には大手メーカーさんよりもベーカリーさんの値上げの方が許せます。それだけお金を出す価値のある美味しいパンだと思いますし。少々値上げしたところでお客様が減るという事はなさそうな気がします」と答えた。 さらに、北海道の41歳の女性は、「小幅な値上げなら許容範囲ではありますが、大幅な値上げになると、パン屋さんから足が遠のくことが懸念されます。そうならないためにも、安定した原材料の供給を願いたいです」と回答した。 |

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