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| 特集/2011年5月号 |
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| 商品開発の極意 | |
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ベーカリーにとって、商品開発力は、店の魅力を高めるために必要不可欠なものだ。商品開発力が店の成功を継続させる鍵といってもいい。今回は、リテールベーカリーを全国展開するポンパドウル(三藤達男社長)と、神奈川県内に複数の郊外大型リテールベーカリーを展開するもあ(松島昌彦社長)、東京・大田区の小規模リテールベーカリーのヒンメル(金長暢之オーナー)の3店に、「商品開発の極意」について取材した。
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| 消費者の声を反映しながら、消費者を啓蒙していく‐ポンパドウル | |
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毎月新商品を3〜4品目出し続ける
横浜市中区の元町ショッピングストリートに本店を構えるベーカリー「ポンパドウル」は、1969年に創業。東京と神奈川を中心に展開をすすめ、現在、北は岩手県、南は鹿児島県まで約80店舗を構える全国区のベーカリーだ。 「新商品の発売は、パンの日に合わせた毎月12日に全国で一斉に開始します。惣菜系から菓子パン系までのバランスを考えた3〜4品です」と話すのは、同社製品開発課課長の渡邉睦さん。同課には現在6人が所属している。 渡邉さんは製造部門を経て開発部門に入り、約25年間、商品開発を手掛けてきた。同社の商品開発を行うだけでなく、材料メーカー主催の製パン講習会の講師を務めることもある。 各店舗に並ぶ商品はだいたい、120〜150品目。そのうちの約30品目は全国の店舗で共通の定番商品を揃える。それ以外については、同社がストックしている2000を超えるレシピの中から、各店舗で決定する。 毎月3〜4品発売し続ける新商品は、全国の店舗で同じ品質、同じ味で提供しなければならない。毎回の技術の習得はいつ行うのだろうか。 「以前は店舗が休みの日に勉強会を行っていたのですが、今は多くの店舗が無休で営業しています。そのため、勉強会は営業時間内に行うようになりました」 通常通りの営業ができるよう、注意を払いながらの勉強会だが、メリットになることの方が大きいという。 「同じ品質のものを作ることができても、やはり日々の工程にどう組み込んでいくかというのが重要です。営業時に行うことで、実際の工程を考えることができます」 商品決定の軸となる「モニター制度」 本店を取材した4月5日、3月12日から販売を開始した新商品4品が、店頭に並んでいた。 「チョコ?Nチョコドーナツ」(157円)、「ねぎパン」(105円)、「レーズンラスク」(315円)、「横濱コロネ ベルギーチョコ」(189円)だ。 同社では約10年前から、新商品を決めるにあたって、「モニター制度」を実施している。新商品の候補となる商品をモニターが試食し、そのときに出た意見をもとに改良するという制度だ。1年おきに切り替わるモニターは、店頭で募集をかけて集まった応募者の中から、面接して決定する。現在のモニターは13人だが、応募した人は200人以上だった。主婦やOLを中心に人気だという。 「これまで、やったことのないものをチャレンジしてみて、その結果、売れたり売れなかったりということが新商品にはつきものでした。しかしモニター制度を始めてからは、開発時に的が絞りやすくなってきたと同時に、はずさなくなってきました」 モニターが試食する新商品の候補の品は、販売促進課と製品開発課によるコンセプトミーティングで決めていく。その際は、販売担当のスタッフが客から直接聞いた要望や新しい商材などが開発のもととなる。 パンは様々な食材を練り込める幅の広い食べもの モニターからの評価も高く、実際に好調だというのが米粉を使ったパン。昨年6月から本格的な販売を開始した。 「基本的にパンは小麦の食べものだと思っていますが、現在は国による米粉消費の推進があり、消費者の目も米粉に向いています。これからも継続し、さらに種類も増やしていく予定です」 「欧米にライ麦、コーン、そば、ジャガイモなどを使ったパンがあるように、各国が自国の穀物をパンに入れています。そういう意味では、米粉パンは日本の生活に合っていますし、他国にはできない日本ならではのパンだと言えます。こう考えると、パンは様々な食材を練り込める非常に可能性のある食べものだといえます」 昨年5月から同社がすすめているというのが、果物や野菜、お茶などのピューレを練り込んだパンの開発。使用するピューレは、食材の風味や食感を生かし、栄養成分もほとんど壊すことなく加工できる特殊な技術を使ったものだ。 「自然災害で傷が付いたりして、市場に回せなくなった作物を有効利用できないかと考えて始めました。お茶のピューレを練り込んだロールパンは、抗酸化作用があるなどの付加価値もつけられます」 ピューレを使った商品の開発はまだ始まったばかりだが、効果的な販促と合わせて、地道に取り組んでいくという。 また、同社はすべての販売商品について、カロリーなどの栄養成分を算出している。 消費者の健康や日本の農家を守ることに繋がる商品作りは、パンが、アレンジがきき、幅の広い食べものだからできることだといえる。 |


| ドイツで働いていたベーカリーの商品からヒントを得て商品開発‐ヒンメル | |
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ドイツで覚えたパンが看板商品に育つ
東京・大田区のベーカリー「ヒンメル」は、オーナーの金長暢之さんの自由な発想から生まれた約60品目のパンが並ぶベーカリーだ。新商品を出す頻度は、特に決めていないが、月に1回程度は新しい商品を出してきたという。金長さんは、ドイツで約2年間、パンの修業をした経験があり、ヒンメルの人気商品の多くは、金長さんがドイツで働いていたベーカリーの商品からヒントを得て開発したものだ。 人気ナンバーワンの看板商品「クラプフェン」(100円)も、金長さんが修業していたドイツのベーカリーの人気商品のひとつで、金長さんが最も美味しいと感動した商品だという。「この商品の作り方を覚えられただけでも、ドイツに行った価値がある」と金長さんはいう。 小麦粉、バター、卵、レーズンなどを配合した生地を油で揚げて、グラニュー糖をまぶした商品で、シュー皮のように中に大きな空洞があり、独特のとろっとした食感が特徴。 「ドイツから帰ってきて、店をやるときに、日本の材料でどうやって同じ味と食感を出そうかと、色々試しました。クラプフェンについては、ドイツで作っていたものとできる限り同じものを作ろうと思いました」と金長さんはいう。同商品は、現在では、多いときで1日100個売れるヒンメルの看板商品になっている。 ドイツを再び訪ねて味と食感を再確認 「ツォイスシュタンゲン」(350円)も金長さんがドイツのベーカリーで作っていた商品だ。 「青唐辛子とシャーフケーゼという山羊のチーズを生地に練り込んだハード系のパンですが、パンに青唐辛子を入れるのがすごく新鮮で、おいしいと思いました。クラプフェンもツォイスシュタンゲンもそうなのですが、ドイツで働いていたときに、パン職人が焼き上がったときにつまみ食いをする量が多い商品だったんです。ドイツのベーカリーでは、仕事中にみんなつまみ食いをするんですよ。それが味の確認にもなっているのですが、おいしい商品はどうしてもつまみ食いの量が多くなるんです」(金長さん) 2商品とも、日本での材料の選定には苦労したという。試行錯誤を繰り返しているうち、覚えていたはずの味と食感が、自分の中であいまいになっていると感じた金長さんは、妻と、スタッフ1人の3人で、働いていたドイツのベーカリーをもう一度訪ねることにした。ヒンメルを開店してから1年後のことだった。 「もう一度確認してみると、クラプフェンについては、まず小麦粉が根本的に違っていたことに気づきました。ツォイスシュタンゲンも、もう一度食べてみると、日本で手に入るチーズの中で、それまで使っていたものより近い味のチーズがあることがわかりました。味を再現しようとして、追求を重ねた後に、もういちとオリジナルのものを味わうと、理解がさらに深まりました」(金長さん) 食材から触発されての新商品開発も 金長さんの商品開発の原点のひとつは、ドイツで覚えた味だが、そのほかにも、食材から味をイメージして、新しい商品を開発することもある。その一例が、「よもぎあんぱん」(220円)だ。金長さんの実家から送ってくるよもぎを菓子パン生地に練り込んで作る商品で、「よもぎの香りが濃くて上品で、エグミがまったくない」と評判になっているという。6月ぐらいまでの季節限定商品だ。 「例えば、たまたまおいしい食材が手に入ると、それをどう使ったらその食材の味をいかした商品ができるかを考えるんです。そのときに重要視することは、その商品の製造が、今の製造の流れの中に組み込めるかどうかということです。その食材のためだけに新たに生地を増やすことはできる限り避けるようにしています。よもぎは菓子パン生地に練り込んでいます」 |
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