ビゴの店北陸初の店として独立‐オーボンパン ビゴの店 - ブランスリー電子版

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お店拝見/2011年5月号

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ビゴの店北陸初の店として独立‐オーボンパン ビゴの店
オーボンパン ビゴの店のオーナーの細田実さん(後列右から2番目)とスタッフ。スタッフは全員が現地採用だ
使用している材料についてや、同店の紹介記事などの掲示物でフランスパンの魅力をアピール
焼きたてのパンをその場で楽しめる、周囲の飲食店と共有のフリースペースがある。開放的で気軽に利用できる
JR金沢駅前のファッションビル「金沢フォーラス」。「オーボンパン ビゴの店」は同ビルの1階にある
 東京・銀座の百貨店「プランタン銀座」内にある「ドゥースフランス ビゴの店」で、20年以上製パンチーフを務めた細田実さんは、4年前にベーカリーオーナーとして独立した。
 細田さんが開いたベーカリーは、ビゴの店(本店・芦屋市)の北陸地方初出店となった「オーボンパン ビゴの店」(石川県金沢市)だ。ビゴの店とはフランチャイズ契約を結んでいる。
 「パンを作ることだけでなく、先輩方や経営者の考えを聞いたり、本を読んだりしたことが今に繋がっていると思います」と話す細田さんは、ビゴの店の創始者、フィリップ・ビゴ氏や、ドゥースフランス ビゴの店の藤森二郎社長らが与えてくれた様々な機会をすべて経験として積み上げてきた。
 独立を考えていた折、ビゴ氏より北陸地方にフランスパンのおいしさを伝えて欲しいとの要請を受け、同店を構えるに至った。「店を構えるなら都内」と考えていた細田さんにとって、石川県は未開の地だった。しかし、同店が入店するJR金沢駅前のファッションビル「金沢フォーラス」の客層は10〜30代女性が中心。プランタン銀座と客層はほぼ重なる。「銀座では夕方会社帰りに次の日の朝食用に買っていく人が大半でしたが、ここはランチ需要が目立ちます。その分、サンドイッチや野菜のフォカッチャなどの惣菜系の種類を増やしています。でもハード系を中心に揃えたり、やっていることは銀座のときと同じなんです」(細田さん)



予想外のおいしさ
店内中央にはハード系のパンと、ドッグや日替わりのピザなどの惣菜系のパンが並ぶ
ほぼ固定しているというランチ利用客に向けて、フォカッチャは5種類を用意
 近隣の百貨店やJR金沢駅構内には、ジャーマンベーカリーやアンデルセン、ドンクなど、すでにこの地域の定番となっているベーカリーが揃っている。一方、同店があるのは駅構内ではなく、駅前にある若者向けファッションビルの中だ。駅利用客を狙うというよりは、同ファッションビルに買い物に来た客が主なターゲットとなる。
 土日となると、同ファッションビルは福井や富山など他県からの買い物客で賑わう。同店の来店客数も平日の2倍となるが、客は若い女性がほとんど。その限られた客層の中から、固定客を作っていかなければならない。しかし最近は、口コミなどで評判を聞いて、来店する年配の人も増えてきたそうだ。
 「『おいしいと聞いて買いにきたんだけど、実際食べてみたら予想外のおいしさだったのよ』とか、『世界一おいしいパンを見つけた』などという声を聞いたときは、やりがいを感じました。普段食べるものとしてのパンを、何気なく食べるのではなくて『おいしい』と感動して食べてもらえることが当店としての存在意義だと思っています」
 店内の壁には、使用している粉や卵などの材料についての説明書きや、同店の紹介記事などを掲示し、フランスパンの魅力をアピール。子ども連れなどの若い世代の注目を誘う。
 単身女性の利用だと、せいぜい2個くらいが限度で客単価が低い。しかしここ数カ月、客単価が上がったという。 「ベビー服のショップがオープンしたんです。オープンしたのと同時にベビーカーを押す若い夫婦や女性が増えました。子どもや夫、さらに親などの家族の分を買っていってくれるので客単価が上がりました」
 同店の前には周囲の飲食店と共有のテーブルと椅子を備えたフリースペースがある。焼きたてのパンをその場で楽しんでもらえるよう、コーヒーやソフトドリンクなどを150〜200円の低価格で提供している。
 ランチタイムを過ぎた頃などは、若い世代だけでなく、中高年の利用も目立つ。おやつ感覚でパンを食べながら、会話を楽しむ場として、気軽に利用できるところがポイントのようだ。
 食パンやハード系のパンの固定客は、中高年の人が多く、週に3回ほど買いに来る人もいるという。
 また、ハード系のパンについては「かたそうだけど私でも食べられるのかしら」という質問をよく受ける。これは銀座のときも珍しくなかったという。
 「外側がかたくて、なかなか引きちぎれないというようなイメージを持たれた方が多いようです。だから聞かれたときには『外側はかたいですけど、引きちぎれないかたさではないので歯切れのよい食感です』と答えています。そうすると、大抵の方が購入していってくれます。それから固定客になってくれるお客さんは多いですね」



店の成長を長期的な目でみる
クロワッサンやデニッシュ生地などの折込み専用の部屋を備えた
約26坪の広さの厨房
ガラスで仕切られた開放的な店内。ベビーカー連れでも入りやすいゆったりとしたつくり
 今働いているスタッフはほぼ全員がオープン当時からのメンバー。また、ビゴの店のほかの店舗からの引き抜きは一人もおらず、全員が現地採用だ。
 製造担当として採用したスタッフのうち、経験者は半数。しかし経験者といっても、仕込み水の温度の出し方を知らなかったという人もおり、今でも指導することは基本の部分だという。
 「パンのおいしさを『わかりやすいかたち』で楽しんでもらいたいと思っています。『わかりやすいかたち』というのは、シンプルなパンということです。経験者のスタッフの中には、新商品を作りたがる人もいますが、『まずはシンプルなパンをおいしく作れるようになってから』と話しています」
 製造担当のスタッフは全員が正社員採用だ。パンのクオリティーを上げることを第一とするからこそ、基本の部分を何度も指導するのだという。
 細田さんは同店の成長を長い目でみている。消費者にビゴの味を知らせていくだけでなく、ビゴの味を作ることのできる職人をしっかり育てていく。こうして、一歩ずつ着実に、北陸地方にビゴの店のパンの味を伝えていく。
 「今までビゴの店でやってきた、そのやり方しかできないんです」という細田さんの言葉には、おいしいフランスパンを提供するビゴの店としてのプライドが宿っていた。



SHOP DATA

店名オーボンパン ビゴの店
住所石川県金沢市堀川新町3−1
電話076‐265‐8106
営業時間午前10時〜午後9時
定休日なし
品揃え120品目
品揃え120品目
店舗面積厨房約26坪、販売約15坪
客数製造8人、販売4人



原価計算女王
原価計算女王

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