緊急レポート――東日本大震災の影響 / 食品会社としての社会的責任を果たす / - ブランスリー電子版

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レポート/2011年5月号

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緊急レポート――東日本大震災の影響

食品会社としての社会的責任を果たす
 3月11日に発生した東日本大震災は、地震による揺れと直後に東北・北関東の太平洋沿岸部を襲った大津波によって、甚大な被害をもたらした。以下は、東日本大震災における製パン大手各社と、リテールベーカリーの被災状況と対応状況を取材したもの。(30ページに関連記事)



製パン大手各社の対応


■被災状況
山崎製パン 最も被害が大きかった仙台工場は3月23日から食パンと菓子パンラインで一部操業を開始。31日にはほとんどのラインが復旧した。一方、停電でラインが止まった工場では、発酵過多の生地や焦げてしまったパンの片付けの処置に追われた。また、多くの工場では、揺れによって生じた機械のズレを整える必要があった。各工場とも1〜2日ほどで復旧した。また、東日本大震災緊急援助募金活動として、ヤマザキ「ラブ・ローフ」募金(主催=特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン)に協賛しており、ヤマザキショップやデイリーヤマザキなどの店舗に募金箱を設置している

敷島製パン パスコ埼玉工場は、生産設備や商品出荷設備などが破損し、生産を休止したが、24日に全面復旧した。パスコ利根工場は、生産設備、商品出荷設備、工場建物が破損し、生産を休止した。全面復旧までには、まだ日数を要するが、3月23日より一部の菓子パン生産ラインが復旧した。

フジパン 関東地区の工場は被災はほぼ免れたが、千葉工場では、17日まで断水となった。断水期間はタンクローリーで水を運び、1ラインのみの稼動となった。一方、竣工直前であった仙台工場は、製造と配送部門の1階に浸水。水が抜けるまで数日を要したため、調査に入れたのは3月30日となった。
 勤務予定だったパート従業員は、現地採用のため、希望をとりながら個別に対応しているという。

■救援物資
山崎製パン 3月12日から21日の期間、菓子パンと食パンを271万個、おにぎりを19万個発送。22日以降は菓子パンと食パンを20万個、おにぎりを7万個ずつ毎日発送している。

敷島製パン 3月27日までの納品分は約70万個。その後も毎日6万個を納品している。

フジパン 3月28日納品分までの累計は97万3740食。本仕込食パン、ネオバターロール、菓子パンなど。

■キャンペーン
山崎製パン ヤマザキ「春のパンまつり」を3月18日より一時中止している。今後のキャンペーンの再開については未定。

敷島製パン Pasco春のキャンペーン「リサとガスパールの春トート!プレゼント」を一時休止していたが、5月1日より再開する予定。

フジパン ミッフィー「朝はパンdeプレゼント キャンペーン」を3月23日より一時休止している。また、東北地区限定で4月1日から7月31日まで実施する予定であったキャンペーンを延期した。

■新商品
山崎製パン 生産可能なアイテムは各1・3倍の製造数で供給し、震災後に増えた小売店からの注文に対応した。いくつか新商品の発売を中止した。

敷島製パン 4月1日発売予定だった約40品の発売を延期。

フジパン 4月発売予定だった49品目の発売を延期した。これは4月の新商品全体の3分の2にあたる。

■今後の対応
 各社とも、計画停電がある日は、生産時間の大幅な縮小で、苦慮している状況。また、一部の原料や包装材料などの入手が困難になっており、生産品目と数量を制限している。



リテールベーカリーの対応

■パレット
 宮城県栗原市のベーカリー「パレット」は、3月11日に震度7の地震に襲われ、一部機械が倒れ、石窯の炉床の石が壊れたほか、ショーケースの硝子が割れたりもした。電気、水道、ガスのライフラインがストップし、復旧の目処が立たない状態になった。
 「思ったより早く、16日にはライフラインは復旧しました。うちは、栗原市の築館店と、大崎市の古川店の2店舗をやっていますが、18日には営業を再開しました。ただ、震災直後の時点では、ライフラインがいつ復旧するがわからなかったので、冷凍庫に入っていた、仕上げ前のショートケーキなどを、気仙沼など近くの被災地に車で届けました」と高橋寛社長はいう。
 同ベーカリーは内陸部にあるため、津波による被害はなかったが、同ベーカリーが沿岸部の倉庫に保管していたずんだあん用の枝豆が海水に浸かり使えなくなるなどの被害があった。
 ベーカリーの営業再開時は、品目を食パンなどの食事用のパン5〜6品目に絞って製造したが、「食パン1人3斤まで」などとしても、通常の2倍は売れたという。現在は、通常の3分の2ぐらいの品揃えで営業している。
 「『パンを1000個作って、どこどこへ届けてください』などという注文も入りました。そういう場合は定価ではなくて、材料費と手間賃だけで販売しました」(高橋社長)
 また、パンの製造販売と平行して、現在までで、金額ベースで300〜400万円分のパンやお菓子を近くの避難所5〜6箇所へ、無償で供出したという。

■パン工房シュシュ
 千葉県香取市のベーカリー「パン工房シュシュ」に取材に訪れた日は3月13日の日曜日。この日は東日本大震災の翌々日だったが、店には通常の4分の1の品目のパンが並んだ。
 電気は12日の朝復旧したが、水道は止まったまま。さらに、材料を保管していた倉庫が倒れ、約1週間分の材料が一部使用できなくなってしまった。発注した材料も届かない。「できる限りやろうということで、水は前日の夜、隣の市からわけてもらいました。持っている限りのタンク20リットル分しか運べなかったので、水と使える材料のある限り仕込みました。食パンを中心にして、そのほかは甘いものの中でも、あんぱんなど、ほっとできるものを作るようにしました」(オーナーの青木康祐さん)
 こうした事態の中だったが、13日午前10時には開店。すでにオープン前から8台収用の駐車場は満車となっており、多くの客が開店を待ちわびていた。用意した800個のパンは昼前に完売したので一旦店を閉め、500個ほど用意して午後3時から再開した。翌日の月曜日も断水が続いたが、「タンクを使ってください」という近所の人の協力もあり、60リットルの水を確保して営業できたという。
 「今回の災害を通し、開業を考えていたときからの思いである『人と人との絆を育む』ことのありがたさを改めて実感しました」と青木さんは話してくれた。



原価計算女王
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