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レポート/2011年4月号

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原料高騰によるベーカリーの対応

北海道産小麦の不作に続き、マーガリンをはじめとした加工油脂製品や砂糖などの価格が高騰している。こうした状況下における各ベーカリーの対応を追った




不作の国産小麦はカナダ産と併用して品質を維持

 神奈川県茅ヶ崎市のベーカリー、パン ド ナノッシュは、3年前から全てのパンに使用する小麦を、北海道産に切り替えた。
 しかし、続く北海道産小麦の不作により、主に使用していた「ハルユタカ」と「香麦」のうち、ハルユタカがほとんど入手できなくなった。さらに香麦の品質も不安定になってきたため、今年から、カナダ産も併用することとなった。商品の値上げの予定はない。
 「値上がったことよりも、品質の低下による影響が大きいです。以前使っていたときよりも、吸水が5%も落ちました」
 店内には、カナダ産も共に使うことにしたとの内容の貼り紙が貼ってある。
 「お客様からは、マイナスの反応はなくて、意外に気にされていないようです」
 また、同店はパンの耳をサービスしているが、カナダ産小麦を使うようになった今年から、「前よりやわらかくておいしくなったからもらっていくわ」という客が増えたという。
 内麦というこだわりよりも、安心できる材料を使っているという同店と客との信頼関係のもと、おいしさが重視されているようだ。




値上げはできない。新商品をどう作っていくかが鍵

 北海道美唄市に本店を構えるすぎうらベーカリーは、昨年道内の百貨店に直営店をオープン。また、全国の百貨店の催事にも頻繁に出店要請の声がかかる人気店。
 「道産小麦は不作ですし、2月から油脂だけでなく、砂糖も値上がりました。これから先、材料は上がっていく一方だと思うんです」と店主の杉浦忍さん。
 しかし、商品の値上げの予定は今のところないという。
 「本店だけでなく、百貨店にも直営店があります。様々なお客様がいる中で、価格を上げることはなかなか難しいと思います。既存の商品の原価を単品で考えるより、新商品をどう作るか。これによって全体でコントロールしていくしかないと思っています」
 また、値上げをすると、売上げは必ずと言っていいほど下がるという。
 「当店は、客単価を重視しています。値上げをしたことによって、今まで3つ買っていただいていたのが2つに減ってしまったり、そのリスクは大きいです。そのためにも、注目される新商品を作っていくことが大切なのではないでしょうか」
 材料の質も落とさない。「消費者は敏感ですから。おいしい商品作りは常に軸としてもっておかなければなりません」
 また、同店では「ハルユタカ」や「春よ恋」など、北海道産小麦を主に使ってきたが、「ハルユタカは不作な上に、品質的に満足いくものも1割ほどしかなく、ほとんどが家畜の飼料に回されました。
そこで今注目しているのが『ゆめちから』という品種です。そのグルテン量の多さから『超強力粉』と言われていて、昨年くらいから道内で本格的に栽培を始めています。今年の収穫に期待しています」




値上げをして印象を悪くしたくない

 埼玉県さいたま市のブーランジェリークルミは、1年4カ月前にオープンしたベーカリー。
 「小麦に関しては、オープン当初から北海道産が不作の状態だったので、外麦を使い続けています」とオーナーシェフの福井清史さん。
 マーガリンやショートニングなどの油脂製品は値上げされたが、同店では、バターのみを使用している。バターの価格は現在変動していない。
 「当店の原価率は今回1%ほど上がりました。これから他の材料が上がっていったとしても、当分の間は値上げの予定はありません。値上げをすることで、お客様の印象を悪くしたくありませんから」



国内産麦の取引の仕組み

 国内産の民間流通麦の価格決定は、播種前契約で行われている。播種前契約とは、播種前に生産者と製粉企業などの需要者の間で取引数量・価格について契約することで、需要に応じた計画的生産の促進が目的だ。
 通常は収穫前年の9月頃までに、入札取引と相対取引を終え、播種前契約が締結される。
 しかし、23年産に関しては締結時期が大幅に遅れ、昨年12月に入札取引、今年1月に相対取引が行われて締結となった。
 その主な要因となったのは、輸入麦の政府売渡価格の大幅な変動や、輸入麦の政府売渡価格が国内産麦の価格を上回るという逆転現象などだ。「国内産麦の取引における、新しいルール作りなどについての話し合いがもたれたことで締結が遅れた」(全国米麦改良協会)
入札時と取引後における価格決定の方法を変更
 こうした状況のなか、国産麦の取引の仕組みで23年産より変更となったのは次の2点。
 1つ目は、値幅制限の変更。前年産の落札加重平均価格である基準価格に対し、22年産のプラスマイナス10%から、プラスマイナス30%に値幅を広げた。
 2つ目は、取引価格の事後調整の導入。これまでは、播種前契約時の価格を変更することなく、実際の取引時まで適用し続けていたが、輸入麦の価格変動に応じ、価格の調整を行うこととした。

原価計算女王
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