オーソドックスな商品を軸に客の好みを掴んでいく-ラ・ヴィ・アヴェック・デュ・パン - ブランスリー電子版

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お店拝見/2011年2月号

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オーソドックスな商品を軸に客の好みを掴んでいく-ラ・ヴィ・アヴェック・デュ・パン
写真右側の棚には惣菜や菓子系のパン、写真左側の棚にはハード系のパンをわけて陳列している。家族の分を一人で買いに来る客が多い
店内の奥にある厨房と売り場の壁には、ガラスの窓と大きな扉があり、互いの様子が伺える
「クリームパン」(136円)やドーナツ類など、オーソドックスな商品が目立つ。惣菜パンは、何の具材が入っているのか一目でわかる、オープンスタイルが多い
「やっと少し寝られるようになりました」と話すのは、東京・武蔵野市のベーカリー「ラ・ヴィ・アヴェック・デュ・パン」の店主、大場史夫さん。史夫さんと二人三脚でパンを製造する妻の美有紀さんもこの言葉にうなずく。
 11月18日にオープンして約2カ月が経った。段取りが掴めてきたことで、時間に余裕ができたからだ。
 オープンする時期は、1年の中で十分な売上げが見込める秋を選んだ。以前の勤務先である東京・葛飾区のブーランジュリー オーヴェルニュも、ちょうど同じ季節にオープンした。そのときの経験を参考にしたという。
 「この辺りのお客さんの好みを、いち早く知りたいと思ったからです。好みを知れば、どの商品をいくつ作ればいいかなど、商品構成が決まります。商品構成に合わせて段取りを考えれば、作業性を上げていくことができます」
 アイテム数をオープン時の約1・7倍に増やすことができたのも、こうして作業性を上げることができたからだ。最初はガラッと空いていたという3段の陳列棚も、今は隅から隅までいっぱいだ。
 「クリームパン」(136円)や「あんぱん」(147円)、ドーナツ類など、オーソドックスな商品が目立つ。
 「お客さんに何を求められているのかわからないうちは、奇をてらわないようにしようと思いました。最初は慣れないこともあり、作れる種類も40種類ほどでした。そのほとんどを、みんなが食べたことのある、どこのパン屋に行ってもあるようなパンにしました」
 同店は、最寄り駅から1・5キロ離れた住宅地にある。そのため、「近所の人にリピーターになってもらわないと意味がない」とオープン時から考えていたという。このことも、オーソドックスなものに絞った理由だ。
 見た目も典型的な形。グローブ型のクリームパンやツイストされたドーナツ、丸型のあんぱんなど、一目見ただけで、商品名を読まなくても手が伸びる商品だ。
 「よくほかのパン職人から『色気がない』と言われるんです。でも、おしゃれであることよりも、おいしく食べてもらえればいいという思いで成形しています」
 一人で買いに来る客が多く、特に休日は家族の分を代表して買いにくる人が多い。帰宅して袋を広げたとき、見た目で「これはクリームパンだ」とわかる商品であることも大事なことだろう。
 しかし、しばらくして意外な傾向が見えてきたという。
 「オーソドックスな商品の売上げが落ちたとき、一方で、変り種の商品は一定の売上げを維持していたのです」
 この傾向が見えてきたことで、「少しずつ、自分たちの作りたいパンを作っていこうと思えた」という。定休日ごとに新しいメニューを開発し、増やしていった。
 約40種類から始め、今は約70種類となった。どのパンも一つひとつに固定客がついてきたので、やめたものは一つもなく、作る種類は増えていく一方だという。「今はお客さんの選択肢を増やしてあげたいという気持ちで新商品を開発しています」



「青いパン屋」と呼ばれたい
店主の大場史夫さん
ガラス貼りのつくりで、店の外からもパンが良く見える
ハード系のパンは高齢の人に人気がある。ライ麦入りのカンパーニュ生地に、レーズン、クランベリー、くるみを入れて焼き上げた「フリュイ」(262円、ハーフサイズは131円)。中種法で作り、翌日もしっとりと食べやすいようにしている
女子学生に人気な「ショコラオランジュ」(136円)など4種類揃うブリオッシュ
厨房は作業のしやすさを考え、広めのスペースを確保した。窓からは、公園の木々の緑が見える。パンの製造は店主の史夫さんと妻の美有紀さんの2人で行う
店の前の通りは二車線で見通しがよく、店のテントの青色が目立つ
 店の前は、2斜線の道路が走っている。交通量が多くないので、見渡しがよく、店のテントの青色が良く映える。
 「近所の人のほか、車で通りすがりに見つけてくれて、約10キロ離れた練馬区からわざわざ買いに来てくれる人もいます。また、近所の人でも未だに『こんなところにパン屋さんがあったなんて知らなかった』と言って買いにくる人もいます」
 テントの色を遠くから見ても、目立つ青色にしたのは効果的だったようだ。
 さらに史夫さんはテントの青色について付け加える。
 「店名は覚えてもらわなくてもいいんです。自分もそうですから。『青いパン屋さん』という風に覚えてもらえたらいいですね。そうして親しみを持ってもらいたいと思っています」
 価格設定は、「駅前のパン屋より安くあることを意識した」という。菓子パン類はほとんどが200円以下に設定されている。
 同じ通り沿いに高校があり、制服で買いにくる男子学生も多い。彼らに特に人気なのが「ジャーマンポテト」(168円)と「カレーパン」(147円)。手頃な価格で、ボリュームがあり、食べ応えのある商品だ。女子学生に人気なのは「ショコラオランジュ」(136円)など、デザートで食べられるブリオッシュが4種類揃う。学生のお小遣いでも買える値段であることも、同店の立地では欠かすことができない。
 客層は、20代くらいの男女が最も少なく、ベビーカーに赤ちゃんを乗せてくる主婦や、50〜60代の男女が多い。史夫さんは、「こうしたお客さんが多い立地を探していました。若い人は、街をいずれ出てしまいますから。都会に近いけれど、ごみごみしていなくて緑がある、そういう場所でパンを作り続けていきたいと思っていました」と話す。
 厨房は作業のしやすさを考え、21坪と広めにとった。窓からは、公園の木々の緑が見える。
店名の「ラ・ヴィ・アヴェック・デュ・パン」は、「パンと暮らす生活」をフランス語に訳したという。その思いは、客に対してだけではないだろう。作り手の史夫さんと美有紀さんにとっても「パンと暮らす生活」が充実したものであるからこそ、おいしいパンを客に届けることができるのだと言える。



SHOP DATA

店名ラ・ヴィ・アヴェック・デュ・パン
住所東京都武蔵野市八幡町2‐3‐5
電話0422−38−4783
営業時間午前9時〜午後7時
定休日水曜日
店舗面積販売スペース約6坪、厨房21坪
品揃え70種類
スタッフ販売1〜2人、製造2人





原価計算女王
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