コーヒー店とベーカリー、菓子店のコラボ - ブランスリー電子版

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特集/2011年2月号

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コーヒー店とベーカリー、菓子店のコラボ
丸山珈琲ハルニレテラス店で提供しているラ・テイエの「蜂蜜ロールケーキ」(480円、奥)と、銀亭のデニッシュ「きいろ」(250円)
丸山珈琲ハルニレテラス店のスタッフ。中央は斉藤久美子さん。都内の珈琲専門店で勤務していた経験からも「軽井沢にある丸山珈琲が持つ空気感の良さを実感している」という
銀亭中軽井沢店の店長池田由美子さんは、出身の大阪から、「パンを作るなら食材の豊富な軽井沢がいい」と銀亭に入社
 小腹がすいたりランチタイムを逃した客にとっても便利なのがコーヒーチェーン店やファストフード店。ドリンクの種類も増え、パンやスイーツの軽食メニューも各社のオリジナル商品が目立ってきている。日本フードサービス協会によると、2010年の5月から11月までの喫茶店とファストフード店の利用客数が前年を上回り、不況下でも順調だ。
 長野県軽井沢町周辺で展開する丸山珈琲も、オリジナル性の高いパンと菓子を提供する。仕入先を地元店にこだわり、さらに店舗ごとにメニューを変え、ご当地感を打ち出している。また、専門店同士のコラボは、互いに、商品の開発や新たな魅力を発掘することにも役立っているようだ。



客層を熟知した地元店だからこそできるメニュー提案
良質な豆の魅力が最大限に活かされるフレンチプレス方式を採用。「ゆっくり過ごしてもらいたいから」と、提供する量は1杯より少し多めの1.5杯分
店内のカフェスペースには壁一面に書棚が設けられており、本を読みながらゆっくりと過ごすことができる
丸山珈琲ハルニレテラス店に卸しているパンはデニッシュ類が多い。どれも、素材の味が引き立ったシンプルな味わい
ログハウス風の店内の銀亭。夏期は、自社農場で栽培している野菜も店内に並ぶ
 「小諸店に来たら、チーズケーキなのよね」と話すのは、丸山珈琲の本店、小諸店、ハルニレテラス店の3店に万遍なく通うという女性客。3店とも軽井沢町周辺にあるが、店の内装や提供するメニューは各店異なる。「パンやケーキの置いてあるメニューが3店とも違うんです。店内の雰囲気もそれぞれ個性的で、どの店に行くか、選ぶのが楽しいです」
 丸山珈琲は、自家焙煎した珈琲豆の卸業務のほか、長野県軽井沢町と山梨県にカフェを4店舗展開している珈琲専門店。焙煎方法で味を追求するのが主流だったという約20年前、「豆そのものの質が良くないとおいしいコーヒーを淹れることはできない」と、丸山健太郎社長が立ち上げた。 
 丸山珈琲の各店でコーヒーを淹れるのは、日本スペシャルティコーヒー協会が主催する、エスプレッソなどの抽出技術や味などを競う「ジャパンバリスタチャンピオンシップ(JBC)」で優勝経験のあるスタッフたち。良質な珈琲豆を使い、ドリップ式でなくフレンチプレス方式で淹れる。そのため、豆のわずかな油分まで味わうことができ、良質な豆の魅力が最大限に活かされる。都内への出店要請も多く、業界でも注目されている人気店だ。
 「軽井沢に来ないと味わえない空気感を大事にしています」とハルニレテラス店の店長、斉藤久美子さん。店内のカフェスペースには壁一面に書棚が設けられており、本を読みながらゆっくりと過ごすことができる。リゾート施設近くの立地ならではのつくりだ。
 同店にパンを卸しているベーカリー銀亭(しろがねてい)でパンを製造している店長の池田由美子さんも、「作っている側としてもこの雰囲気の中で食べるとさらにおいしく感じる」と、同店をよく利用するという。
 銀亭は、避暑地の軽井沢が最も賑わう夏期、1日約600人が来店することもある人気店。「負担をかけたくない」と、パンは毎朝開店前に斉藤さん
が受け取りに行く。
 パンは、「クロワッサン」(200円)、カスタード入りのデニッシュ「きいろ」(200円)、「ジャージーロールパン」(120円)などの6種類。メニューを決めるにあたって、サンドイッチが候補に上がったが、製造や管理の手間がかかるため現在は提供していない。しかし、ハルニレテラス店は、朝食や、レストランでのディナー前に利用する客が多いので、片手で気軽に食べられるこれらの6品が、定番の品になってきたという。
 斉藤さんが最も気に入っているのは、朝食時に食べるクロワッサンとカプチーノ。「朝はシンプルな組み合わせがおすすめ。シンプルなもの同士で味の調和がとれるので、どちらも素材の味が引き立ちます。クロワッサンは噛むごとに味わいが出てきて、気分もゆったりします」
 ケーキは、地元のケーキ店「ラ・テイエ」のもの。「ラ・テイエさんは、大通りから一本奥の通りに面しているので、地元の隠れた名店です。頻繁に別荘を訪れるような人でも、知らない人は多いと思います。だからこそ、軽井沢の味としてさらに伝えていくことができたらうれしいです」
 ラ・テイエのケーキは、ハルニレテラス店、本店、小諸店の3店で共通で扱っているが、ハルニレテラス店のロールケーキのみ、独特な風味のあるコーヒーの花のハチミツを使用している。また、同じく地元のケーキ店「STORY(ストーリー)」から仕入れるケーキも各店異なる。ハルニレテラス店のみ、塩キャラメル味のケーキ「キャラメルサレ」(480円)やオレンジとキャラメル風味の「キャラメルマンダリーヌ」(480円)など、一味違った商品だ。
 「当店は、都内からの舌の肥えたお客様を意識したメニューにしています。一方、地元の方や高齢な方が多い小諸店では、味や名前に馴染みのある、分かりやすいテイストのものを揃えています」(斉藤さん)。ベーカリーも菓子店も、地元店。だからこそ、丸山珈琲の客層を熟知した上でのメニュー提案をしてくれるのだという。

銀亭 中軽井沢店
住所 長野県北佐久郡軽井沢町長倉2955−6
電話 0267−44−3203
営業時間 午前8時〜午後6時(夏期は午前7時半〜午後7時)
定休日 水曜日

丸山珈琲 軽井沢本店 
住所 長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢11 54−10
電話=0267−42−7655
丸山珈琲 ハルニレテラス店
住所 長野県軽井沢町星野ハルニレテラス内
電話0267−31−0553
丸山珈琲 小諸店
住所 長野県小諸市平原1152−1
電話 0267−26−5556



段階を踏んだ提供の仕方でハード系パンの人気が根付く
丸山珈琲小諸店の店長、中原見英さんは09年のジャパンバリスタチャンピオンシップで優勝

店主の岡田吉弘さん(左)と妻の早苗さん(中央)は、東京・目黒区のタイユバン・ロブション(現ジョエル・ロブション)で腕を磨き、現在はハード系を吉弘さん、菓子パン系を早苗さんが担当している。販売のスタッフ(右)は、昼過ぎまで2人体制


「農作業の合間に長靴のままでも来店してもらいたい」と、丸山珈琲小諸店は床に石材を利用
ハード系を食べたこののない人でも食べやすいものとして提供を始めた「ルージュ」(300円)
開店と同時に次々と客が来店。オープンして約2年が経ち、菓子パン系は午前、ハード系が昼過ぎに焼き上がると常連客に浸透してきた。常連客は時間を定めて来店する
香色のハード系のパン「ルージュ」(上)と「ノア・レザン」(下)は、丸山珈琲で約2.5センチの厚さにスライスして提供。1本からだいたい6セットできる

 軽井沢から車で40分ほど行った国道沿いにある小諸店。同店に来店するのはほとんどが地元の客だ。カフェの床に石材を利用しているのは、「農作業の合間に長靴のままでも休憩に来てもらえるように」との思いがある。
 同店で扱うパンはハード系とトーストのみで、地元のベーカリー「香色(こういろ)」から仕入れている。以前は、ハード系はなく、トーストとクリームパン、デニッシュ生地のクロッカンだった。
 小諸店の店長を務める中原見英さんは、「当初ハード系は、この辺の地元の方には馴染みのないものだったのですが、香色さんからハード系をおすすめされ、置いてみたところ、想像以上に好評で驚きました」と話す。
 香色の店主、岡田吉弘さんの提案で、提供の仕方に段階を踏んだことが成功の秘訣だったようだ。ハード系の中でも、食感が軽くて甘味がある食べやすも、食感が軽くて甘味がある食べやすいものから提供を始めた。クランベリーマカデミアナッツをふんだんに入れた「ルージュ」(300円)だ。さらに提供する際、スライスして軽くオーブンで温めるので、さくっと香ばしく軽い口当たりとなって食べやすい。
 ルージュの人気が定着してきたことで、ライ麦と小麦の全粒粉を配合した「ノア・レザン」(300円)を導入した。
 こうした提供の仕方により、最も浸透しにくいと考えていた60代以上の客に人気が定着してきた。また、ハード系のパンを地域の人に根付かすのに、同店と香色のコラボが一役買ったとも言える。
 丸山珈琲の統括ディレクター、阪本義治さんは、ベーカリー、菓子店との関係についてこう話す。
 「仕入れる商品は、ベーカリーと菓子店にお任せしています。そのためには、お互いが地元の店であること、そして相互に理解することが重要です。コーヒーの専門である私たちにとって、パンやケーキは素人。素人の私たちでも扱えて、自信を持ってお客様に提供できる商品を、それぞれ提案してくれます」
 コーヒーとパン、菓子の相性については、「コーヒーとガトーショコラの組み合わせを求められるお客様が多いのですが、確かにこの組み合わせだと、コーヒーがどんどん進みます。味の強いチョコレートに合わせてしまうためです。そうではなく、パンとコーヒー、ケーキとコーヒー、それぞれの味が対等に引き立つかたちで味わえる場を提供していきたいと思っています。丸山珈琲で扱うパン、ケーキ、コーヒーはどれも素材の味を大切にした繊細な味の商品です。繊細なもの同士だから、それぞれの味が生かされるのだと思います」
 銀亭も香色も、地元で人気のベーカリーだ。配達してもらうのではなく、丸山珈琲から受け取りに行ったり、仕入れの個数も少量に抑えるなど、ベーカリーにとって負担にならないよう務めている。その努力には、軽井沢にこだわり、地元の自慢の品を客に伝えていこうとする丸山珈琲のスタッフの思いが詰まっている。

香色
住所 長野県小諸市大字御影新田447−20
電話 0267−46−9229
営業時間 午前10時〜午後7時
定休日 火曜日、第1・3水曜日



田畑に囲まれた立地なので、看板が唯一の目印
香色

原価計算女王
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