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食のトレンドを追う/2010年11月号

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「森ガール」に「山ガール」。新しい文化とハード系パンの相性
充実した機能性を備えるアウトドア用食事グッズは、室内の食事シーンも楽しく便利にしてくれる
 昨今、女性のランニングがブームになり、山歩きやキャンプなどアクティブに野外活動を楽しむ「山ガール」が登場するなど、女性たちの間では気軽な外遊びがトレンドになっている。そして、ここにも新しい食文化が生まれつつある。



戸外での食と遊びの楽しさを伝える「ピクニック講座」
「ピクニック女子」代表の岩崎さん(右)と「パン食系女子」代表の稲垣さん(左)。2人は「アウトドアでの食事は美味しさが3割アップします!」と、外ごはんの楽しさをアピール
「パン食系女子会ピクニック入門」参加者には、1グループに1つ、イタリア発祥のパン「チャバタ」を使用したメゾンカイザー特製「チャバタのサンドイッチBOX」がおみやげに。生ハムサンド、バジルチキンサンド、サーモンサンドの3種類
 10月2日(土)・3日(日)、立川市内の国営昭和記念公園で、日清製粉グループによるイベント「Konaフェスタ2010」が開催された。「おいしく食べて、知って、遊ぼう」というスローガンで、粉について知り、食べて味わい、粉食品の製作過程が体験できる催しだ。
芝生の緑が広がる公園内にはたこ焼き、チヂミ、チュロスなどさまざまな粉料理を食べられる屋台が登場。また、設営された大きなステージではフラや和太鼓など音楽ライブが行われた。入場無料とあって入場者は芝生の上に寝そべりながらのんびりとイベントを楽しんでいた。
 公園内の施設「花みどり文化センター」では、親子手打ちうどん教室や小麦を挽いて粉にする石臼体験などイベントやパネル展示が行われていた。今回、記者は同センター内カフェで行われた「パン食系女子会ピクニック入門」の取材のために同イベントを訪れた。昨今、ランニングがブームになり、山ガールのための雑誌が発売されるなど、アクティブな女子たちの間ではアウトドアのレクリエーションがトレンドになっている。そんな彼女らとパンの相性を追いたいと思ったからだ。
 内容は、2人のパネリストのトークショー。1人は、「ピクニック女子」として、都会暮らしの中で自然を感じて楽しむライフスタイルを提案する「東京キャンプ」代表の岩崎雅美さん。地域活性を目的とした市民大学「丸の内朝大学」の講師としても活躍している。
 もう1人「パン食系女子」として登場したのは、パンコーディネーターの稲垣智子さん。「日本パンコーディネーター協会」代表で、パン職人と消費者の間を取り持ち、パンの食べ方や楽しむシーンを提案するなど、多彩な活動をしている。
 会場には、開始前から行列ができ、あっという間に定員の50人に達した。参加者は、家族連れのほか女子同士のグループも多く、ピクニックとパンに対する興味の高さがうかがえる。
 岩崎さんは、気負わず気軽に自由な発想でピクニックを楽しんでほしいという趣旨で、ブルーのレジャーシートの上にお気に入りのラグを敷くと、防水効果に加えピクニック気分がグッと盛り上がることや、保冷バッグなど、100円ショップには重宝するアイテムがたくさんあることなど、ピクニックを気軽に楽しめるアイデアを多数紹介した。
 一方、パンの専門家の稲垣さんは、フランスパンやライ麦パンなどハード系パンを使ったサンドイッチをはじめとしたランチの楽しみ方を紹介した。ハード系パンは、荷物の中でもつぶれにくく、焼くことで香ばしさや食感が蘇るなどアウトドアでの食事シーンにぴったりだという。
 その他、火を使って肉を一緒に焼いて肉汁をパンにつけたり、スープを温めたりする方法や、ホームパーティーのように仲間たちと一品ずつ持ち寄ることでゴージャスなランチになることなど、食のバリエーションを広げる楽しさも提案した。



若い女性をターゲットにハード系パン需要を喚起
トークショーの会場内に展示されたパネル
ピクニックで稲垣さんがオススメする「パン・べキュー」は、鉄板の上にチーズをのせ、上からパンを押しつけて食べる。「Konaフェスタ2010」では屋台も出店した
「パン・べキュー」
 ところで、このトークショーはピクニックの楽しさを伝えつつも「ハード系のパンを食べよう」と市民に訴える狙いがある。昨年から日清製粉グループが取り組むハード系パンの需要掘り起こしプロジェクトのひとつなのだ。
 「去年から『フルタイム、パンタイム!』というスローガンでハード系パンの需要拡大に力を入れています。ハード系パンをもっと売っていこう、とベーカリーさんにアピールし、店舗にリーフレット『パン食を楽しもう!』を置いてもらいました。今年はイベントなどを通じて直接消費者にアプローチする方法を試みており、そのひとつが今回のトークショーなんです」(日清製粉営業企画課マーケティングチームリーダー・横田幸司氏)
 横田氏によると、日本のパンの消費は長らく朝食にトースト、昼食に惣菜パン、そしておやつに菓子パンという形をとってきた。そこで、同社はこれからのパンの食文化を広げていくためにも、ハード系パンの需要を掘り起こす取り組みに着手した。
 「現在、日本におけるパンの中でハード系パンは売り上げがわずか4パーセントであるといわれています。ハード系パンはシンプルゆえに飽きがこない上、料理との相性がよいので、語らいながら楽しむ食事に取り入れられます。まだまだ需要拡大の可能性があると思っています」(横田氏)
 同社のテコ入れによって、ハード系パンの売り上げが上昇したベーカリーも少なくない。とはいうものの、まだまだ一般消費者には敷居の高いイメージがあり、パン自体の知識や食べ方のアレンジの知識なども乏しい。味や食感など、パンそのものの魅力を伝えるだけでは、消費者が手に取るまでに距離があるのは否めない。
 そこで、同社はハード系パンを食べるシーンを提案するところからイベントを考案した。20〜30代の女性を対象として、ピクニック講座という形でハード系パンの楽しみ方をアピールしたというわけだ。美味しい店を発掘したり、積極的に野外活動に出かける好奇心やアクティブさを持つ若い女性たちにハード系パンのある生活スタイルを提案していく取り組みだ。先輩世代の40〜50代に比べてパンの消費量が少ないのも若い女性たちをターゲットとした理由のひとつ。近年のナチュラルなライフスタイル志向もあり、ハード系パンは作りがシンプルゆえに「ナチュラルで身体によい」というイメージが定着すれば、ヘルシーで豊かな食生活における定番主食としてアピールできる。
 日清製粉グループは、ホームページ「パン食系女子のカレンダー」でハード系パンの料理レシピなどを紹介している。インターネットを利用したマーケティング事業などを行うアジャイルメディア・ネットワークが運営する「パン食系女子会事務局」と共同で行ったアンケートで「パン食系女子が異性を誘ってみたいデート」で、ピクニックが1位となったことも今回のイベント開催の一要因だろう。手料理を披露できるチャンスもあり、ピクニックとハード系パンは、婚活の場でも利用できそうな組み合わせだ。
 「『パン食系女子』という言葉をキーワードとして、ハード系パンの需要を拡大していきたいと思っています。パン業界の皆さんも、この言葉をどんどん利用していただきたいと思います」(横田氏)

 昨年から始まったハード系パン推進事業は再来年まで継続していく方針だ。
 今回は、文化的トレンド「ピクニック」の食のあり方を追ったら、ハード系パンに行き着いた。このように、文化的トレンドと結びつけた食のトレンド戦略に新鮮さを感じた。(U)



原価計算女王
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