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| 特集/2010年9月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 都市型マルシェでパンを販売 | |
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東京や大阪などの大都市で、駅構内や公園、広場などを利用した市場「マルシェ」が賑わっている。農水省の補助事業「マルシェ・ジャポン」によるもので、昨年9月から始まり、現在は全国10都市で開催されている。
「農作物の生産者の所得向上」を目的としており、出店者の中心は米や青果物の生産者。しかし、各マルシェで2〜3店ほどベーカリーも出店しており話題となっている。 「生産者の顔が見える」という消費者側のメリットだけでなく、「ネット販売では見えない客の顔が見える」「新規客の開拓に繋がる」などといった出店者の声もあり、双方にとって有益な場となっている。 |

| 相鉄線二俣川駅構内のマルシェ(神奈川県横浜市) | |
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横浜駅から電車で約12分の二俣川駅は、昼間は買い物客、夕方は通勤客で常に賑わう。1週間の中で乗降客の最も多い、金曜日に毎週開催。出店数は20店舗ほどで、パンなどの加工品を扱う出店者は4割。
開催場所の駅構内は、数件の大手スーパーが構える中央に位置しているため「スーパーの商品と比較しながら行き来をする」客も多いという。同駅のある旭区は市内で最も高齢化率が高く、マルシェの客層も年配者が目立つ。 |

| 「行列のできるパンはどれですか」と話題に-「ベーカリー・フードコート麦」 | |
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「しっとり、ふわふわのおいしい食パンです」。この呼び掛けに、通行人が振り向く。試食をし、味を確認すると、ほとんどの人が購入していく。
ふわふわとしたやわらかい食感が特徴の「しっとり食パン」(300円)を販売するのは、横浜市の隣に位置する川崎市に店舗を構える「ベーカリー・フードコート麦」。今年の1月から、相鉄線二俣川駅構内で開かれるマルシェでの販売を始めた。 「始めは知名度がなかったので、とにかく試食してもらうことに力を入れました」と販売担当の鈴木和雄さん。試食のパンは「はっきり味が分かる大きさでないと、味を覚えてもらうことができない」と、大きめにカット。1日の出店で試食に使う食パンの量は4個。始めの頃は1日10個を試食に回したという。 今では、「行列のできるパンはどれですか」と買いに来る人もおり、すっかり話題のパンとなった「しっとり食パン」は、1日250本を完売。「ふわふわしているところがいい」と話す60代女性は「毎週1週間分買って、冷凍している」。次に人気の「ブドウぱん」(350円)は、用意した60本が昼の13時に売り切れた。 「ベーカリー・フードコート麦」▼住所 神奈川県多摩区宿河原6‐33‐6▼電話 044‐833‐9683 |

| 通行人の足を止める陳列方法‐「横浜シフォン」 | |
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「数が少なくなってくると残り物っぽく見えてしまうので、印象が悪いから下げてしまいます」と話すのは、「横浜シフォン」の販売を担当する田原祐二さん。
メープル、抹茶、ミルクティー、ハーブなどのシフォンケーキがずらりと並んだ様は、通りすがりでもつい足を止めて見てしまう。多くの人が行き交うこの場所では、「印象の良い陳列」が、通行人を振り向かせるポイントだ。 横浜シフォンは、田原さんの妻、こずえさんが横浜市青葉区の自宅兼工房で作るシフォンケーキ専門店。昨年の6月、ネット販売と土曜日のみの店舗販売でスタートした。昨年秋から始めたマルシェへの出店は、週に2回。水曜は商業施設「ラ チッタデッラ」(神奈川県川崎市)、金曜は二俣川駅構内だ。「1週間に一度の楽しみだと常連客から言われると休めないですね」と田原さん。 オーガニックや国産の素材にこだわったシフォンケーキは、「食べればわかる味の良さ」。試食をした人のほとんどが購入し、約4割がリピーターになるという。 全体の売上げの2割を占める同マルシェでの販売は、客単価が4000円と高め。年配の女性客を中心に、全種類購入する人が多いという。 |
| ネット販売では伝えられない味の部分-「ハーモニーカンパーニュ」 | |
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「愛媛県の有機栽培のみかんを煮詰めて、実も果汁もたっぷりと入れたパンです。期間限定です」と、丁寧な口調で商品説明をするのは「ハーモニーカンパーニュ」の販売担当の横山栄子さん。
栄子さんの姉、恭子さんが販売用にパン作りを始めたのは昨春。そして昨秋、マルシェに初めて出店するまでは、店舗は持たず、ネット販売のみだった。 「ホームページの写真だけでは伝えられない味の部分を、試食などでその場で分かってもらえるのがうれしい」(栄子さん) 出店は、二俣川駅構内のほか県内と都内の計4カ所で、月4〜5回。4カ所それぞれ客層が全く異なるため、販売方法を変えている。自宅用にまとめて購入する人が多い二俣川駅構内に対し、オフィス街にある東京・汐留のマルシェでは、ランチで食べきれるよう、半分のサイズで販売。 一方、天候による影響はどの場所でも大きい。ほとんどのマルシェが、「屋根があるだけの屋外に近い立地だからだ。 「予約に応じて製造できるネット販売に対して、マルシェでの販売は当日の天候が売上げに直接響くので、天気予報のチェックが欠かせません」(栄子さん) ネット販売の顧客が来店 「ダマーラパン」や「アバンダンディアパン」、「イシスパン」と、名前だけではどんなパンだか想像がつかない同店のパン。これらの名前は全て、「女神」が由来となっている。 恭子さんは「パンを通して多くの人に愛を届けたい」と、愛の象徴である「女神」に因んだ名前を付けた。食パンの「ダマーラパン」の「ダマーラ」は、「家族と暖炉を守護する女神」で、「家庭内の平和や日常生活の豊かさ」を感じてもらえるようにという思いが込められている。 「パンの販売を始めたきっかけは、自分が好きなことをして喜んでもらえるのがパン作りだと思ったから」という恭子さんは、「スピリチュアル」についても学んできた。その両方が生かされているのが女神のパンだ。 「へこんでいるときにここのパンを食べると、本当に元気になるんです」という30代女性が、同店のパンを初めて購入したのはネット販売。「マルシェへの出店を知ってからは栄子さんと話すのも楽しみで、よく買いに来ている」と話す。取材日は「友人にもぜひ食べてもらいたい。お店のリーフレットもください」と、友人の分も購入していた。 「ハーモニーカンパーニュ」▼住所 神奈川県横浜市旭区市沢町1049‐9▼電話 045‐382‐8998 |
| 国連大学前広場のマルシェ(東京都渋谷区) | |
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東京・青山通りに面した国連大学広場は、表参道からも程近く観光客に人気のエリア。最も賑わう土曜と日曜に毎週開催しており、多い日だと1日1万人が訪れる。出店者数は40店舗ほどで、加工品を扱い出店者は4割。ホットドッグやドリンクを扱う出店者もあり、その場で食べることができるよう、休憩スペースが設けられている。
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| 「変り種」こそよく売れる-「グランマンマ」 | |
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一方、東京・墨田区のコンフィチュール専門店「グランマンマ」は、東京・渋谷区の国連大学前広場のマルシェに出店している。「ネット販売だと、ベーシックな商品グランマンマがよく出ますが、マルシェでは、コンフィチュールとしては珍しい味のにんじんなど、変り種がよく出ます」と「グランマンマ」のオーナー雨宮朋絵さん。
「にんじん」(1260円)は、有機のにんじんとオレンジの果汁を入れて煮詰めたコンフィチュール。「パンだけでなくドレッシングに混ぜて使うと彩りもいいし、爽やかな味わいになります。使い勝手がいいんです。食べてみてください」 マルシェは、味の想像がつきにくい「変り種」こそ、味を確認してもらえるチャンス。この点で、ネット販売よりもマルシェの方が、変り種がよく売れるという。また、「流行の発信地、青山という場所柄、珍しいものを求めている人が多いと感じる」と雨宮さん。 |
| マルシェの出会いで生み出される商品
コンフィチュールの製造は、雨宮さんの母、恵利子さんが墨田区にある厨房で手作りしている。
「コンフィチュールを透明のビンに入れて眺めるのが好きなんです。果実の自然な色を、見て楽しめますから」と恵利子さん。 「見た目も楽しめるビン詰めのコンフィチュールはギフトにも向く」と、2年前の朋絵さんの結婚式で引き出物として配ったところ、好評だった。それがグランマンマを立ち上げるきっかけとなったという。 「白桃」(1290円)の原料は、同マルシェで知り合った農家の出店者から購入。他の生産者と交流できるマルシェだからこそ、生み出された商品だ。そのほか、「そばの実味噌」(780円)や「きゃらぶき」(780円)などの佃煮もある。恵利子さんが子ども頃から慣れ親しんできた味を、現代風にアレンジした。 一つの鍋で作れるのは15本。少量ずつ作るので、瓶ごとに味が微妙に異なるのも楽しみの一つ。数の少ない季節限定商品を目当てに通う常連客もいる。 「グランマンマ」▼ホームページ www.grandmamma.net |
| 自家栽培の米を使った玄米パン-「四季彩菜工房」 | |
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農薬と化学肥料を使わないコシヒカリ「ほたるのお米」を販売するのは「四季彩菜工房」。福島県で、こだわりの米、野菜などを栽培する専業農家だ。
米と一緒に自家製のパンも販売しており、「玄米パン」(480円)は、焙煎発芽玄米粉に加工した「ほたるのお米」が生地に25%配合されている。「たまごパン」(480円)は、四季彩菜工房の有精卵を使用。ほんのり黄色味のあるふわふわとした食感のパン。 「特別に380円での販売です。いかがですか」と、販売担当の吉田征矢さん。保存料などは一切入っていないので、屋外のマルシェでは品質保持が厳しく、昼過ぎには値引きをして販売。取材日は用意した25袋が完売した。 パンを作るのは吉田さんの母、優子さん。昔からパンは趣味で作っており、米の注文があった際におまけとしてパンも送っていた。次第に「パンだけの販売はしていないのですか」との問い合わせが増え、販売に至ったという。ネットでは、玄米パンと有精卵入りのたまごパンの詰め合わせで12個入り2000円で販売している。四季彩菜工房では民宿も行っており、宿泊者の中には「マルシェで知った」という人も多いという。 「四季彩菜工房」▼住所 福島県東白川郡塙町東河内字荒屋162‐1▼電話 0247‐43‐3757 |
| 休業日を利用して初めてマルシェに出店-「m‐chiffon」 | |
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今回初めてマルシェに出店したのはシフォンケーキ専門店「m‐chiffon」の三屋純子さん。夏季は店舗での販売はしない代わりに、空いた時間でマルシェに出店してみようと思い立ったという。
「青山のマルシェのことはインターネットで知った」という三屋さんは、「お店が吉祥寺にあるのですが、駅から遠くて。青山なら、吉祥寺方面から来ている人も多くいると思うので、お店のことをここで知ってもらえれば」と出店効果を期待する。 シフォンは、全部で30種類。初参加のマルシェでは「手が出しやすいように」と、定番のプレーン、くるみ、アールグレイ(3種とも250円)の3種類を販売した。 「m‐chiffon」▼住所 東京都武蔵野市中町3‐27‐17▼電話 0422‐57‐6126 |
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