きめ細やかなサービスを提供したいから自社製造-シャン ド ブレ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2010年9月号

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きめ細やかなサービスを提供したいから自社製造-シャン ド ブレ
チーフの青柳吉紀さん(上段右)とスタッフ
フランス料理店「HANZOYA」のランチとディナーで提供しているバゲット「フルート・シャン・ド・ブレ」(240円)(左)
店内からも厨房の中の様子が見渡せる
厨房から来店客の顔が見えるガラス窓がある。「お客様のためのパン作り」を常に意識するため
店は直接通りに面しておらず、私道を通って行く。私道入り口には、パンの焼きあがり時刻などを書いた黒板を取り付けて所在をアピール
 「なくなってしまうから、食事の前に買いに来たんです」と話す女性客は、昼前の午前11時半、フランス料理店「HANZOYA(はんぞうや)」(ドリームカムトゥルー企画、加藤英二社長)でランチを食べる前に立ち寄った。
 JR新横浜駅から徒歩5分のベーカリー「シャン ド ブレ」は、今年20周年のHANZOYAのパン部門として06年1月にオープン。HANZOYAに食事で訪れた客や近所のOLを中心に、口コミで人気を集めている。
 HANZOYAではウエディングも行っており、1日平均4〜5組の婚礼の食事で合計2000個以上のパンが必要となる。
 「婚礼は、全国各地から老若男女、あらゆる方が集まります。年配の方にはやわらかめの食感、若い人にはトマトやほうれん草などの具入りが喜ばれます。こうした世代による違いのほか、各地域の食文化にも、気を配る必要があります」と田中さん。「目の前にいるお客様の満足」を常に考えた、サービス業に徹した姿勢が、パンの自社製造に繋がった。
 「外注では、数量と配達時間を合わせることで手一杯で、細かい味の要望まではお願いしにくい。そこでパン部門のシャン ド ブレを作りました。自分たちで作れば、無理をしてでもおいしさの追求ができますから」(田中さん)
 HANZOYAとシャン ド ブレは車で5分ほどの距離。各組の婚礼時間に合わせて作り、その都度出来立てを運ぶ。
一方、レストランのランチやディナーのパンはバゲット1種類。「レストランでのパンは、料理の良きサポート役。おいしさのバックアップをしてくれる存在と考えています」(田中さん)
 HANZOYAの店舗でシャン ド ブレのパンを販売していないのも、「レストランはあくまでフランス料理を楽しむところ」という理由から。その代わり、朝食に最適な惣菜パンを帰り際に一つプレゼントしている。「翌朝、またHANZOYAを思い出してもらえればうれしい」と、田中さんは笑顔で話す。



客と店の歩み寄り
約3坪のこぢんまりとした店内
「パン屋としての定番商品」として、ドーナツ、食パン、カレーパンを開発。レシピの開発はスタッフで分担。「バナナドーナツ」(140円)は青柳チーフが担当。チャンスロスに強い商品。しっとりとした食感が特徴。
「大豆戸食パン」(280円)は国産の材料にこだわった品
「カレーパン」(170円)のフィリングは10種類のスパイスが入ったキーマカレー。
ブログとともにモバイルサイトも始めた。商品やお徳な情報を発信
 「常連客が多い。商品もいい。その割に売れない」。シャン ド ブレのチーフ、青柳吉紀さんが、昨年4月の入社時に思ったことだ。この思いのもと、青柳さんは改革を始める。
 まず立地。オーナーの自宅敷地内に構えるシャン ド ブレは、通りからその姿を見ることができない。表にある看板だけを頼りに、私道を歩くと見えてくる。その上入り口は階段を昇った2階。決していいとはいえない立地だ。
 パン屋としての不利な立地条件を解消するため、門を取り付け、私道を舗装し、パンの焼きあがり時刻と、おすすめ商品の紹介を書いた黒板を門に取り付けた。
 商品の品揃えも変更した。製造数は、婚礼とレストランの使用量に対し、店舗販売用は極少量。少量だからこそ「普通」では面白くないと、カレーパンやメロンパンをあえて作っていなかった。しかしこのような定番商品こそが、「パン屋として喜ばれる商品。新規客にも喜ばれるのではないか」と考え、定番商品を作ることにしたという。
「その代わり、ひとひねり、ふたひねりしたものでなくてはいけない」。当時の製造スタッフ6人それぞれに、カレーパン、メロンパン、サンドイッチ、ドーナツ、食パン、あんぱんの担当を振り分けた。皆で審査をし、コンテストのように楽しみ、盛り上がったという。
 常連客から作って欲しいとリクエストされていたというカレーパンは、料理好きの女性スタッフが担当。フィリングのキーマカレーは、10種類のスパイスを入れて作り、レストラン料理長のアドバイスも生かした。パン粉はルヴァン種使用の生地で、カレーパンのためにだけ焼く。こうして出来上がった、衣のサクサク感が味わえる「カレーパン」(170円)は現在上位3位内に入る人気商品となっている。
 食パンは小さい子どもを持つスタッフが「毎日食べても飽きなくて、子どもにも安心して食べさせられる」ように開発。材料は国産にこだわった。小麦、砂糖、酵母は国産小麦で起こした液状酵母、水は富士山麓の百年水。近所の人の定番になるように、地域名を取って「大豆戸(まめど)食パン」と名付けた。
 青柳さんはドーナツを担当。当時のドーナツブームから、幅広い層にうける味の傾向を分析。生地のしっとり感が特徴のグレーズがかかった「バナナドーナツ」(140円)を開発。
 さらに青柳さんは、焼きたてで提供することと、チャンスロスを減らす目的から、「バナナドーナツ」のレシピを2つ考案。一つは味に重点を置いたもの、もう一方は、30分で仕上げることができるもの。スタッフ皆で試食をし、30分で仕上げられる方のレシピを、もう一方のものと、味の差がないように改善した。
 販売の仕方も変えた。販売担当スタッフを、常時2人であったのを1人に減らした。混雑時は製造担当スタッフが手伝いに入る。「製造担当でも、販売に積極的に回ってもらって、お客様の様子を見てもらいたい」と青柳さん。
青柳さんは同店に入社する前に、ホテルやレストラン、大手や、個人店など色々なタイプの店を経験している。
「味が特別いいわけでもないのに、その割に良く売れている店で働いたことがあります。売るための努力をそのとき初めて、真剣に考えました」
 「作る側と客が思うおいしさは、必ずしも一致するとは限らない。客の意見を形にできれば売れる」。そのためにも、「会話はどんどんしてください」とスタッフに呼び掛ける。「客と店の歩み寄り」が店作りの基本姿勢として表れている。
 6月、モバイルサイトをオープンした。すでに商品紹介などを中心にブログもやっている。モバイルサイトでは、新商品情報のほかに誕生日の特典など、お徳な情報も配信して行く予定だ。シャン ド ブレは今後も、店と客が互いに情報を交換していくことで、進化を遂げていく。



SHOP DATA

店名シャン ド ブレ
住所神奈川県横浜市港北区大豆戸町1149 2階
電話045−431−7788
営業時間午前10時〜午後6時
定休日月・火曜日
品揃え80品目
店舗面積厨房10.5坪、販売スペース約3坪、駐車場3台
スタッフ9人
日商平日5〜6万円、休日8万円






原価計算女王
原価計算女王
 



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