第1章 販売について - 文・橋本泰之 - ブランスリー電子版

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(続)パン屋さん手帖(4)/2003年8月号

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第1章 販売について - 文・橋本泰之
商品をいくつかに分類して、それぞれの商品群どうしのバランスを考えることで、品揃えに立体感が出てきます。
今回は、商品を4つのカテゴリーに分類して、表とグラフを使って分析する方法をわかりやすく説明します。

橋本泰之 1956年横浜生まれ。新宿の専門学校を卒業後、銀座レストランみかわやに就職。その後センチュリーフーズ、モンタボーなどを経て、1996〜2001年、東京製菓学校教師。2001年10月、有限会社レーヴを設立、現在に至る。



商品を4カテゴリーに分類して、それぞれの特性を理解する

戦略商品はこまめに入れ替える
 前回は、パンの重量と価格をグラフを使って調べました。
 今回は、商品全体を4つのカテゴリーに分けて、各カテゴリーのパンの価格と重量の関係を見ていきます。
 自店の商品を4分割してみましょう。
 売上金額ベースで、(1)基本商品35%(2)戦略商品25%(3)季節商品25%(4)店長・従業員オリジナル商品15%――以上の比率で商品の枠を決めます。
 どこの商品を開発するかによってお店のバランスも変わってきます。以前に書いたように、店舗の立地も考慮して、商品構成を考えていきます。
 基本商品はその店舗の大事な基本アイテムなので替える時は慎重に考えましょう。
 戦略商品は季節や今の流行のパンなどが多く、店舗でも一番のホットコーナーに置いて、繰り返し焼き上げる製品になります。しかし、いつも焼きたてが多いので飽きられやすい商品でもあります。こまめに入れ替えていきましょう。

季節商品は、年間計画を立てる
 季節商品については、私は一番大切だと思いますので少し詳しく書かせていただきます。
 まずはじめに年間のスケジュールを決めます。一年を春夏秋冬で分けて約3カ月ごとの販売する商品を決めていきます。
 春は3月から5月(ぽかぽか暖かくなってくる時期)で、パンの売上げも上がる時です。公園や道路の並木道でも花が咲いて、明るくきれいな時期なのでパンも春らしいものを考えると良いと思います。旬な色合いが出るような商品や、ソフトな食感のパン、ジャムやクリームを使用したパンなどがいいでしょう。
 菓子パンや調理パンも春の野菜などを使ったものを考えると良いと思います。
 大手パンメーカーも毎年春のパン祭りを行っています。

夏はミニパンなど秋は味覚を大切に
 夏は6月から9月で、年によって暑い夏もあれば、梅雨が遅れることもあります。
 春夏のくぎりは、その年によって考えましょう。梅雨が明けると、パン屋さんには一番辛い暑い夏が来ます。製造の方も暑くて仕事が大変な上に、売上げが落ちます。
 しかし、この時期に何を行うかによって秋以降の売上げが変わってきます。だから夏の商品は大切です。 売れないから商品をただ減らすのではなく、食べやすい大きさにしたり、こまめに焼いたりしましょう。
 また、ミニパンなどのフェアを行うとよいでしょう。1個の商品について生地を半分にしても、結果的には、トータルで倍以上売れたりします。
 9月から11月までは、秋の味覚の時期です。旬の素材が美味しい季節です。フルーツも紅玉、ブドウ、梨などが登場します。それに丹波の黒豆や栗などの木の実も美味しい時期です。パンの売上げが上がる時期なので、夏場に試作して考えた商品を販売して、お店の活性化を進めましょう。特に秋は旬を大切にします。

冬は生クリームやカスタードなど
 11月から3月までは、冬の時期です。この時期は雪が積もったり極端に寒くなったりしない限り(雪国は別ですが)、パンがよく売れる時期です。
 クリスマスや正月、バレンタインもあり、色々楽しい商品を作れると思います。
 冬の時期は気温が低いので生クリームや自家製カスタードなどの製品を作りましょう。生クリームフェアやイチゴフェアなどを行ったり、クリームとフルーツを使った製品を作ったりすると良いと思います。

季節商品を決めておくメリット
 季節商品を考えるポイントは、(1)旬の材料を使う(2)売れていてもその時期で終わりにする(3)販売員を教育してしっかり説明させる(4)季節コーナーを作る(5)その素材が一番美味しい時期に販売し、3カ月の区切りにはこだわらない――などです。
 季節商品は、売れていても季節が終わったら販売を終了することにより、また来年の同じ時期に販売ができますし、お客様も待ち望むようになります。
 なぜないのか、と聞いてくるお客様に対しては、「一番美味しい時期だけ販売したいのでまた来年販売します」と説明しましょう。そして新しい季節商品をすすめると良いと思います。
 春夏秋冬の季節商品を決めておくことにより毎年入れ替えしないで販売が出来ます。

スタッフの意見を商品にとり入
 最後に店長やお店のスタッフのオリジナル商品を加えます。これは自分たちの商品が売れる喜びを従業員全員に味わって欲しいからです。
 ヒット賞や社長賞を作って表彰すれば、一層励みになると思います。
 店舗の責任者だけが製品を考えるのではなく、アルバイトの意見もとり入れれば、スタッフのやる気が出てきますし、仕事の楽しさが感じられる職場になると思います。
 またスタッフ全員の意見をとり入れることで、商品が偏ることを防げる効果も出て来ます。



4つのカテゴリーの商品群を、グラフを使って視覚的に理解する

表とグラフで商品バランスをみる
 以上4つのカテゴリーの製品を図1のようにまとめて、図2のグラム重量表に当てはめて考えます。
 するとその店舗の製品でどこの項目が少ないかが、表によって見えてきます。
 基本商品は価格の高い商品と安い商品があって、重量も大小色々あり、バランスが良く、戦略商品は価格が高い商品が多く、重量は大小色々な製品があることが分かります。また、季節商品と店長オリジナル商品は比較的販売金額が高く重量が小さいパンが多いことが分かります。
 このように品揃え全体を系統立てて理解することが大切です。製品を作る時には、まずお客様の望んでいる商品は何かを考えた上で、次にどこの商品が弱いかを確認し、弱い部分の商品を充実させるようにしましょう。すると品揃えのバランスが良くなります。
 一度表を作って自店の商品を書き込んでみてください。

レジ横で衝動買いを誘う
 最後に買いやすい価格があるか、について簡単に説明します。
 買いやすい価格とは、100円以下のことだと思います。
 特に50円から80円くらいまでの商品は、レジの横に置いて販売しましょう。
 前回、お客様が使う金額は変わらないと書きましたが、レジの横に置くことにより精算前の衝動買いを誘えば、客単価が上がります。毎日のことになればかなり違ってきます。日替わりや月替わりでミニクリームやシューケット、ミニパイ、カリント、ミニケーキドーナツなどをレジ横に置いて販売すると良いと思います。
 自店の商品構成を表にして、欠けている商品の大きさや金額を自分自身で理解した上で商品開発を行って欲しいと思います。
 次回は製品の販売方法について考えていきたいと思います。








原価計算女王
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