オーナーの思いは顧客に伝わっているか!? - ベーカリー出口調査 - ブランスリー電子版

2026年10月21日に公表されたPHPの脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)については、いずれも対策を完了しています。

ブランスリーアーカイブ(創刊号からの全記事)
記事の閲覧
<<戻る写真をクリックすると拡大写真が見られます。
特集/2003年8月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


オーナーの思いは顧客に伝わっているか!? - ベーカリー出口調査

杉並区のあるベーカリーにお願いして、来店客へのアンケートを実施した。
同ベーカリーを来店客がどう評価しているかなどについて、様々な質問をぶつけてみた。
さらに同ベーカリーのオーナーに、アンケートの集計結果をどのように解釈するかについて聞いた。

アンケートの方法
7月中旬、杉並区のあるベーカリーの出口に本誌記者が立って、買い物を終えて出てきた客に、回答を依頼し、直接聞き取る形で実施した。一部回答者には、店内のイートインスペースで休んでいるときに、アンケート用紙と筆記用具を渡して、回答を書き込んでもらった。
回答者は合計20人で、女性18人、男性2人。年齢層は、20代3人、30代3人、40代5人、50代3人、60代1人、70歳以上5人。
既婚の人が17人、未婚の人が3人。
職業は、専業主婦9人、会社員5人、会社役員1人、自営業3人、学生1人、パートタイマー1人。住所は杉並区12人、世田谷区1人、中野区5人、練馬区2人。



他にないパンがある、と評価。ペンネのトルティーヤなど

オーナーのパンへのこだわりを感じる
 「この店のどんな点を評価しますか?」(複数、選択式回答)と聞いたところ、「パンがおいしい」が16人でトップ。
 「来るのに便利」(11人)、「好きなパンがある」(10人)、「価格が手頃」(8人)、「店のポリシーを感じる」(7人)などと続く。さらに、「品揃えが豊富」が5人、「接客がよい」が4人、「新商品がよくでる」「いつ来ても飽きない」「焼きたてが多い」がそれぞれ3人ずつ、「入りやすい」が2人など。(グラフ2)
 アンケートでは、さらに同じ意味合いの質問で「このお店について『いいな』と思う点は何ですか?」(自由口述または記述式回答)と聞いた。
 「甘酸っぱいパンがあるのでよく買う」(40代女性)、「野菜を使ったパンがたくさんあって、嬉しい」(60代女性)など、お気に入りのパンがあるという人が目立った。
 また、「『こういうの初めて』というパンがあるのがいいです」(20代女性)、「ペンネのパンなど他にはない変わったパンがあっていいと思います」(50代女性)、「パンの味に個性があっていいと思います」(50代女性)といった声が聞かれ、他では売っていないパンが評価されていることが伺われた。
 同ベーカリーでは、ペンネやエビチリなどを包んだトルティーヤ、果物の果汁を仕込み水に使ったカンパーニュや食パンなどを販売しているが、別の質問で「この店でよく買うパンを3つあげてください」(口述または記述式回答)に対する回答で、こうしたパンの名前が比較的多くあがった。
 一方、「『開店のための修業したい人求む』という募集の貼り紙がしてあったり、こだわりの卵が売っていたり、オーナーのパンに対するこだわりがひしひしと感じられます」(50代女性、主婦)、「オーナーとはよく話をしますが、パンにこだわっている感じが伝わってきます」(70歳以上女性)といった声が聞かれ、店のこだわりを、店内のポップなどや、オーナー自身の立ち振る舞いなどから感じていることを伺わせた。

客単価は568円だが、バラツキがある
 こんなパンも作ってほしいというパンがあったら教えてください」(複数、口述または記述式回答)との質問に対しては、「ベーグル」が2人。あとはすべて回答者が1人で、「カスター入りの軽くてふわふわしたパン」「クロワッサンサンドイッチ」「くるみのクイニーアマン」「メロンパン」「ドイツパン」「バゲットサンドイッチ」「コーヒー牛乳」「動物パン」「和風のパン」の名前があがった。(グラフ1)
 アンケート集計後、同ベーカリーのオーナーに聞いたところ、「カスター入りの軽くてふわふわしたパン」「クロワッサンサンドイッチ」「バゲットサンドイッチ」「コーヒー牛乳」は製造販売しているか、販売しているとのことだった。(14〜15ページのオーナーのコメント参照)
 アンケートではこのほかにも様々な質問をした。
「同ベーカリーへ週何回来店しますか?」との質問に対する回答の平均値は、1・41回、最も頻度が高い人は週4回、最も頻度が低い人は年1〜2回だった。
 「あなたはこのお店で1回の来店で平均していくら使いますか?」との質問に対しての回答の平均値は、568・4円だった。最も低かった人は200円、最も高かった人は2人いて、1200円だった。この質問にたいしては、200円から1200円まで、比較的均等に散らばっている感じなのが特徴的だった。
 この点について、同ベーカリーのオーナーは「うちの品揃えが影響しているのではないか」とコメントした。(16ページのオーナーのコメント参照)






こちらが意図したことが伝わっていて、素直に嬉しい

アンケートで人気の高かったファーブルトン


アンケートで人気の高かったエビチリのトルティーヤ
他では売っていない商品が多い
 「この店について『いいな』と思うことは何ですか?」との質問に対して、「他に売っていない商品がある」との声が比較的多く聞かれた。具体的品目としては、「ファーブルトン」「エビチリのトルティーヤ」「ペンネのトルティーヤ」「ブルーベリーの丸いパン」などの名前があがった。この点についてのオーナーのコメント
 こちらが意図したことがお客様に伝わっている感じがして素直に嬉しい。しかし、「ただ突飛で珍しいだけの他にない商品」ではだめだと思います。うちの取り組み方としては、商品名と外観で多くの人がある程度味が想像できるとう範囲で、個性ある商品を作るようにしています。例えば、「ペンネのトルティーヤ」についていえば、「ペンネ」は、多くの人にとって、親しみのあるパスタだと思いますし、名前は知らなくても見たことはある、とか食べたことはある、という素材だと思います。
 「トルティーヤ」も多くの人にとって、少なくとも「見たことも聞いたことも食べたこともない」という素材ではありません。「ペンネをこういう形で食べてはいかがですか」という提案なんです。組み合わせのおもしろさみたいなもので、新しさというか個性を出したつもりです。
 また、エビチリのトルティーヤについては、エビチリは、日本人にとって最も馴染みのある料理のひとつですが、特別なときにしか食べないというイメージがあると思います。それをこうした形でスナック感覚で食べられる、というところに新しさがあると考えました。

動物パンにまで手がまわらない
 「こんなパンも作ってほしいというパンがあったら教えてください」との質問に対する回答についてのオーナーのコメント
 まず動物パンについてですが、現在の体勢では、動物パンまで手がまわらない、というのが正直なところです。以前はキャラクターパンや動物パンを作っていて、結構人気がありました。今でも作ってほしいといわれることもあります。作れば売れるということはわかっていますが、他に力を入れている分野があって、どうしても出来ません。
 ベーグルという声が2人からあがりましたが、これも以前は作っていました。
実は10年以上前から作っていたのですが、今は作っていません。
 なぜかというと、ベーグルがブームになって、粗悪な商品が世の中に氾濫するようになり、そういうベーグルと比較されてはかなわないということで、今はあえて作っていないんです。
 ドイツパンも昔やっていた時期があります。というのは、近くにドイツパンが好きな外国人がいて、その人を年頭において作っていたのです。注文生産のようなものでしたが、店頭に並べることもありました。
多分そのときに買ったか、見たかした人が「ドイツパン」と答えたのだと思います。
 メロンパンについてですが、いわゆるメロンパンはやっていませんが、「バレンシア」といって一風変わったメロンパンに近いものは製造しています。個性的な商品と考えてのことですが、やっぱり一見してメロンパンとわかった方がいいのでしょうか。
 バゲットサンドイッチ、クロワッサンサンドイッチ、カスター入りの軽くてふわふわしたパンについては、作っています。あまり頻繁に来店しない方が、品切れのときに来られたのかと思います。
 カスター入りの軽くてふわふわしたパンについて、自分としてはそのようなパンを作っているつもりなのですが、ひょっとしたらもっとふわふわしたパンを求めているのかも知れません。
 当店の場合は、注文を受けないと作らないパンも結構多いんですよ。
 ですから、例えば、あるお客様から店内でパンの予約を受けているときに、たまたま居合わせた別のお客様から「そん商品もあったんですね」といわれることもあります。
 予約専門の商品が口コミで人気になって、予約がある程度多く入るようになると、うちでは「一般商品」と呼んでいますが、見込み生産する商品の仲間入りをさせることもあります。

丁寧過ぎて元気が感じられない!?
 「この店のどんな点を評価しますか?」との質問に対する回答についてのオーナーのコメント
 「パンがおいしい」「好きなパンがある」「店のポリシーを感じる」「接客がよい」などの評価は、励みになります。
 ただ、「接客がいい」の評価に対して、「店に活気がある」と答えた人がいなかったことを考えると、逆に丁寧過ぎて元気が感じられないのかも知れないということはひしひしと感じます。
 また、「衛生的」と答えた人が1人と少なかったことも気になります。
 例えば、店の前に煙草の吸殻がたまたまひとつ落ちていたとしても、そこから「あ、この店は掃除が行き届いていないのかな」などと全体を評価されてしまったりするので、気をつけなければならないと思います。

単価のバラツキについての考察
 客単価のばらつきが多かったことについてのオーナーのコメント
 多分、うちの品揃えが影響していると思います。500円以上の商品も多く、結構力を入れていますので、例えばそういう商品を1つ買って、あと菓子パンなどを3つぐらい買えば、もう1000円になってしまいます。 200円という人が1人いましたが、それは食パン1斤をいつも買う方だと思います。多分うちでは食パンを買って、他のパンはこことここで買う、というように使い分けているのではないかと推測します。でも、「食パンをうちで買っていただける」ということは嬉しいことだと思います。
 単価のバラツキについては、うちの品揃えの関係で、パンを買うパターンがいくつもあるからだと思います。



改善できる点はすぐにでも改善したい

1人の指摘は100人の指摘
 改善した方がいいとの指摘を受けた項目についてのオーナーのコメント
 「ドアが開けづらいことがある」との指摘については、正直言ってそこまでは気づいていませんでした。しかし、そういう指摘が出た以上、改善する方向で検討しなくてはならないと思います。「店頭をもっと花で飾った方がいい」との指摘については、実は以前は今よりずっと店頭にいろいろな植物を置いていたんです。たまに花屋さんと間違われることもあったぐらいでした。ところが、よく盗まれるんですよ。鉢ごと持っていく人もいれば、引っこ抜いて持っていってしまう人もいました。 一部のこうした心ない人のために、こちらとしてもいやな思いをして、モチベーションを低下させるより、いっそのこと花をたくさん飾るのはやめた方がいい、という結論に達したんです。しかし、今でも前ほどではありませんが、店頭に植物は飾っていますけれど。
 アンケートに答える場合は、いいことは強調して話し、悪いことは控えめにしか言わない傾向があると思います。今回のアンケートで、指摘を受けた点については、たとえ1人の指摘であっても、実際はその何十倍も同じように思っている人がいる、と受け止め、改善できるところはすぐにでも改善していかなくては、と考えています。



回答者の声

●甘酸っぱいパンがあるのでよく買います。せっかく来たのに休みの時はがっかりします。40代女性、主婦、中野区、来店頻度週2回
●自由にパンを選べるのがいい。押し売りっぽくないのがいい。低い位置に陳列してあるのでパンが見やすい。70歳以上女性、主婦、中野区、来店頻度週2回
●なんとなく店の雰囲気がいい。店員が感じがいい。ベーグルがあったらいいなと思います。30代女性、会社員、杉並区、来店頻度半年に1回
●「こういうの初めて」というパンがあるのがいいです。生地がおいしい。ハンバーグの入ったパンはもっとおいしい方がいいと思います。20代女性、学生、世田谷区、来店頻度週4回
●こだわっている感じが伝わってきます。安心感があります。パンが裸で置いてあるのが少し気になります。なんとなく奥のパンを取ってしまいます。70歳以上女性、自営業、杉並区、来店頻度週1〜2回
●ここのパンが一番おいしいので、よく買いに来ます。20代女性、会社員、杉並区、来店頻度週1回
●店員が付きまとわないのがいいと思います。自由にパンが選べます。「開店のための修業をしたい人求む」という募集の貼り紙がしてあったり、こだわりの卵が売っていたり、オーナーのパンに対するこだわりがひしひしと感じられます。この店のホームページもおもしろいと思います。店の正面を花などでもっときれいに飾ったらいいと思います。試食がたくさんあって、いいと思います。特に新しい商品だと見ただけでは味がわかりませんから。50代女性、主婦、練馬区、来店頻度週1〜2回
●コーヒーを飲みながら一休みできるのがいいと思います。試食提供もとてもいいと思います。40代女性、主婦、杉並区、来店頻度月3回
●一度にたくさん出さないで、こまめに焼いているように感じます。コーヒーが飲めるのがいいです。喫茶店に入るとコーヒー1杯でも結構な値段ですから。70歳以上男性、会社役員、杉並区、来店頻度週2回
●野菜を使ったパンなどがたくさんあって、嬉しい。夜遅くまでやっているのもとても便利です。メロンパンがあったらいいなと思います。60代女性、パート、杉並区、来店頻度週1〜2回
●手作りでおいしい。接客もいいと思います。70歳以上女性、主婦、杉並区、来店頻度週1回
●パンが見やすくていいと思います。おいしいし、接客もいいと思います。30代女性、主婦、杉並区、来店頻度週1回
●保存料を使っていないのがいい。お店で食べられるのもいい。よく子供とおやつを食べに来ます。量り売りのパンを時々サービスしてくれて嬉しい。子供向けの飲み物があったらいいなと思います。30代女性、主婦、杉並区、来店頻度週1回
●ここのコッペパンをよく買います。家でいろいろはさんでサンドイッチにすると家族が喜びます。70歳以上女性、主婦、杉並区、来店頻度週3回
●コーンパンなど他にはない変わったパンがあるのがとてもいいと思います。入り口のドアが入りづらいと思うときがあります。50代女性、自営業、中野区、来店頻度月1回
●パンの味に個性があっていいと思います。駅前の店では食パンを買い、この店ではそれ以外のパンを買います。1回だけ、朝来たとき、前の日のパンと思われるパンが並んでいました。50代女性、会社員、練馬区、来店頻度週1〜2回
●一生懸命さが伝わってきます。40代男性、自営業、杉並区、来店頻度年1〜2回
●イギリスパンとバゲットは味が出ていると思います。シンプルなパンは味がわかりやすいのですが、とてもおいしいと思います。袋にたくさん入ったお買い得の商品もあったらいいなと思います。40代女性、会社員、中野区、来店頻度週2〜3回
●手作りのお店という感じがします。20代女性、会社員、中野区、初めて来店

原価計算女王
原価計算女王

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

今月の公開記事

  1. POLINの高性能オーブンを日本市場へ 。450℃の焼成力と緻密なヒーター制御 - スズキ産業の下河拓磨社長
  2. 見やすい売り場と旬の味で、地域が誇れるベーカリーへ - アリマベーカリー
  3. 「ちいかわ」の世界観を表現したパンと店づくり - ちいかわベーカリー
  4. 掲載から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文を公開しています。
    ブランスリーアーカイブ
ブラ立ち読み
(記事の無料メール配信)
詳細はこちら