ナショナル・ブランドを凌駕? / コンビニのプライベート・ブランドのパワー  - ブランスリー電子版

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食のトレンドを追う/2010年6月号

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ナショナル・ブランドを凌駕?
コンビニのプライベート・ブランドのパワー 
「プレミアムライフ向上委員会」(https://tsukurou.7premium.jp/p/f/Top)「セブンプレミアム」のホームページでは、購入者の意見や商品開発の要望などが書き込める
 リーズナブルをモットーに、スーパーマーケットから展開され始めたプライベート・ブランドが、昨今、コンビニエンスストアで勢いを増している。お菓子はもちろん、ペットボトル飲料や調味料、さらには洗剤などの日用雑貨なども登場。ジャンルを問わない豊富な品揃えは、ナショナル・ブランドを凌駕するような勢いだ。



「セブンプレミアム」のヒット商品の1つがポテトサラダ(120グラム入り118円)。また、レトルトビーフカレー中辛(210グラム入り88円)もイチオシ商品だそう
 コンビニエンスストアに対して抱く一般的な印象は、「利便性と値引きなしの商品販売」だろう。しかし、ドリンクとお弁当のセット買いで割引キャンペーンがあったり、不定期で商品の値下げキャンペーンをしていたりと、そのスタンスが様変わりしてきている。低価格競争にも参入してきているようだ。その代表格は、「よい品質の商品を値ごろ価格で提供する」ことを目的としたプライベート・ブランド(PB)だ。
たとえば、セブン-イレブンでは、セブン&アイ・ホールディングスグループの「セブンプレミアム」、ミニストップではイオングループの「トップバリュ」、ローソングループでは、「ローソンストア100」で多く展開されている「バリューライン」などが、それぞれコンビニを代表するPBと言える。
特にセブン-イレブンでは店頭でのPBの比率が高く、統一されたパッケージデザインのPB商品がずらりと並ぶ様は壮観だ。お菓子の棚などでは各ナショナル・ブランド(NB)の新商品がいち早く並ぶ「トレンド感」が消費者にとっては大きな印象であったコンビニだが、PBの普及によって、そのあり方が変わってきているようである。



PBの存在感が目立つセブン-イレブン
大ヒットとなった日米同時発売の「セブンプレミアム」のワイン。赤はカベルネ・ソーヴィニヨン種、白はシャルドネ種を使用
ローソンの「おやつごろ」は、各メーカーのカンバン商品と同じような商品には、パッケージにメーカーのラベルを表示している
ファミリーマートの「ぼくのおやつ」では、メーカーのラベルの有無はまちまち(写真左奥は東ハトが製造、同社でも同様の商品「ビーノ」がある。写真手前はブルボンが製造、同社でも同様の商品「チョコ&コーヒービスケット」がある)

コンビニのPBお菓子は、大手メーカーの製造によるものも多い。小売店側の戦略の違いがあるのだろう
 セブン-イレブンのセルフサービスのコーヒースタンド「バリスターズカフェ」は、PBの台頭を象徴的するサービスといえる。ロゴマークはスターバックス風で、ブレンドコーヒー(ホット)とアイスコーヒーは価格は税込100円。備えつけのシナモンやココアのパウダー類やキャラメルシロップが無料でかけられる。そんな方法もスタバ風だ。淹れたてのコーヒーが楽しめるため、缶コーヒーよりもこちらを愛用する人は多いだろう。
 さらに、「セブンプレミアム」では、菓子、デザート類、インスタント食品、惣菜、ペットボトル飲料、食用油、調味料など食品の充実はもちろん、食器用洗剤、トイレットペーパー、電池などの生活雑貨も広く扱う。同ブランドは、07年5月から発売を開始し、セブン-イレブン、イトーヨーカドー、ヨークベニマルなど業態を超えて展開されている。商品はメーカーとチームを組んだマーチャンダイジングによって開発。「日用品を納得の品質で低価格に提供する」というのがモットーだ。最初は49アイテムでスタートしたが、消費者の後押しのもとに約3年で順調に商品数が増え、「海外店舗も含め、2011年2月期でアイテム数約1300点、売上約3800億円を目指す」(セブン&アイ・ホールディングス広報センター、福田愛氏)という。(ちなみに、現在の商品展開アイテム数は、膨大すぎるためすぐには算出できない、とのことだった)
 さらに昨年11月、「セブンプレミアム」では、グローバルマーチャンダイジングとして、初の世界共同PBであるワインを日米で同時発売した。国内大手ワインメーカーであるメルシャンとのチーム・プロジェクトでもある。日本でボトリングすることで物流コストを抑え、税込598円での発売が可能となった。
 「発売後1年間で300万本の売上目標」との意気込みであったが、発売から20週間で赤100万本、白60万本以上を売上げるヒット商品となった。ワインに続く世界規模商品として、コーヒーやお菓子などの開発も予定しているという。



メーカーとの関係


 しかし、魅力的なPBが増えると、それだけNBにとって脅威となるはずだ。
 PB商品はそれぞれのジャンルを代表するメーカーが製造を担当するケースも多く、メーカー側にとっては自社商品が目立たなくなってしまうマイナス面もある。複雑な思いもあるのではないだろうか?
 しかし、セブン-イレブン側は、PBによるNBの凌駕を否定する。
 「たとえばお菓子のジャンルで見た場合、セブン-イレブンでは、5つのPBがあります。『セブンプレミアム』『小さなお菓子屋さん』『まちのお菓子屋さん』『職人かたぎ』『極上のひとくち』です。しかし、これだけあるとPBだけで棚を取ってしまうので、前者3つを『セブンプレミアム』に一本化することにしたんです。同じかりんとうなのに、PBだけでいくつも種類があるとお客様も選びにくいし、NBの商品を置くスペースを広げる意味もあります。お客様が自由に商品を選択していただくことが第一ですので、決して店舗を『セブンプレミアム』一色にするという意図はありません」(福田氏)



コンビニにおける新しい「トレンド」のあり方とは

 PB隆盛の背景には、客層の変化もあるようだ。
「確かに、お客様の層が広がり、高齢者や働く女性の利用者が増えたと思います。『近くの便利な店』というセブン-イレブンのモットーは変わることはありませんが、常に、お客様のニーズに応えられるサービスの提供を心がけています。たとえば、お年寄りの方が遠いスーパーまでお米や生活用品を持って帰るのは大変だろうな、忙しいワーキングウーマンが、夜遅くに遠くまで買物に出るのは物騒だな、という視点から、お米や生活用品の取扱いを始めました」(福田氏)
 確かに、値ごろ感のあるPBが目立つと、その分コンビニならではの若者向けのトレンド感が薄まる。また、スーパーなど業態を横断したPB展開であれば、コンビニとスーパーの役割もあいまいになってしまいかねない、という疑問も生じる。
 しかし、現在のコンビニの役割とそのトレンド発信の手段は、陳列される商品の品揃えだけではない。24時間利用できるATMや、行政サービス、電子マネーなどもコンビニの重要な役割になっている。フェアトレードやエコにつながったりするという商品の製造過程なども、トレンドを映し出していて、魅力のひとつであると言えるだろう。業態としてより進化したコンビニにおけるPB展開は、コンビニの存在感を損なうものではないと言うことなのだろう。(U)

原価計算女王
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