新たな地の看板商品 - パン工房YAMANAKA - ブランスリー電子版

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お店拝見/2003年8月号

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新たな地の看板商品 - パン工房YAMANAKA

パン工房YAMANAKAの外観
「売れ筋のパンがまるで違う。
以前看板商品だったパンドミがあまり売れない。今は手探りで顧客のニーズを探っています」
今年5月29日、山梨県甲府市から静岡県三島市に場所変えしてリニューアルオープンしたパン工房YAMANAKAの山中晃オーナーはこう話す。

静岡県三島市松本274-6
電話0559-77-4610
営業時間 午前8時〜午後7時、日曜・祭日定休



天然酵母の山食を提案。意外と変わったパンが売れる

看板商品代市候補の天然酵母山食


山中晃さんと五月夫人。
 山中さんは、リテールチェーンのモンタボーなどを経て、五月(さつき)夫人と共に、山梨県甲府市で最初の店を開いた。そこで10年間、地元の人たちとパンを通じて関わってきた。パンドミが看板商品だった。何をどれくらい作ればいいかが手に取るようにわかっていた。
 今年5月末、五月夫人の実家の静岡県三島市に住居兼店舗を建て、新たなスタートを切った。
 「山梨の店は通りから細い道を入った場所にありました。今度の店は県道沿いで、近くには大きな工場が多く、学校もあって、立地的にはずっといいと思います」(山中さん)
 当然、売上倍増と意気込んでのオープンだった。
「やはり場所が違うと、売れる商品もかなり違いますね」と山中さんはいう。現在は山梨の店で看板商品だったパンドミに変わる商品を模索中だ。一番の候補は、天然酵母山食(1斤220円)だ。出入りの問屋からの紹介で、ある酵母製造会社の天然酵母を知り、パンを試食したところ、「これはいける」と思った。五月夫人も同じ意見だった。商品化してまだ1カ月弱だが、徐々に浸透しつつあるという。
 同じ酵母で作るバタール(180円)とリュスティック(120円)の動きもまずまずだ。2製品とも同じ生地から作り、もっちりとした食感が印象的で、日本人が好む味と食感に仕上がっている。
 山中さんは、「意外と変わったパンが売れるんですよ」といった。たとえば、「カレンズ」(300円、配合と工程を20ページに掲載)。カレンズを練り込んだ高配合の生地に、メッシュローラーにかけた網状のクロワッサン生地をかぶせて焼成する商品で、1日10〜15個程度売れるという。かぼちゃのペーストを包んで花びらのようにカットした「パンプキン」(250円)も予想以上に売れ行きがいいそうだ。
 試行錯誤の毎日とはいっても、オープン当日は40万円を売り上げた。
 現在も、夏に向けての時期にもかかわらず、日商10万円前後で推移している。客単価も約700円と高い。



夕方の来店客が多い。競合店は近くにはないが・・・

パンプキンパンなど変わった商品が以外に売れるという。


サンドイッチ類が並ぶ棚
 同ベーカリーは、JR東海道新幹線・三島駅からバスで約15分の県道沿いにあって、6台を収容する駐車場を完備している。周りにはオムロンをはじめ、大きな企業の工場などがあって、当初は昼食需要に大きな期待を寄せていた。サンドイッチなど、昼食向けの商品を充実させて万全の態勢で望んだが、「思ったほどではなかった」(山中さん)。
 むしろ、夕方の売れ行きがよかった。「通勤帰りと思われる人たちが夕方買いに来ることがかなり多いんですよ」と山中さんはいう。
 五月夫人は「夕方に多くパンが並んでいるようにと、遅い時間の焼き上がりをなるべく多くと心掛けているのですが、ロスのリスクがありますので、難しいんですよ。山梨のときほどお客様の来店パターンもまだつかめていないですしね」と話す。
 近くに競合店はないが、山中さんは「皆さん車が移動手段なので、例えば修善寺などの有名ベーカリーも競争相手だと考えています。すぐ近くで買うか、車で走って買うか、お客様にとっては距離的な差はあまりないのではないかと思います。修善寺で買わないでうちで買ってもらえるようにしなくてはなりません」。



顧客とのやり取りの中から地域のニーズを探っていく

メロンパンにバターをサンドした「メロンバター」
 山中夫妻は新天地でも、顧客とのコミュニケーションに余念がない。五月夫人の明るく澄んだ声が、店内に響き渡り、顧客の買う気を誘う。
 五月夫人は「主人はお客様からこういうパンを作ってほしいといわれると全力で取り組むんです。いいことだと思いますが、品数がどんどん増えていってしまうんですよ」と苦笑い。今は、いろいろと思いをめぐらせて、様々なパンを試食とともに提案して、顧客の声を聞き、顧客が求めるパンを探っている段階なのだ。
 パン工房YAMANAKAは、売り場面積約5坪、製造スペースが約10坪。製造は山中さんと五月夫人の2人三脚に、製造補助のパートスタッフ2人が加わる。五月夫人は販売も担当する。このほか販売担当とサンドイッチ担当の女性パートスタッフ1人ずつ。パートは、担当以外の仕事もこなし、常時3人の体勢。当面の売上目標は、日商15万円だという。



見た目も豪華。値段もそれなりだがよく売れる
カレンズ
 カレンズを練り込んだ生地をクロワッサンの生地で包み焼き上げる。人気商品のひとつだ。
【配合%】
強力粉 90
薄力粉 10
砂糖 15
塩 1・2
全卵 10
マーガリン 10
生クリーム 8
生イースト 3
水 50
カレンズ 80

【工程】
ミキシング L2分M3分(マーガリン投入)L2分M8分(カレンズ投入)L2分、
捏ね上げ温度 27度C、
フロアタイム 1時間、
分割 300グラム、
ベンチタイム 20分、
成形 (1)クッペ形に成形
(2)クロワッサン生地を10×15センチにカットして、メッシュローラーにかける
(3)[1]に[2]をかぶせる、
ホイロ 32度C80%1時間、
焼成 210度C20分(スチーム注入)

円柱状のデニッシュ食パンが、人気商品に!
デニッシュ食パン
 円柱状のトヨ型で焼き上げるデニッシュブレッド。
【配合%】
強力粉 90
薄力粉 10
砂糖 8
塩 2
全卵 6
マーガリン 6
生クリーム 10
生イースト 4
水 50

【工程】
ミキシング L3分(マーガリン投入)L3分M5〜6分、
捏ね上げ温度 25度C、
フロアタイム 30分、
大分割 2300グラム後、マイナス15度Cの冷凍庫で1時間冷やす、3つ折り3回(折り込み油脂対生地40%、スイートミルク使用)、
成形 (1)最終生地厚5ミリにのばし、16等分にカット
(2)カットした生地2つを2つ編みにする
(3)[2]を円柱状のトヨ型に入れる(比容積3・8)、
ホイロ 32度C80%2時間、
焼成 210度C32〜35分

原価計算女王
原価計算女王
独特のもちもち感がある天然酵母使用のハースブレッド

リュスティック


バタール
リュスティック バタール
 両製品とも、もっちりとした食感がかなり強く、食べやすく仕上がっている。リュスティックが1個120円。バタールが1個180円。
 天然酵母を使用。現在リュスティックが1日15個前後、バタールが1日10個前後売れているという。
 「毎日でも食べてもらえる定番商品を育てたい」という山中さんの願いから生まれた商品だ。
 「天然酵母のパンを、一部の限られた人たちだけではなく、子供から大人まで、多くの人たちに食べてほしいと願っています」と山中さんはいう。


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