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セミナー/2010年5月号

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不景気の今、「売れるパン屋の作り方」‐日本パンコーディネーター協会
講師=船井総合研究所フードビジネスグループ経営コンサルタントの今野良香氏/経歴=ベーカリー・菓子業を中心とした製造小売業、酒販店、土産物店など「女性客がターゲット」の多岐にわたる業種での活性化を支援。「コストをかけないリニューアル」や女性の視点を大切にした販促戦略で多くの成功事例を持つ。
 日本パンコーディネーター協会(東京都世田谷区)は、東京・中央区の日清製粉小網町ビルで3月2日、船井総合研究所フードビジネスグループ経営コンサルタントの今野良香氏を講師に迎え、「売れるパン屋の作り方セミナー」を開催した。
 テーマは「3カ月で売上2ケタアップする! パン屋さんのマーケティング術」。客層別の販促方法や長所進展法など、不景気に売上げをアップするためにすぐ実践できることについて、事例を交えて解説した。同セミナーは同じ内容で、5月18日、大阪でも開催される。さらに、「売れるパン屋の作り方セミナー」の第2弾として、同じく今野良香氏を講師に迎え、「5倍売れるようになる!パン屋さんの手書きPOP作成術」のテーマで、5月11日に日清製粉本社ビルで、7月13日にオリエンタル酵母工業大阪工場で開催を予定。



不景気時の売上アップは客数アップと固定客が鍵

 5年ほど前から不景気になったと感じることが多い。この不景気はいつまで続くのか。景気には上下する波があり、その波は9〜10年周期で繰り返す。
 今続いている不景気は2011年が底だと言われているが、あと2年間はこの状態が続くだろう。今回紹介する売上げアップの方法は、不景気の時期に合わせたやり方だ。
 不景気のときは客単価が落ちる。そこで不景気に売上を上げるために大切なことは2つ。
 まず一つめは、客数を増やすこと。目安は前年の130%に増やす。そうすると、105〜120%と安定した推移で、売上はアップする。しかし、言い換えると、客単価は80%台になっている可能性もある。だから、不景気に客単価を上げようとは考えないこと。
次に、固定客を大切にすること。来店頻度の高低でお客様の「階層」を分けると、上層部の2〜3割のお客様が、売上げの7〜8割を支えているからだ。来店頻度の低い新規のお客様などを固定客化していくことも重要になってくる。



パン業界は今、斜陽期にきている

 どんな業界にも共通する「ライフサイクル」があり、これは導入期、成長期、成熟期、斜陽期に分けられる。最も進んでいるのは衣料業界。パン業界の10年先を行っているといわれているので参考にするといいと思う。
 日本に導入されてから比較的新しい方であるパン業界であるが、今はもう斜陽期に来ている。これまでを振り返ると、販売面積や種類、量などが多い店舗が繁盛していたのが導入期。成長期には、低価格で安心して買える店が喜ばれ、成熟期になると、より一層の美味しさと質の良さが求められた。美味しさは人によって違うので、「おいしそう」に見せるということがポイントで、窯の見える店作りなども例の一つだ。
 これらの時期を経て迎えた斜陽期は、オーナーの思いやこだわりなど、店のコンセプトが大事になる。



即時業績向上には長所を伸ばす

 悪いところや苦手なものは克服するのには時間がかかる。それとは逆に、良いところや得意なものは、自ら進んで取り組める上に楽しく行える。この仕組みを利用するのが長所進展法で、即時業績向上に繋がる。
 伸ばしていくべき長所は、「得意なもの」(自社にしかない商品・サービス)、「伸びているもの」(一部門でも良い。客の支持が上がってきているもの)、「自信があるもの」(他社と比べて絶対的に良いもの)、「よく儲かるもの」(原価の低いものなど)などがある。



マーケティングで大事な「一番化商法」

 「ほかにもパン屋があるのに、なぜ私はあなたのお店でパンを買わないといけないの?」と問われたとき、何と答えるか。次の4つの項目で「一番」を持っていれば即答できるはず。
 ?どこで(商圏) ?なにで(商品) ?誰に対して(客層)?どうやって(販促)
 これらの4つの項目について、どんなに狭く絞っても良いので、「地域で一番店」になることが大切だ。マクドナルドも、日本に上陸したときは「6
歳までの子どもたちの間で一番になろう」と決めていた。
 また、日本で一番高い山は富士山。では、二番目に高い山は、と聞かれて答えられる人が少ないように、1番と2番の差は、2番と100番の差より大きいのだ。

販促手法はお客様の階層別に検討する
 お客様は、来店頻度の高低で6つの層(図1参照)に分けることができる。頻度の高い順に、「信者客」「ファン客」「友人客」「知人客」「新規客」「見込客」。
 売上の7〜8割を支えるのが信者客、ファン客、友人客の「固定客」で、売上げの2〜3割が知人客、新規客、見込客だ。
 信者客には、1対1の接客を大切にすること。また、ポイントカードなどで名簿がある固定客には、店内ツールやDMをメインの媒体とし、進物カタログやシークレットセール、来店イベントなどの企画を知らせると良い。
 新規で客を獲得するには、地域情報誌やチラシで行列を作るようなイベントを企画して知らせると良い。
 販促の手段に使う媒体はそれぞれ、新規客向けか、それとも既存客向けか、また、速効性を求めるか、遅効性を求めるかで異なる。効果的に使い分けることが大切だ。
 費用もそれぞれ異なる。参考費用は、
店内ツールやプレスリリースは0円、ダイレクトメールは1人80円。チラシは1人300円。携帯電話は1人10〜20円。
 近頃、利便性が向上してきているのが携帯電話によるダイレクトメール。客が店の会員になるための登録方法が、簡単にできるようになり、手軽さが増した。また、費用も手頃で反響率もよいので、費用対効果が高い。「知人客」には、携帯電話を使った販促でゆるい会員組織を作ると、後に固定客にしていける可能性が高まると思う。
 送信する内容は、ポイントの付与、早期予約、限定商品、タイムセールなどタイムリーな話題が向く。1週間に1度くらいの頻度で配信すると良い。それ以上だと解約されてしまう。また、挨拶やオーナーやスタッフの近況などを添えて、人対人を意識した文面にすること。
 携帯電話も実際に使ってみて、お客様の気持ちになってみるのも大事だと思う。
 ◇ ◇ ◇
 お金をかけずに力だけでどうにかなることはたくさんある。「1番」にはナンバー1、元祖の意味のファーストの1などがあるが、「オンリー1」を探して、それを長所として伸ばして欲しい。
 最後に残るのは、本当に美味しくて、ただし、味以外でもお客様を感動させられる店だ。コンセプトのない店は衰退してゆく。

原価計算女王
原価計算女王

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