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特集/2010年4月号

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東アジア戦略の拠点としての上海‐三幸機械
中国戦略について語る三幸機械の田中利政専務
 毎年大きな経済発展を続ける中国だが、その製パン製菓産業も目覚しい発展を続けているという。そんな中国のベーカリーにとって、日本の製パン製菓機械メーカーが、一種のブランドになっているという。今回は「中国市場における日本の製パン機械メーカーの取り組み」にスポットを当て、三幸機械の田中利政専務に話を聞いた。



日本のメーカーは認知度が高い  

―――中国に進出された時期と、その理由は?
田中 東アジアのシェアをとっていこうということで、7年前に上海に「三幸機械(上海)有限公司」という会社を設立しました。
 中国への輸出は20年以上前から行っていましたが、その頃は中国で製パン機械を買うといったら日本製またはヨーロッパ製の輸入品が主でした。しかし、ここ10年で台湾メーカーや中国メーカーの進出により、競争も激しくなってきました。日本から中国へ輸出をするとオーブンの価格は諸経費などが加算され日本での価格の2倍近くになってしまいます。
 「日本の機械はいいのはわかっているが、価格が高くて買えない」という声が多く聞かれるようになり、輸出だけでは限界があると判断しました。
―――現地で作って現地で販売するということですね。
田中 そうです。よくあるのは、コスト削減の一環として、中国に工場を設立し、安いコストで製造したものを日本に持ってくる、という方法ですが、当社の場合は、あくまで、中国で製造したものを中国市場および、東アジアに向けて販売するということなんです。
―――中国で事業を行っていく上での注意点は?
田中 中国に限らず、その国がどういう国かを理解することがまず重要です。
 いいとか悪いとかではなく、この国はこういう国なんだ、ということを理解しなくてはなりません。仕事についての考え方とか、文化も含めてこういう国なんだと、真摯に受け止めることからスタートしなければなりません。
 ですから、日本のスタイルをそのままぶつけることはできません。何事に関しても日本とは違いがあることを認識しておく必要があります。
 商品の品質とはどういうものであるか、なぜ品質の高い製品を作らなければならないのか、などについて合理的に説明してあげなければなりません。でもそれは、レベルが高いとか低いとかの問題ではなく、ものの考え方の違いなんです。
―――そのほかにはありますか?
田中 中国には中国の法律がありますから、関連するルールをきちんと理解しておく必要があります。日本でOKなのだから中国でも当然OKだろうと思っていたら大きな間違いです。
 安全基準など、製品作りに関する規格を、を、しっかりと理解しておく必要があります。
―――三幸機械(上海)有限公司の従業員は何人ぐらいですか?
田中 およそ50人です。現在はデッキオーブンのみの製造販売を行っています。主にリテールベーカリー向けとして売れています。
―――三幸機械(上海)有限公司のオーブンはいくらぐらいですか?
田中 日本国内の相場価格からみて約半分です。仕様にもよりますが、4枚差し3段のデッキオーブンで120万〜140万円程度で販売しています。
 ちなみに中国のメーカーの製品は同じ4枚差し3段で50万円ぐらいです。
―――それだけの価格差があるにも関わらず、三幸機械さんのオーブンを買う人が少なくないということは、品質の差が認知されているということですね。
田中 はい。当社の中国のお客様は、日本メーカーのオーブンの性能や品質を理解していて、クオリティーの高いパンを作り、企業としてベーカリーをしっかりとやっていこうという人たちです。中国製の50万円のオーブンは視野に入っていません。
 中国では、成長しているリテールベーカリーが数多くあって、お陰様でそうしたベーカリーの多くは、当社の中国現地法人のオーブンを使っていただいています。
 意識の高いベーカリーは、技術力に加えて、製パン機械もいいものを使う必要があると認識しているようです。
 こうした優良なベーカリーは、技術指導の先生も日本から招聘していることが多いようです。中国でも、いい技術者と、いい機械を導入できるような資本力のあるベーカリーがたくさん出てきたということですね。
―――「ジャパン・ブランド」は強いということですね。
田中 そうですね。どこの国で生産された製品なのかは、問題ではありません。どこの国であっても、日本メーカーの技術と品質管理のもとで生産されていることが重要なんです。
―――ところで、中国でのビジネスは、中国人の人脈の中に深く入り込まなくてはなかなかうまくいかない、と聞きます。
田中 それもあると思います。しかし、今は、中国でクオリティーの高いパンを作りたいという人は、ものすごく勉強していて、いろいろ調べています。そのためには、いい機械と優れた技術力が必要だということがわかっていて、それを実現させてくれるメーカーはどこの国にあるのかをよく知っているんです。
 つまり、日本にいい機械メーカーがあり、職人を育成してくれるいい先生がいる、ということをよく知っているんです。そして、日本で有名なオーブンメーカーやミキサーメーカーはどこか、ということも知り尽くしているんですよ。
―――中国以外の東アジアの国への進出は考えていますか?
田中 現在は日本と中国、ふたつを拠点にして東アジアへの戦略を考えています。それぞれのメリットを活かしながら活動をしていきます。
―――中国へ進出したことで可能性が広がったということですね。
田中 低成長時代に入ったいま、売上を維持していくには、自分達の製品を買ってくれる新たな市場を探さなければなりません。
 当社の場合は中国市場が新たな市場なわけです。しかし必ずしも違う国の市場だけではなく、日本の中でも新たな市場があれば、そこに出て行ってもいいわけです。ただ、当社の場合は製パン製菓に特化していますので、中国を始めとした東アジア市場に進出することを選択しました。
―――ところで中国のパン事情について聞かせてください。
田中 中国では今、パンの需要は急激に増えています。特に上海は伸びています。上海には、シンガポールや台湾系などのベーカリーが数多くあります。
 ところが、日本のベーカリーはというと、まだあまりありません。しかし、粛々とやっている日本の会社さんも実はあって、成功しています。
 日本のリテールベーカリーの中にも、中国の市場に進出を考えているケースも当然あると思いますし、現にそういう相談も多く受けるようになってきています。日本のベーカリーさんですから、技術はすでに持っておられるし、あとはいい機械が中国で必要ということになります。
 当社としたら、日系のベーカリーが中国に進出するお手伝いができればと考えているんです。
―――中国に進出しやすいベーカリーの規模というものはありますか?
田中 規模の問題ではないと思います。大きなビジネスにして金儲けをするためではなく、おいしいパンを中国で作るために行くのであれば、規模は関係ないと思います。特に上海ではパンの値段は、日本とほぼ同じで、皆さん舌が肥えていて、日本と同じおいしいパンを作らないと買ってもらえません。
 私たちは、中国をはじめとした東アジアに進出を考えている日本のベーカリーを応援していきたいと考えています。
―――本日はありがとうございました。





三幸機械昭和22年創業。パン・菓子用オーブンを製造販売。リテールベーカリー用の小型オーブンから大量生産ライン用の大型オーブンまで製造販売する。プラントの企画、設計なども行う。田中利幸社長は、協同組合日本製パン製菓機械工業会の理事長を務める。問い合わせの電話番号は、 03‐3733‐4211。





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