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| いろいろ、エッセイ/2010年2月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 「労働」ではなく「仕事」をしよう-武市 多美夫(パンを売り続けてきた男)
いろいろ、エッセイ(38)
歴史や古寺に興味を持つことが殆どない日々だったが何故か急に古寺を、しかも好きな京都ではなく、中学の修学旅行以来何十年ぶりの奈良を観たくなった。 友人の「奈良の冬は趣があっていいぞ」の一言が耳に残り、それが引き金になったのかも知れない。 法隆寺をはじめ東大寺、春日神社、興福寺、薬師寺や唐招提寺を、一泊二日の過密なスケジュ―ルの中で観て回った。 古寺の佇まいが醸し出す千三百年の悠久の時間が持つ重さ、尊さが強烈な印象であった。 私はその前で無言のままただ静寂に身を任せていた。「無心」とはこのようなことではないかと思えるような未経験の感覚であった。 非日常的な時間を実感出来て、突然の思いつきを行動に移して良かったと思っている。 奈良の古寺に興味を持って以来、関連する本を読んだ中で参考になると思われる言葉を記してみたい。 奈良の地で宮大工として六十年の経験を持つ西岡常一氏の言葉である。西岡氏は既に他界されているが、薬師寺西塔や法隆寺金堂復興の棟梁として活躍なさった方である。 「最後のところは腕前よりも人柄ですわ。腕前のいい人よりも人柄のいい人が力がありますな」。 そして教える立場の人に対して「若い人がついていかん。結局不親切なんやね。自分ができるので人の立場を理解しようとしない」と。 次の言葉も重い。 「自分から突っ込んでやるということ、それが仕事や。労働というのは上から命令されて、こうせえ、ああせえいわれて、時間が過ぎたら終わり。動きくたびれるのが労働で、ものごとにつかえる、ものごとをなしとげることにつかえる。これが仕事や」と。 多くの企業の生産現場から消費者へ情報提供がないという経済評論家のコメントを雑誌で読んだことがある。その通りだと思う。 お客様に情報提供する役割が販売職にあるが、あるベーカリーを除いてそこに力を入れている会社(店)が少な過ぎると視察するたびに感じている。 販売からお客様へ伝えたい、知って貰いたい製造の情報はまだ山ほどあるはず。 「労働」ではなく「仕事」をしよう。 |



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