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| 特集/2010年2月号 |
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| 国内産小麦の値上げについて製粉会社とベーカリーの対応
昨年11月、製粉大手4社では業務用外国産小麦粉が460円/25キロ値下げされた中、国内産小麦粉は395〜400円/25キロの大幅な値上げとなった。国内産小麦粉を主に扱う製粉会社とベーカリーに、現状と今後の対応について話を聞いた。
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| 製粉会社の対応
江別製粉は昨年10月8日の出荷分より、「はるゆたかブレンド」(ハルユタカを主体に春よ恋、ホクシンなどのブレンド)を950円/25キロ、「TYPE ER」(春よ恋が主体のフランスパン用粉)を870円/25キロ、「ドルチェ」(ホクシン主体の菓子用粉)を650円/25キロ値上げした。また昨秋、北海道産小麦の新規受付を中止し、販売制限(春よ恋100%粉、キタノカオリ100%粉など一部製品の販売休止)を開始。
大幅値上げの背景にある昨年度の落札価格 「今回の当社製品の値上げの背景となった、国産小麦の大幅な値上げは、平成20年夏に行われた21年産小麦の入札で決まっていました」(江別製粉)。 国内産小麦の価格は、播種前に予定販売量の約3割が入札取引で決まり、残りの7割は相対取引で、入札の落札価格に準じた価格で決定される。落札は銘柄ごとに行われ、販売予定数量が3000トン以上の銘柄が義務上場となっている。北海道産ホクシンは、国内産小麦の代表的な銘柄であるが、平成21年産は前年産の価格を39%上回った。同じく北海道産「春よ恋」も39%上回り、上場小麦の中で最も高い93009円/トンで落札された(農水省 近年稀に見る北海道産小麦の減収 落札価格の値上げとは別に、平成21年産の国産小麦にとって危機となったのは天候不良による不作。「晴れの日が必要な7月から8月の収穫時期に長雨と低温が続き、穂発芽などの品質低下という状態になってしまいました。近年稀に見る、小麦にとって最も悪い天候でした」(江別製粉)。また、例年は銘柄ごとに出来が異なるが、今回はどの銘柄も押しなべて不作で、例年安定した収量を誇るホクシンも減収だったという。「少なくとも向こう1年間、今年の小麦が確実に収穫されるまでは、これまでのお客様への供給分を確保するために新規の注文はお断りさせていただいております」(江別製粉) 特に減収が目立ったのはハルユタカ、春よ恋、キタノカオリなどの強力粉の原料となる品種。このことから同社では、商品のブレンドの割合を強力粉の代わりに中力小麦のホクシンの割合を増やすなどして調節する。「ホクシンの割合が増えることにより、若干吸水量が落ちることをアナウンスしております」(江別製粉) 東日本産業は入札価格の上昇に伴い、内麦小麦粉を3900円から450円/25キロ値上げし、4350円/25キロ値上げした。しかし、北海道産小麦の不作とは反対に、同社が主に扱うナンブコムギやネバリゴシは前年産より収量が増えた。「収穫時期の天候に恵まれたため、単収が増えたと思います。価格は上がりましたが、新規の問い合わせは若干増えています」(東日本産業) |

| ベーカリーの対応
一部商品値上げ。米粉の値上げも影響
北海道美唄市のすぎうらベーカリーは地元、北海道産の材料にこだわって作るベーカリー。北海道産小麦「ハルユタカ」、「春よ恋」、「キタノカオリ」を使用した「北海道の小麦パン」シリーズや、全国屈指の米所、地元美唄市産の米粉で作ったクロワッサンやシフォンケーキは通信販売や都内アンテナショップでも人気の品だ。 今回の値上げで「ハルユタカ」が4400円/25キロから5350円/25キロとなったことから、ハルユタカメインのアイテムの数を減らした。10アイテムほど揃えていたが、現在は食パンの1アイテムのみを製造している。 顧客には、内麦価格の値上げに関してアナウンスはしていないが、卸先の百貨店では10%ほどの値上げをお願いした。自社店舗での販売では値上げはしていない。店主の杉浦忍さんは「デフレで、値上げをするのはかなり難しいです」と話す。 「北海道の小麦パン」シリーズだけはそのまま継続していく予定だが、他のアイテムでは、外麦、米粉を使うことを考えている。しかし、すぎうらベーカリーのもう一つの看板商品、シフォンケーキやクロワッサンで使う米粉も昨秋から15%値上がった。「厳しい状況ですが、小麦粉以外の原材料の仕入れ方などでコストダウンの努力をしています。そのため、原材料のランクは維持できています」(店主の杉浦忍さん)。当ベーカリー全体の売上げはここ6年間増収増益を維持している。 入手できない銘柄もあるが品揃え、価格はそのまま 神奈川県のベーカリー、パン ド ナノシュは2年前のリニューアルオープンの際にすべてのパンを内麦粉で作るようになった。北海道産の2銘柄をメインに使っていたが、そのうちの一つは入手ができなくなった。しかし、もう一つの方は安定的に入っているので、品揃えも従来どおりで、値上げも行っていない。 内麦粉は安定的に入ってきているが、2銘柄をブレンドして作っていたのを1銘柄だけで作るようになったので、パンの製法を調整したりしなければならず、少なからず影響はあったという。また、内麦粉が上がって、パンの値上げをしていないことから、売上は伸びても、多少の減益にはなっているという。 同ベーカリーオーナーの関谷勝美さんは、北海道の製粉会社との協力体制を敷き、関谷さん自らが、製粉会社の社員とともに北海道の産地に出向いていって、生産者と会い、麦の選定をしている。 関谷さんは「小麦粉の値段は相場で決まるので、その細かな上下動にあまり右往左往しない方がいいと思います」と強調する。 価格改定をするのなら5、10年のスパンでのトレンドを見極めて行うべきなのかもしれない。 一年前に値上げをしたので今回は上げない 東京・巣鴨のベーカリー、個性パン創造アルルも、50〜60品目のパンや菓子を製造しているが、そのすべてが内麦100%の製品だ。強力粉は北海道産の「春よ恋」、全粒粉は群馬県産のもの、薄力粉は長野県産のもの使用している。 同ベーカリーは、店舗改装のためおよそ半年間休業したあと、昨年1月11日にリニューアルオープンした。その際に品揃えを見直し、価格をある程度上げたので、それ以降は値上げはしていないという。 北海道産小麦以外の内麦を代用 一方、茨城県のベーカリー、パンアトリエクレッセントでは、ベーグル、食パン、ロールパン、焼き込み調理パンなどおよそ10品目の内麦粉のパンを製造販売している。使用する内麦粉は、大手製粉メーカーのもの2銘柄だが、昨年末に約2割(25キロ当たり600円程度)値上がりしたという。 ただ、客の根強いニーズがあり、品目数を減らすことも、商品を値上げすることもしていない。オーナーの福島俊史さんは「内麦の今回程度の値上げなら、ウチの場合、食パン1斤当たり、7円程度の原価アップになりますが、一方で外麦は値下げになっているので、材料原価全体を見ればかなり下がっているんですよ」と説明する。 同ベーカリーは対面販売を採用している関係もあって、顧客との会話の中で、小麦粉の価格が話題になることも多いという。昨年末にアメリカやカナダ産の小麦の値段が下がったことを知っている客は多いが、北海道産の小麦が値上がりしたことを知っている客は少ないという。 福島さんは「ウチは2年前に一度値上げしましたが、それからは値上げも値下げも行っていません。やはり、ちょこちょこと商品の価格をいじるのは好ましくないと思いますね」という。 同ベーカリーでは、北海道産以外の内麦粉を探すことも怠らない。現在は、地元茨城県つくば産のパン用の新品種である「ユメシホウ」の全粒粉を使用している。 頻繁な価格改定と外麦と内麦の価格差 小麦の政府売渡価格が、国際相場と連動して年に2回見直しされるようになってから、小麦粉の価格が頻繁に改定されるようになって、これまでにはなかった状況も生まれている。神奈川県のあるベーカリーのオーナーはこんな説明をしてくれた。 「昨年まで、ずっと外麦粉の価格が上昇していたので、大手製粉メーカーのフランスパン専用粉と内麦粉の価格が逆転するという現象が起きていました。だから、多くのパン屋さんは、フランスパンの粉として内麦を使うようになったんです。しかし、昨年末の小麦粉の価格改定で、外麦が値下げになり、内麦粉が値上げになったため、再び外麦のフランスパン専用粉の方が安くなったんです。ですから、当然みんなが外麦のフランスパン専用粉に逆流しています。昨年末の内麦粉の値上げの際に、多くの製粉メーカーは、上げ幅をかなり抑えているので、『ひょっとしたら今春に再び値上げになるかも知れない』との見方もあるようです」 ◇ ブランスリー報道社は1月10日から15日まで、内麦粉についての緊急アンケートをインターネットで行い、214人から回答を得た。「あなたは、内麦粉のパンの値上げは、どのくらいまでなら許せますか?」と聞き、「10%」「20%」「30%以上」「値上げしたら買わない」の4つの選択肢から選んでもらったところ、「10%」が136人(63・55%)、「20%」が44人(20・56%)、「30%以上」が5人(2・34%)、「値上げしたら買わない」が29人(13・55%)という結果だった。 また、「あなたは、内麦粉のパンに対して、どんなイメージを持っていますか?具体的にわかりやすく書いてください」と聞いたところ、「一番に安全で安心感があるということ。昨今では食品偽造問題や衛生面で、消費者の目も厳しいものになってきていると思うので、今の国産の製品は誤魔化しがなかなかきかなくなってるはずだから。厳しい基準の中で製品化されたと思うので、安全だというイメージ。そのかわり価格は割高なのかなと言う印象も」(34歳女性、栃木県)、「健康に良さそうだが、高いというイメージ。ただ、これからの健康志向を考えると必ず市場は大きくなると思うので、もっと安ければ確実に売れると思います」(32歳男性、愛知県)などの声が寄せられた。(このアンケートの詳細は、月刊ブランスリー4月号に掲載予定です) ◆国内産麦の価格〜特別ルール適用で大幅値上げ 国内産麦の価格決定は、全体の3割が播種前の入札取引、残りの7割が相対取引による。入札取引は社団法人全国米麦改良協会が行う。近年外国産麦の価格が上昇していることと、品質の向上などによる評価の高まりから、国内産麦の価格は上昇傾向にある。 平成21年産の入札価格は、前年産の落札価格の130%と大きく上昇した。通常は前年産の落札価格を基準に値幅制限±7%で決定されるが、今回は外国産麦との価格差を埋めるため、特別ルールが適用され、大幅な上昇となった。国内産小麦の代表的な銘柄である北海道産ホクシンと、北海道産春よ恋は、前年産の価格を39%上回った(農水省) ◆平成21年産麦の収穫量〜北海道産小麦が最も減収 平成21年産小麦の収穫量は67万4600トンで、前年産の23%減となった。 全体の収量のうち59%を北海道が占め、多い順に福岡県(8%)、佐賀県(6%)、群馬県(4%)、滋賀県(3%)となっている。 約6割の収量を誇る北海道での10?あたりの収量は、前年に比べ27%減少、そのほか都府県の合計の収量(10?あたり)は18%減少した。 北海道では7月の低温、日照不足および長雨による登熟の抑制や穂発芽が多発したことや、東海、九州地域を中心に年明け以降の降雨により湿害が発生し生育が抑制されたことなどにより、10?あたりの収量が前年を下回ったことが減収の原因としている(農水省) |


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