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| 特集/2010年2月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

| 変わった社会環境
不況で残業が減り早く帰宅する人々の財布は目減り。節約のために外食を控える人が増え、売上げ不振の外食チェーン店は大型郊外店を撤退し、都心に小型店を展開している。そして駅前立地やオフィス立地の飲食店に限らず、小売ベーカリー業の来店客数や売り上げのピーク時間帯が変化してきている。特に土曜、日曜、祝祭日の20時以降の来店客が激減。平日も19時頃には買い物を済ませ、自宅で夕飯を食べるという人が増えている。
こうした社会環境の変化が原因と考えられる売上げ不振。この分析には、毎時間の売り上げ動向チェックによる「折り返し時間」分析や、「閉店1時間前の売り上げ動向」分析で、店の強みと弱点を把握するのがベストだ。夜遅くまで営業を続ける必要性があるのかなど、見直すべき箇所が分かってくる。 |

| 売上げの折り返し時間
POSレジを設置していない店での営業時間の検討、時間帯別品揃えなどを見直す際にポイントとなるのは「売上げの折り返し時間」だ。
例えば、平日の営業時間が午前10時〜午後7時の9時間で、1日10万円を売り上げるA店を分析してみよう。1時間ごとにレジ点検を行い、売上げが日商金額の半分である5万円となった「折り返し時間」を探す。この時間が午後2時であれば、折り返し時間は午後2時となり、開店から4時間で半分の売上げが作られたことになる。残り5万円の売上げが作られたのは、午後3時〜午後7時の5時間。後半の方が1時間長い。 これらのデータから、A店の商品戦略を考えてみる。平日午前11時から午後1時までの平日の営業時間帯において、主に昼食時間帯、幅広い客層に支持される「焼きこみ調理」や「惣菜パン」、「サンドイッチ」などのランチメニューの品揃えを戦略的に充実させることで、後半より1時間早く売上げを作っていることが分かる。 一方、後半の午後3時以降に売上げが作れなかった原因は、一人の職人が「経験と勘」に頼ったマーケティング分析から、お客様が欲する「焼きたて食卓パン」、「アイドルタイムでも売れるカジュアル商品のドーナツ」などのアイテムが戦略的に品揃えできなかった結果と考えられる。 つまり、周りの商圏環境を鑑みずに起こるべくして起こった結果と言える。 |

| 時間当たりの売り上げ
開店から4時間で売上げが作られたことと、残り5万円の売上げが作られた午後3時〜午後7時までの5時間との差を単純に比較すると、どのようなマネジメントが見えてくるだろうか。
時間当たりの売上高が違うのだから、時間当たりの人件費率と一人当たりの売上高も異なる。ここで考えなくてはいけないのが、粗利益に対しての人件費の割合「労働分配率」だ。 A店の前半の売上げが、4時間で折り返すというのは効率よく儲かっているように見えるが、売れ筋が原価率の高い調理パンや惣菜パンなので、粗利益が低い。つまり「労働分配率」が低いことが予想できる。これは、効率よく儲けが出たとは言えない。 また、閉店前の1時間の売上げがほかの時間の売上高より少なければ、光熱費や人件費を考慮して閉店時刻を早めるべきなのかもしれない。 しかし、A店のケースとは対照的に、午前10時に開店しても夕方4時に売上げの折り返し時間を迎えるというB店もある。閉店までの後半3時間で、1日の売上げの半分を達成してしまうという特殊な例だ。また、 土曜、日曜、祝祭日の売上げが平日と同じ店もある。どのようなシチュエーションの店にとっても、売上げの折り返し時間を調べて自店の強みと弱点を分析する「スオット分析」は必要不可欠だ。売上げの折り返し時間が分からないままでは、売上げを伸ばすことはできない。売上げの折り返し時間が分かれば、半分の売上げを達成した時点で、あと半分の売上げのためにどのようなアイテムをいくつ用意しておくべきかということが判断できる。いずれにしても営業時間も含め、臨機応変に考えるべきだ。 |

| クオリティを上げる
昨年10月に外国産小麦の政府売渡価格が5銘柄平均で23%引き下げられた。これに合わせ、商品の価格を下げて消費者に還元しているベーカリーがあるが、売上げ増には直接結びついていないようだ。店内すべての商品を割引にするのではなく、たった1つのアイテムを値下げしただけでは、消費者はわざわざ足を運ばない。
来店客数を増やすためには、店舗の外にお薦めメニューをバナーで告知するのが有効的。その際、当日の「売り込み商品」や「売り切り商品」、「見切り商品」などをしっかりマネジメントして欲しい。 また、既存商品の見直しも大切で、小麦粉の納品金額が下がっている今こそチャンスだと思う。原価計算からもわかるように、原材料価格が下がった分、利益分を変えずに材料の品質を上げることができる。一度価格を値下げてしまったら、なかなか元に戻すことはできない。ならば、具材を増量するか、ワンランク上の材料を使うなどしてクオリティを高め、より一層満足度の高い商品にすればよい。既存商品を見直し、クオリティを高めれば、顧客に満足してもらえ、結果売上げが伸びる。材料の質を高めたということを顧客に話し、店の姿勢に理解を深めてもらうのも、好印象を持ってもらうための一つの手だと思う。 喜んでもらえる高品質の商品を、ロスを出さないように折り返し時間を意識して販売することで利益を増やしていこう。 |
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